毛髪再生における最新技術として、ロボティクス技術を用いたAI(人工知能)が注目されている。
米国形成外科学会が2024年8月にその活用の可能性を報告している。
ロボティック技術を用いたAIで毛髪再生
美容医療または美容皮膚科の役割が求められる症状の一つに薄毛がある。成人の男女ともに髪の厚みや密度は変化し、徐々に減少していくとされており、脱毛症は身近な問題だ。成人の脱毛症は加齢、遺伝、全体的な健康状態に強く関連していると考えられている。
脱毛症の治療には、飲み薬や塗り薬があるが、そうした中で、脱毛症の治療法の一つとして毛髪再生手術が行われてきた。学会によると、従来は中心的な方法として「毛包単位抽出(FUE)」という技術があった。これは後頭部から健康な毛包を手作業で採取し、それを前髪の生え際や頭頂部の薄毛部分に移植する治療となる。
そうした中で、これに代わるものとしてロボティック技術を用いたAIが開発されている。人工知能(AI)やロボット技術を駆使した新しいアプローチだ。注目されているのが、「ARTASシステム」と呼ばれるものだ。
ARTASは、レーザーでガイド可能なロボットを利用し、毛包を抽出し、医師がデザインしたヘアラインへ正確に移植する。このプロセスにおいて、AIが毛包の位置、角度、方向、密度を解析し、毛髪の採取と移植を最適化する。
標準的な治療を可能にする
AI技術を利用したロボットにより、毛髪再生手術の成功率は大幅に向上すると期待されている。AIが移植すべき毛包を見極めて、採取や移植のプロセスを精密に管理することで、移植後の髪が自然に生えやすくなると考えられているからだ。
このような技術を使うことで、標準的な治療が可能になり、治療効果を一定に保つことができる。
AIの活用は美容医療のほかの分野でも広がりを見せている。ヒアルロン酸のフィラー注射でも、注射を最適化するためにAIを利用した技術が進歩している。今後、多くの治療でAIが当たり前に使われる時代が来る可能性がある。