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豊胸のシリコンバッグ、破裂のリスクは10%、米研究者の調査結果

カレンダー2023.4.4 フォルダー最新研究

ポイント

  • 豊胸のシリコンバッグの手術を受けた584人の女性を対象とした調査が行われた
  • 10%近くの女性で知らぬ間にシリコンバッグの破裂が起きていると分かった
  • 簡単な超音波検査で定期的に破裂の有無を確認することが重要だと考えられた

豊胸のためのシリコンバッグは破裂することがある。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 シリコン製の乳房インプラント(シリコンゲル充填乳房インプラント、シリコンインプラント、シリコンバッグなどと呼ばれる、以下、シリコンバッグと書く)は、バストのサイズアップや乳がん手術後のバストの再建によく使用されている。しかし、耐久性などの問題で破裂する危険性がある

豊胸や乳房再建用シリコンバッグ破裂のリスクを理解する

シリコンバッグを入れた場合にはその後の検査も必要。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

シリコンバッグを入れた場合にはその後の検査も必要。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 シリコンバッグの破裂には、シリコンバッグ表面を覆う膜の内部で破裂が起きる場合と膜まで破れてしまう場合がある。いずれにしても破裂を放置しておくと、その影響で炎症や皮膚の壊死につながる恐れがある。なお、米国食品医薬品局(FDA)では、シリコンバッグが破裂していないか検査することを推奨しているが、手術を受けた女性が検査を定期的に受けるとは限らず、本人も知らないうちに破裂が起きている恐れがある。

 22年1月、米国の研究者が、形成外科に関する医学誌プラスティック・リコンストラクション・サージェリーに研究結果を発表したのである。この研究は、シリコンバッグの手術を受けた女性584人を対象にシリコンバッグの破裂や女性が破裂への対応をどう考えているかなどを調べたもので、意図しない破裂のリスクについて理解を深めることを目的としたものだ。

 今回、実施された研究のアウトラインを紹介する。

 この研究調査のために、米国ケンタッキー州の研究グループは、9つの異なるクリニックで2000年以降にシリコンバッグの手術を受けた584人の女性を調べた。対象にしたのは過去に破裂が確認されたことのない女性のみだ。使用されたシリコンバッグは、アラガン社、メンター社、シエントラ社製のものだった。

 研究グループは対象の女性に対して超音波検査を行い、シリコンバッグの破裂をチェックした。破裂の疑いがある場合は、精密検査のできる専門医に破裂の有無を確認してもらった。また、研究グループは女性に対してアンケートも行い、シリコンバッグの破裂に関する懸念を感じているかなどを聞いた。

簡単に行える超音波検査の利点

超音波検査は受けやすい。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

超音波検査は受けやすい。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 この研究では手術までして確認した結果、全体の10.6%に破裂が確認された。女性に対するアンケートでは、破裂の有無を知りたいと考える女性は99.5%で、シリコンバッグに破裂が生じていたときに除去を希望したのは95.2%だった。大多数の女性は、今後破裂の有無を確認するため超音波検査を受けることを希望し、9割近くが破裂したシリコンバッグを12カ月以内に除去すると回答した。研究グループは、超音波検査はMRI(磁気共鳴画像検査)よりも簡単に行えるため破裂の検査には超音波が適していると考えを述べている。

 以上が、今回の記事のポイントだ。

 日本でもシリコンバッグが気づかないうちに破裂している可能性はある。シリコンバッグを入れた場合には、定期的に医療機関でシリコンバッグの検査を継続することが大切だ。

参考文献

Salzman MJ. Silent Rupture of Silicone Gel Breast Implants: High-Resolution Ultrasound Scans and Surveys of 584 Women. Plast Reconstr Surg. 2022 Jan 1;149(1):7-14. doi: 10.1097/PRS.0000000000008632. PMID: 34936597; PMCID: PMC8687613.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8687613/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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