フランスに拠点をロレアルグループの日本法人、日本ロレアルは2024年7月31日、医療機関向けのスキンケアブランド「スキンシューティカルズ」をこの秋から日本市場で販売開始することを発表した。
医療機関向けのドクターズコスメの領域は、化粧品各社が力を入れており、商品ラインナップが増えるとともに、医療機関ごとの特徴を打ち出す要素として注目されることにもなりそうだ。
美容医療市場の成長とスキンケア製品の需要
美容医療の分野においてドクターズコスメが活況を呈している。矢野経済研究所によると、ドクターズコスメの市場規模はコロナ禍でいったん落ち込んだものの、21年度から回復し、23年度のドクターズコスメは前年比7.9%増の1308億円と予想されている。肌トラブルや美容医療への関心の高まりから、医療機関で化粧品を購入するという行動を取る人が着実に増えている。
日本ロレアルでも、矢野経済研究所の推計を引用し、美容医療市場は今後も年2~3%の成長を続けると予測されていると指摘している。そうした中で、美容医療におけるスキンケア商品のニーズが強まっていると説明する。
日本ロレアルが今後展開するスキンシューティカルズは、1997年に米国デューク大学に所属し、抗酸化分野の第一人者であるシュルドン・ピネル氏が設立したブランドという。純粋なビタミンCを配合した主力商品「CEフェルリックセラム」を中心として製品をラインナップしている。今回、この製品群を日本に展開していくことになった。
同社ダーマトロジカルビューティ事業本部の岩切直子氏は、⾃⾝の理想の肌を描く時、美容⽪膚科医とお客様の選択肢になり、肌を良い状態にホームサポートする美容施術スキンケアなどと商品を紹介している。
医療機関での存在感高まる製剤
美容医療のクリニックでは、化粧品を含めた製剤の存在感は一層高まっていくと見られる。美容医療の領域では、トラブルが問題となる中で、熱を使った医療へのハードルが上がっている可能性がある。そうした中で、熱を使うことなく、肌の再生を促す手段として、製剤を使った医療が注目されている。ECM製剤による肌再生の施術は代表的なものだろう。それに加えて、化粧品を使って、スキンケアをしていくアプローチも今後増えていくと見られる。学会での取材においても関心の高さがうかがえる。もっともこれらの製剤にも副作用はあるが、安全性により配慮した扱い方についての理解も深まっていくと推測される。
化粧品メーカーでも、昨年来、資生堂、コーセー、ポーラ・オルビスホールディングス、ロート製薬などが医療機関向けのコスメを強化する動きを見せている。また、医療機関と共同研究するメーカーも増えている。今後、従来の化粧品の枠組みを超えた、新しい製剤技術が美容医療の現場に投入される可能性は高い。