2023年、米国では美容医療が引き続き人気を保っている。美容外科手術が前年比5%、非外科的治療が7%増加した。
米国形成外科協会(ASPS)は2024年6月25日に新たな統計を発表した。
「バレエボディ」の人気
2023年に実施された約160万件の美容外科手術のうち、上位5つは次の通りとなった。
施術 | 件数 | 前年比 |
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脂肪吸引 | 347,782件 | 7%増加 |
豊胸術 | 304,181件 | 2%増加 |
タミータック(腹部脂肪切除) | 170,110件 | 5%増加 |
バストリフト(乳房挙上術) | 153,600件 | 7%増加 |
まぶたの手術(眼瞼形成術) | 120,747件 | 5%増加 |
約2540万件の非外科的治療のうち、上位5つは次の通り。
施術 | 件数 | 前年比 |
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ボツリヌス療法 | 9,480,949件 | 9%増加 |
ヒアルロン酸フィラー | 5,294,603件 | 8%増加 |
スキンリサーフェシング | 3,501,696件 | 5%増加 |
皮膚治療(レーザー脱毛、IPL治療など) | 3,101,772件 | 6%増加 |
注射による口唇増大術 | 1,439,291件 | 4%増加 |
ここまでの順位は22年と変わっていなかった。
体型に関する手術も引き続き人気で、2023年にはより自然で均整のとれた体型を目指す動きが目立ったという。こうした体型は「バレエボディ」と呼ばれ、調和のとれた、美しく引き締まったシルエットを特徴するという。ヒフコNEWSが伝えているように、脂肪吸引が増加する中で、単純な脂肪吸引ではなく、体のシルエットをより美しくする、進化型の脂肪吸引が注目される動きがある。
このほかバスト関連の施術も引き続き人気になっている。豊胸術は前年比2%、バストリフトは7%増加した。一方で、乳房インプラントの除去も9%増加し、これは脂肪移植への注目、大容量のインプラントを小型化する傾向が影響していると分析されている。乳房縮小手術は7%増加し、特に20~29歳の女性において10%の増加が見られた。バストを大きくする施術が増える一方で、小さくする施術も増えているのは特徴的だ。
米国でも安全性に課題
このほか2023年に実施された約102万件の再建手術のうち、上位5つは次の通り。
施術 | 件数 | 前年比 |
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腫瘍除去術 | 351,591件 | 2%増加 |
手の外科手術 | 207,887件 | 2%増加 |
乳房再建術 | 157,740件 | 4%増加 |
あごや顔面の手術 | 52,868件 | 1%増加 |
瘢痕修正術 | 52,000件 | 2%増加 |
ASPS会長のスティーブン・ウィリアムズ氏は、「コロナ禍の後に急増した手術のニーズは安定したが、美容手術のニーズは依然として強い。学会認定された医師を選ぶことが重要」と述べている。
米国では美容施術が引き続き増加する一方で、無資格者によるメディカルスパでの事故が多発しているほか、形成外科の専門を持たない医師による美容手術が増加していることが問題視されている。死者も報告され、大きく報道された。安心と安全は日本の美容医療で注目されているが、米国でも変わりない。