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美容クリニックでHIFU熱傷事故、顔のリフトアップで頬に発生、皮下組織まで達するIII度ヤケド、消費者庁が公表

カレンダー2024.5.7 フォルダー 国内

 消費者庁が2024年4月、美容クリニックで発生したHIFU(ハイフ、集束超音波治療法)の施術による重症のヤケドのケースを重大事故の一つとして公表した。

皮下組織にダメージが及ぶ重大事故

重症のヤケド発生。(出典/消費者庁)

重症のヤケド発生。(出典/消費者庁)

 消費者庁では毎週、一般の人々が遭遇した商品やサービスを原因とした事故を公表し、このたび「重大事故等」の一つとして美容医療で発生したHIFUによるヤケド事故の情報を公表した。

 消費者庁が報告している事故の概要を表にまとめると次の通り。美容クリニックでHIFUを受けた人が、顔に重症のヤケドを負った。

発生日 報告日 カテゴリー 事故概要 傷害等級 施設の種類・地域
2023年6月7日 2024年4月10日 医療サービス(美容) クリニックにおいて、顔のリフトアップ等を目的としたHIFU(ハイフ)を用いた施術を受けたところ、顔面左頬部にIII度熱傷を負う重傷。(注)HIFU:High-Intensity Focused Ultrasound 重傷1名 東京都

 ヤケドは、皮膚の表面にヤケドを負ったI度、それより深い真皮にヤケドを負ったII度、さらに深い血管や神経、筋肉などがある皮下組織にヤケドが及んだIII度に分類されている。III度の熱傷は、より体へのダメージが大きいといえる。消費者庁は重大事故と見なしている。

リフトアップで頬にヤケド、典型的なHIFU事故

ハイフでは超音波が熱を発生させる。(出典/消費者庁)

ハイフでは超音波が熱を発生させる。(出典/消費者庁)

 ヒフコNEWSで伝えているが、日本形成外科学会総会・学術集会で、東海大学形成外科教授の河野太郎氏が、HIFUによる事故の481施設からの回答に基づく実態を報告している。それによると、HIFUによる事故では、ヤケドだけではなく神経障害も頻繁に発生していることが明らかにされていた。今回のヤケドの事故は、皮下組織までダメージが及んでおり、神経に悪影響が及んでいないかも心配されそうだ。

 この調査では、日本人のHIFUによる事故は9割がたるみやシワの改善のために行われており、4分の3が頬と下あごへの施術で起きていることも明らかになった。今回報告された事故もフェイスリフトのために行われており、ヤケドが起きたのも左の頬だった。これは典型的に日本で起きるHIFUの事故といえるものだ。

 HIFUの施術は一般的になっているが、多数の事故が起きており、施術を検討するときには、信頼の置ける施設であるのか、施術を行うスタッフに技術があるのかなどに注意することは大切だろう。

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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