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美容はエビデンスによって選びやすくなる、リバースエイジングの研究が進む、東京大学皮膚科学の佐藤伸一教授が美容のとらえ方を語る

カレンダー2024.9.16 フォルダー 国内

 2024年9月11日、東京大学皮膚科教授の佐藤伸一氏と特任准教授の吉崎歩氏が、家庭用美顔器メーカーのヤーマンとの共同研究結果を報告する会に出席し、美容研究を進める意義について語った。

 佐藤教授は、「エビデンスに基づいた美容の選択が重要である」と強調している。

CERTEC技術によるシワ・たるみの改善効果

上は美容機器と保湿剤。下は保湿剤のみ。シワの改善が見られた。(出典/J Cosmet Dermatol . 2024 Jul 11. doi: 10.1111/jocd.16403. Online ahead of print.)

上は美容機器と保湿剤。下は保湿剤のみ。シワの改善が見られた。(出典/J Cosmet Dermatol
. 2024 Jul 11. doi: 10.1111/jocd.16403. Online ahead of print.)

 東京大学とヤーマンは共同研究を実施し、その成果を美容皮膚科分野の国際誌「Journal of Cosmetic Dermatology」に論文として発表した。

 この研究では、「CERTEC(Cell Energy Regeneration Technology)」という技術を搭載した美容機器が用いられた。CERTEC技術は、10kHzから200kHz未満の周波数を使用し、熱と電気による刺激を同時に与えることで、シワやたるみの改善に寄与する。

 30歳から59歳の健康な成人女性24人を対象に、片側の顔にこの美容機器を使用し、もう片側には基礎化粧品のみを使用する「スプリットフェイス法」で8週間の試験が行われた。その結果、機器を使用した側の顔ではシワやたるみの減少、皮膚の弾力性の向上、血流の改善が確認された。参加者からも皮膚の引き締まり感や若返り感が報告され、治療中止につながる有害事象はなかった。

科学的根拠に基づく製品選びの重要性

東京大学皮膚科教授の佐藤伸一氏が美容のとらえ方について語る。(写真/編集部)

東京大学皮膚科教授の佐藤伸一氏が美容のとらえ方について語る。(写真/編集部)

 佐藤氏は、「目に見える皮膚という臓器を扱うことで、エイジング研究がやりやすい。アンチエイジングはもう若くならないというニュアンスだが、美容医療も一時的に若く見せるという否定的な意味を持つ。一方で、リバースエイジングは一時的ではない、持続的な若返りにつながる意味を持つ。そういう研究が進んでいて、可能であると分かってきた」と説明する。

 老化した細胞が、周りの細胞を老化し、老化細胞を除くことで、老化を防ぐことも分かってきたと説明する。

 ヒフコNEWSでも、レジュビネーション、若返りのトレンドについて伝えているが、リバースエイジングというワードも言われている。また、SASPという、老化を引き起こす仕組みについても伝えた。年齢を巻き戻すような研究は今後も進みそうだ。

参考文献

熱と電気の刺激でシワとたるみ改善、顔老化に効果、CERTEC技術の美容機器が効果示す、東京大学とヤーマンの共同研究が美容皮膚科誌に掲載
https://biyouhifuko.com/news/japan/8422/

老化細胞の除去で寿命を延ばす効果、人間ならば130歳相当に、国内外で注目される「SASP」、米国コネチカット大学の研究グループが発表
https://biyouhifuko.com/news/research/8627/

「老化細胞・老化細胞除去ワクチン」「SASP」「ANGPTL2」、最先端のキーワード3つ、細胞はなぜ老化する?第24回日本抗加齢医学会総会の尾池雄一会長講演
https://biyouhifuko.com/news/japan/7696/

肌を若返らせるECM製剤とエネルギーデバイス、画像でカスタマイズ「肌育」新時代、第112回日本美容外科学会で最新情報
https://biyouhifuko.com/news/japan/7675/

藤田医科大学が東京で若返り治療、10月に先端医療研究センター始動、美容医療の展開も視野に
https://biyouhifuko.com/news/japan/3548/

【訂正】
・文中で吉澤歩氏と記載しておりましたが、正しくは吉崎歩氏です。お詫びして訂正いたします。(2024/10/10)

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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