
2018年に「湘南美容外科」から「湘南美容クリニック」へ、2026年9月12日に「湘南美容皮フ科」から「SBCスキンクリニック」へ名称を変更。(出典:SBC)
SBCメディカルグループホールディングス(以下、SBC)が2026年9月12日、湘南美容皮フ科をSBCスキンクリニックに刷新する。
今回の刷新の背景には、SBCにおける美容皮膚科領域の拡大がある。
「大きく変える」から「肌を管理する」美容医療へ

SBCの来院者構成では、美容皮膚科領域の比率が2005年の41.6%から2025年には92.3%まで上昇した。(出典:SBC)
- 皮膚科領域が拡大→SBCの来院者に占める皮膚科領域の比率は、2005年の41.6%から2025年には92.3%まで上昇した。
- ブランド刷新→湘南美容皮フ科は2026年9月12日から「SBCスキンクリニック」へ名称を変更し、「美容」の文字も名称から外れる。
- 肌管理を強化→パク・ソジュン氏を起用した広告や新たなコース、メンバーシップを通じ、継続的に肌を整える「肌管理」を打ち出す。
数字で見ると、SBCではこの20年間で来院者の構成が大きく変わっていることが分かる。
SBCの経営支援先には、湘南美容クリニックのほか、湘南美容皮フ科などが存在する。SBCによれば、こうしたクリニックのネットワークへの来院者に占める皮膚科領域の比率は、2005年の41.6%から2025年には92.3%に達した。
ヒフコNEWSが2025年にSBC最高経営責任者(CEO)である相川佳之氏に聞いた際、美容皮膚科が急成長し、皮膚科の売り上げが外科を上回ったことが「湘南美容外科クリニック」から「湘南美容クリニック」への名称変更につながったと説明していた。この変更は2018年のことだ。
また、ヒフコNEWSの別のインタビューで、西川礼華氏は2018年から皮膚科全体統括を務め、新しい治療の導入や標準化を担う体制を整えてきた経緯を明かしている。その間、注入治療やレーザー、超音波、高周波など、非外科的な治療の選択肢も広がってきた。
こうした美容医療の中身の変化が、2018年に続く今回のブランド刷新の背景にある。
2018年の名称変更では「外科」が外れた。そして今回は、「湘南美容皮フ科」から「SBCスキンクリニック」へと変わり、「美容」が名称から外れる。
SBCは、美容医療が「大きく変わるためのもの」から「日々のメンテナンスの一部」へ変わりつつあると説明している。
また、SBCは、自社広告に韓国俳優のパク・ソジュン氏を起用し、テレビCMを9月12日から放映する。SBCスキンクリニックそのもののCMキャラクターという位置付けではなく、あくまでエイジングケアを特徴とした「エールシリーズ」のCM出演だ。しかし、湘南美容皮フ科からSBCスキンクリニックへブランド刷新するタイミングでの起用は、同グループの方向性を象徴する動きにも見える。
この広告で打ち出されるのは「肌管理」だ。単発の施術で大きく変えるのではなく、継続的に肌を整えていく。その考え方は、名称変更と同時に導入されるコースメニューやメンバーシップとも重なる。
「肌管理」が変える、美容医療とコンプレックスの関係

SBCはブランド刷新に合わせ、韓国俳優のパク・ソジュン氏を起用し、肌管理を訴求する広告展開を進める。(出典:SBC)
- 美容医療の変化→外見を大きく変える治療だけでなく、シミやシワ、毛穴などを継続的に整える美容医療が広がっている。
- 心理的ハードル→「スキンクリニック」という名称には、美容医療を特別なものではなく、日常的に肌を整える場所として捉えやすくする側面がある。
- 脱コンプレックス→美容医療が悩みを解消する場所から日常的なメンテナンスの場へ変わる中、今回の刷新はその象徴的な動きと考えられる。
韓国を取材すると、直訳すれば「皮膚管理」となる肌のメンテナンスが広く定着している。日本でも、「肌管理」という言葉で紹介されることが増えている。
韓国の街を歩くと、カフェのような開放的な空間で美容クリニックが人々を迎えている光景に出会うことがある。筆者自身、ソウルの街中で、カフェだと思って入った場所で、ここはどういったお店ですかと聞いたところ、「クリニックです」と言われ、思わず面食らったこともある。一方、日本では美容医療を提供するクリニックがビルの上階に入るケースも多い。韓国にもそうしたクリニックは少なくないが、街中でより開放的に人々を迎える形も目立ち、街との接点の作り方には変化が感じられる。
こうした動きと、「大きく変わるためのもの」から「肌管理」へという変化を併せて考えると、浮かび上がるのが、美容医療と「コンプレックス」との関係の変化だ。
美容医療は長く、外見上の悩みや劣等感を解消する医療として受け止められてきた側面がある。二重、鼻、輪郭などを「変える」外科治療は、その典型だった。一方、シミやシワ、毛穴、肌質などを定期的に整える「肌管理」は、悩みを一度に解消するというより、スキンケアの延長として継続する発想に近い。
「スキンクリニック」という名称自体は、日本でも以前から使われてきた。「美容」を前面に出さず、肌を扱うクリニックとして位置付ける呼び方には、美容医療に伴う心理的なハードルを下げ、「コンプレックスを解消するために通う場所」という印象を相対的に弱める働きもあったのかもしれない。
ただ、皮膚科領域が来院者の9割を超え、「肌管理」が前面に打ち出される現在では、「スキンクリニック」という言葉が持つ意味もさらに変わってきているように見える。単に美容医療であることを意識させにくくするだけではなく、肌を日常的に整える場所として位置付ける意味合いが強まっている可能性がある。
そうした変化を考える上でも、今回のSBCのブランド刷新は象徴的な動きといえそうだ。
美容医療を「コンプレックスを解消する場所」だけではなく、「日常的に自分の肌を整える場所」として捉える人が増えていくならば、今回の刷新は、美容皮膚科における「脱コンプレックス」とも呼べる変化の一つになるのかもしれない。
参考文献
「湘南美容皮フ科」は「SBCスキンクリニック」へ
https://www.s-b-c.net/clinic/skin/
