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肌バリア機能向上に役立つヘパリン類似物質と植物抽出物、ルール違反にならない形での利用に注目、大正製薬が報告

カレンダー2024.5.25 フォルダー最新研究
肌のバリアを保つ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

肌のバリアを保つ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 肌のバリア機能を維持するために重要な「結合型セラミド」を増やすために、ヘパリン類似物質や植物から抽出物が効果を発揮することを、大正製薬が2024年4月に報告している。

「結合型セラミド」増加を確認

肌の結合型セラミドに注目。(出典/大正製薬)

肌の結合型セラミドに注目。(出典/大正製薬)

  • 結合型セラミド→肌のバリア機能に重要な役割を果たし、角質層で「角層細胞」と「細胞間脂質」をつなぎとめる。
  • 抽出物の効果→ヘパリン類似物質やドクダミ、ニーム、ガイヨウ、チンピ、ウスベニアオイからの抽出物が、結合型セラミドの生成に関わる酵素の量を引き上げる可能性が示された。
  • 研究グループの確認→ヘパリン類似物質が洗浄剤の刺激によって失われる結合型セラミドの減少を防ぎ、細胞間の脂質の乱れも抑えることが確認された。

 結合型セラミドは肌のバリア機能にとって重要な役割を果たし、肌の外側を覆う角質層で、「角層細胞」と「細胞間脂質」をつなぎとめている。大正製薬では、外部からの刺激や細胞の老化によって結合型セラミドが減り、肌のバリア機能が低下することを報告していたという。

 さらに、同社では、結合型セラミドが減っていく問題を解決するために、結合型セラミドを増やす成分の研究も進めてきた。

 今回、ヘパリン類似物質やドクダミやニーム、ガイヨウ、チンピ、ウスベニアオイという植物からの抽出物が、結合型セラミドの生成に関わる複数の酵素の量を引き上げる可能性が示された。ヘパリン類似物質がバリア機能の乱れを抑える効果は以前に確認していたというが、バリア機能にとって重要な結合型セラミドも増やすことが確認された。

 その上、研究グループは、ヘパリン類似物質が洗浄剤の刺激によって失われる結合型セラミドの減少を増やすことも確認した。細胞間の脂質が乱れることも抑えられるという。

美容目的のヘパリン類似物質は化粧品として

肌の健康。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

肌の健康。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • ヘパリン類似物質→美容目的で健康保険を使って処方される「ヒルドイド」の主な有効成分。
  • ヒルドイドの適応症→病気やケガに使用される薬であり、美容目的で健康保険を使うことはルール違反。
  • 美容目的での利用→ルール違反にならない形で、化粧品として利用する道が模索される可能性がある。

 ヘパリン類似物質は、美容目的で健康保険を使って処方を受けることが問題になっている「ヒルドイド」の主な有効成分。ヘパリン類似物質が薬として使われる場合、その適応症は病気やケガなので、美容目的に使うために健康保険が適用されているとしたら、ルール違反になる。

 一方で、今回の研究のようにヘパリン類似物質が化粧品として効果を示すことを示す研究は複数報告されている。美容目的での利用は注目される可能性はあり、ルール違反にならない形で、化粧品として利用される道が模索されることになるだろう。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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