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腹部形成術の合併症は2.1%、体重の影響も、米国最新研究で5万人以上を分析

カレンダー2024.3.19 フォルダー最新研究
おなかの皮膚を縫い縮める手術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

おなかの皮膚を縫い縮める手術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 2024年3月18日、米国の研究グループが腹部形成術の合併症発生率に関する分析結果を発表した。その発生率は全体で2.1%。単純計算すると50人に1人の割合となった。

全世界では第4位の美容外科手術

皮膚を切除。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

皮膚を切除。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 国際美容外科学会(ISAPS)調査によると、腹部形成術は全世界で年間118万件が実施されているとされ、美容外科手術の中で4位の位置を占めている。

 日本国内でも、腹部形成術は一般的な美容外科手術の一つとして行われている。肥満などの理由でおなかの皮膚がたるんだ場合に、その皮膚を切除してたるみを解消する手術。英語ではタミータックとも呼ばれることもあるが、手術の方法には複数の種類が存在する。腹部形成術を受けた人での合併症が報告されているが、合併症の詳細は不明点もあるとされる。

 今回、米国の研究グループは、美容外科手術のデータベースを基に、15年から22年までの腹部形成術の合併症について詳しく分析した。その結果をまとめると次の通りとなった。

  • 総患者数→5万5596人の腹部形成術について検討。
  • 全体の合併症率→2.1%。
  • 腹部形成術の種類ごとの合併症率→フルール・ド・リス腹部形成術の合併症が最も高い。
  • 合併症が増える要因→手術年、低体重または肥満度が極端な体重、糖尿病、男性。
  • 一緒に行われる手術→1万5000人以上(27.2%)が、乳房手術、ボディコントゥアリング、脂肪吸引、顔の手術を実施。
  • 一緒に行う手術と合併症リスク→複数の条件を考慮しても、腹部形成術単独に比べて重大な合併症リスクは増えない。

合併症の可能性を理解することは不可欠

フルー・ド・リスの紋章。フルー・ド・リス腹部形成術では、おなかの中央と左右の皮膚を切り取る。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

フルー・ド・リスの紋章。フルー・ド・リス腹部形成術では、おなかの中央と左右の皮膚を切り取る。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 特に合併書の発生率が高いとされた「フルール・ド・リス腹部形成術」は、フルー・ド・リスというアヤメの紋章の名前を冠した手術となる。その名前の通り、おなかの皮膚をトランプのスペードのような形の紋章の形で切り取り、縫合してたるみを解消する。

 美容外科手術は一般的に広く行われており、合併症が起こることもある。最近では脂肪吸引での合併症が注目されたことがあった。美容外科の手術を検討するときには、合併症の可能性についての理解が不可欠となる。今回のデータは海外のものではあるが、参考にしてよいかもしれない。

参考文献

Chaker SC, Hung YC, Saad M, Perdikis G, Grotting JC, Higdon KK. Complications and Risks Associated with the Different Types of Abdominoplasties: An Analysis of 55,956 Patients. Aesthet Surg J. 2024 Mar 18:sjae060. doi: 10.1093/asj/sjae060. Epub ahead of print. PMID: 38494872.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38494872/

2022年、美容医療の世界ランキング公開、第3位はまぶたの手術、第2位は豊胸術、前年に続く第1位とは?国際美容外科学会(ISAPS)調査
https://biyouhifuko.com/news/world/3331/

脂肪吸引を含む美容医療施術での死亡件数が急増、メディカルツーリズムで人気のドミニカ共和国、米国CDCが警告
https://biyouhifuko.com/news/world/5784/

大阪市内美容クリニック施術で都内在住医師を書類送検、脂肪吸引による死亡事故、大阪府警
https://biyouhifuko.com/news/japan/5753/

脂肪吸引で貧血、消費者庁が事故を報告、注意喚起
https://biyouhifuko.com/news/japan/4067/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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