日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」4月発売、おしりから油が漏れるなど副作用に要注意、大正製薬が発表

ポイント

• 大正製薬が、4月8日に日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」を発売
• ウエストが男性では85cm以上、女性では90cm以上の成人が対象になる
• 臨床試験ではウエストを縮める効果が確認されている。副作用に要注意。

4月に内臓脂肪減少薬「アライ」を発売。（出典／大正製薬）

　2024年4月8日、大正製薬が日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」を発表する。処方箋のいらないOTC薬の一種で、肥満の治療手段として注目されそうだ。

3カ月で8800円

内臓脂肪を減らす。海外では既に市販薬として販売される。写真はイメージ。（写真／Adobe Stock）

　アライの薬効成分オルリスタットは、脂肪分解酵素リパーゼの働きをさまたげ、脂肪の分解を抑えることで、腸での脂肪吸収を減らす効果がある。結果として脂肪は未消化のまま体外に排せつされることとなり、結果として、内臓脂肪の減少につながる。

※オルリスタットは1997年のアルゼンチンを皮切りに、米国や欧州で120mgの用量で処方箋が必要な医療用医薬品として販売が認められた。その後、07年以降、半分の用量60mgが、処方箋の要らない一般用医薬品としても米国や欧州など70カ国で認められた。日本では当初、中外製薬が発売を目指して開発を進めていたが、05年に開発を中止。09年に、大正製薬が販売権を持つ英国薬品会社グラクソ・スミスクラインから開発・販売権を取得。複雑な経緯を経て、2023年2月に国内での製造販売が承認されていた。

　今回販売の対象になるのは、ウエストが男性で85cm以上、女性90cm以上の18歳以上の成人となる。処方箋のいらないOTC薬の一種として市販されるが、薬剤師の在籍する指定されたドラッグストアや薬局のみで買うことができる。

　1回1カプセルを食事中または食後1時間以内に1日3回飲む。3カ月分に当たる90カプセルの希望小売価格が税込み8800円と設定されている。

4割の人で確認された「消化器症状」

脂肪の分解を邪魔して、脂肪の吸収を抑える。（出典／大正製薬）

　日本で行われた臨床試験では、198人をランダムにオルリスタットを投与される98人とプラセボを飲む100人に分け、薬の服用によるウエストの変化を観察した。両方のグループともに、食事と運動の生活習慣の改善も行った。24週間後にはプラセボのグループはウエストを平均1.63cm減らしたのに対し、オルリスタットのグループは2.49cmの減少を見せて、統計学的に有意な差が確認された。

　安全性に関するデータは注意が必要となる。というのも、オルリスタットを使うと、「便を伴う放屁」と「油の漏れ」を中心とした消化器症状が目立ったからだ。オルリスタットのグループは41％、プラセボのグループは10％に見られた。油の吸収を抑えるため、このような油が漏れやすくなるため、注意が必要になる。

　このため、薬を飲むときの注意として、脂っこい食事を控えめにすることや、油漏れや便漏れに備えて便漏れパットの使用が勧められている。

　肥満症の薬が世界的な人気になる中、オルリスタットは効き方や副作用に注意が必要ながらも、注目を集める可能性がありそうだ。

参考文献

日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」発売！
https://www.taisho.co.jp/company/news/2024/20240304001509.html

内臓脂肪減少薬「アライ」の製造販売承認取得のお知らせ
https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230217001239.html

上野浩晶,中里 雅光「医学と医療の最前線　新たに登場する抗肥満薬の動向と展望」日内会誌 103:753-759、2014.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/3/103_753/_pdf

肥満症薬ウゴービ、異例の遅れを経て日本市場に登場、薬不足の懸念続く
https://biyouhifuko.com/news/japan/5862/

止まらないGLP-1ダイエットブーム、厚生労働省が自治体に協力要請、糖尿病薬が不足
https://biyouhifuko.com/news/japan/5549/

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