セルフエステのトラブルが増加している。2024年7月31日、国民生活センターが歯のセルフホワイトニングを中心としてセルフエステに関連した相談が増加していることを報告し、注意を呼びかけた。
100万円以上の契約で相談するケースも
セルフエステは、自分自身でエステ機器や薬剤などを使って施術を行い、手軽さや低価格から人気を集めている。
国民生活センターは2020年2月に初めてセルフエステについての注意喚起を行ったが、セルフエステに関するトラブル相談は減っていない。セルフエステに関する相談件数は、2022年度には400件を超え、2023年度には特にセルフホワイトニングに関する相談が大幅に増加した。
無料体験をきっかけに契約トラブルが発生するケースが多い。代表的な相談事例としては、SNS広告を見て無料体験に出向いたところ、「無料期間中に解約可能」と説明されながら実際には解約できず、違約金が発生したケースが多い。
例えば、ある20代の女性は、歯のセルフホワイトニングの無料体験後に月額1万円の契約を強く勧められ、契約した後に中途解約しようとしたが、約2万円の違約金を請求された。また、回数券購入後に解約を希望したが、クーリング・オフ対象外とされ、解約が認められなかった事例も報告されている。事前の説明と実際の契約内容が異なることが原因となっている。
19年度~24年度のセフルエステの相談件数は1216件だった。相談者の特徴が分かる分を分析すると、契約当事者は20代がほぼ半数を占めていた。性別で見ると女性が9割。相談者の契約購入金額は最も多いのが5万円未満だったが、100万円以上の人もいた。
「セルフ」は法律の抜け穴になる
国民生活センターは、セルフエステには一般にクーリング・オフが適用されず、契約前に契約期間や違約金の有無を確認することが重要と指摘する。また、無料体験や安価な広告に誘われず、契約に際しては慎重な判断をするように求めている。トラブルが発生した場合には、すぐに都道府県の消費生活センターなどに相談することが推奨されている。
今回のトラブルでは言及されていないが、「セルフ」であることは法律に抜け穴になっているという問題もある。これは美容医療とも深く関連している。セルフという点は、規制が及びにくいという問題があるからだ。
例えば、医師法では、医師以外が他人に医療行為を行うことを禁止しているが、自分自身に行うことには規制は及ばない。セルフにすることで、一般的には医療行為に近いものと見なされることが行えてしまう課題がある。最近でも、6月、HIFU(高密度焦点式超音波治療)を行うには医師資格が必要と厚生労働省が通知を出した。このHIFUはセルフエステでも行われているが、一般のエステとは異なり、自分自身で行う場合には規制対象外であるという問題点が浮上している。これはヒフコNEWSで報じられている。
トラブルが増えているセルフホワイトニングも一般的に医療行為として見なされている。これを他人に施術する場合には、歯科医師など医療関係の資格が求められると考えられる。しかし、自分自身に行うことで、規制をくぐり抜けられる側面がある。
今後、経済的な被害、健康被害を防ぐため、セルフエステの問題が注目される可能性が高い。
参考文献
「セルフエステ」の契約トラブルに注意!-特に「セルフホワイトニング」に関する相談が増えています-
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20240731_1.html
エステでのHIFUは法律違反、施術には医師免許が必要、医師の指示を受けた診療補助の看護師は問題なし、厚生労働省が健康被害の増加を受けて通知
https://biyouhifuko.com/news/japan/7796/
HIFU(ハイフ)の安全性と問題点を理解する、東海大学形成外科教授の河野太郎氏に聞く
https://biyouhifuko.com/news/interview/2544/
エステティックサロンなどでの日本のハイフ関連事故の詳細明らかに、国の消費者安全調査委員会が報告書
https://biyouhifuko.com/news/japan/629/