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藤田医科大学が東京で若返り治療、10月に先端医療研究センター始動、美容医療の展開も視野に

カレンダー2023.10.1 フォルダー 国内

ポイント

  • 藤田医科大学は東京に先端医療研究センターを開設した
  • エイジングケアに焦点を当てた、リジュベネーションセンターも置く
  • 当初は膝の再生医療に取り組むが、今後は美容医療の展開も視野に入れる
菅元首相が開所式で祝辞を述べた。(写真/編集部)

菅元首相が開所式で祝辞を述べた。(写真/編集部)

 愛知県豊明市に本部を置く藤田医科大学が10月から、東京で若返り治療を開始する。藤田医科大学東京先端医療研究センター(FMiC)が新たに開かれるためである。2023年9月30日、菅義偉前首相など政財学界のトップを招いた開所式が執り行われた。

菅元首相などがテープカット

開所式で行われたテープカット。左から星長氏、御手洗氏、平氏、菅氏、萩生田氏、鈴木氏、鴨下氏。(写真/編集部)

開所式で行われたテープカット。左から星長氏、御手洗氏、平氏、菅氏、萩生田氏、鈴木氏、鴨下氏。(写真/編集部)

 開所式では主催者と来賓によるテープカットが行われ、菅前首相のほか、国会議員では文部科学大臣、経済産業大臣を歴任し、自民党政務調査会長を務める萩生田光一氏、平将明氏、大田区長の鈴木晶雅氏、経済界からはキヤノン会長兼社長CEOの御手洗冨士夫氏、元環境大臣で、内閣官房参与を務め、藤田医科大学客員教授でもある鴨下一郎氏、藤田学園理事長の星長清隆氏が合図に合わせてテープにハサミを入れた。

 それに先立ち、開所式の記念式典で菅元首相は、「羽田空港という地の利を生かし、国内は元より、海外にも日本の医療を発信する拠点になる。センターは日本の医療の向上につながる」などと期待感を述べた。

 藤田学園の一部門として新たに開設される先端医療研究センターでは、藤田学園が企業と連携して、医療機器などの開発を進めるほか、同センターの羽田クリニックでは先端医療、不妊治療、リハビリなど自由診療を中心にした診療が行われることになっている。このクリニックには診療内容に応じて8つのセンターが置かれるが、その一つが若返り治療を行う「リジュビネーションセンター」である。

※保険診療は、一般的な病気の診察のように健康保険が適用される医療。それに対して、美容医療のように、医療を受ける人が診療費を全て支払う医療のことを自由診療と言う。自費診療や保険外診療などと呼ばれることもある。

 リジュビネーションセンターは、「再生医療が最も活かせる診療領域として、肌だけではなく、体内を含む全身をエイジングケア」を掲げるが、ユニークなのはニーズをとらえながら診療内容を徐々に拡張していくことだ。日本では自由診療に特化したクリニックが少なく、今後、羽田空港に近い立地を生かして海外からも受診者を増やしていく予定となっている。そのときに、どのような医療が求められるのかを分析しながら、メニューを増やしていくことになるようだ。

リジュビネーションセンターでは当初膝の再生医療を提供する。(写真/編集部)

リジュビネーションセンターでは当初膝の再生医療を提供する。(写真/編集部)

 当初、リジュビネーションセンターでは形成外科准教授の井上義一氏が週1回の診療を行う予定となっている。提供されるのは、主に膝の再生医療。特定認定再生医療等委員会の審査が既に行われ、PRP(多血小板血漿)、間葉系幹細胞、エクソソームの治療が提供される。

 今後の展開は未定の部分も多いようだが、クリニックでは既にレーザーの設備もあるといい、肌のレーザー治療が手掛けられる可能性があるほか、PRPを膝だけではなく、美容医療の用途に展開することも可能と見られる。

 藤田医科大学では、大学病院の立場で研究にも積極的に取り組む。例えば、日本再生医療学会のデータ登録も進め、エビデンスの構築に貢献していく考えだ。美容医療の領域では、再生医療関連の治療が盛んに行われているが、その効果についてははっきりしないと指摘されることがある。データが蓄積していけば、何に効果を発揮するか、どれくらい効果があるかなど根拠に基づいて理解できるようにある。

 また、センターでは、藤田学園がロート製薬と「再生・細胞医療開発講座」を開設し、間葉系幹細胞の基礎研究を行う。センターの4階では、ロート製薬やダイダンといった企業が入居しており、クリニックと同じ建物で、再生医療に使う細胞などを準備することができるようになっている。

 羽田クリニック院長の榛村重人氏は、「美容医療については、求める人がいれば、それに応えていく。大学病院として効果が確かなものから手掛けていく可能性はある。データを取って検証していくのが重要」と述べる。

 このほかに活動長寿研究センターでは、食事・睡眠・運動に着目して、5日間ホテルに滞在してもらい、基本的な検査のほか、食事の指導、睡眠時の脳波の測定、機械を使った運動指導などを提供する。5日間でおよそ200万円のプログラムで、一般的な保険診療で行われる医療とは異なる、やはり自由診療での提供になる。ここでもロート製薬がサプリメントや入浴剤を提供するといい、藤田学園と企業が連携して医療を提供するのが特色となる。

 プログラムを統括する臨床栄養学講座主任教授の飯塚勝美氏は、「生活習慣を改善していくには、1日の食事や運動、睡眠を通して初めて改善すべきポイントが見えてくる。藤田医科大学でも初めてのプログラムを提供していくことになる」と解説した。

大学病院と企業が密接に連携

開所式で羽田クリニックの説明を行った榛村重人氏。(写真/編集部)

開所式で羽田クリニックの説明を行った榛村氏。(写真/編集部)

 藤田学園は、慶應義塾と、大田区羽田と川崎市殿町という羽田空港に隣接した地域で産学公連携で再生・細胞医療や遺伝子治療などを進めている。藤田医科大学東京先端医療研究センターは、その中心になるもので、今後、若返り治療以外にも、ロボットでの遠隔手術などの先端医療が提供される見通しとなっている。

 開所式には、政財学界のトップが顔を揃えたが、一般的な類似の会と比べても幅広い分野から参加者が見られ、このプロジェクトへの関係者の熱の入れようが並みではないことがうかがい知れた。

 開所式では、冒頭に紹介した菅元首相などのほか、東京都知事の小池百合子氏が代読で挨拶を寄せたほか、川崎市の福田紀彦市長、藤田医科大学学長の湯澤由紀夫氏、藤田学園理事で元トヨタ自動車社長の渡辺捷昭氏、鹿島建設の天野裕正氏、シスメックス会長グループCEOの家次恒氏、川崎重工業社長の橋本康彦氏、ロート製薬会長の山田邦雄氏、東海東京フィナンシャルホールディングス社長の石田建昭氏、在日中国企業協会の王家馴氏、フジフイルムメディカル会長の岸本尚氏、慈恵大学理事長の栗原敏氏、聖マリアンナ医科大学の明石勝也氏などが参加していた。

 藤田医科大学が東京で提供する自由診療の取り組みは大きな注目を集めそうだが、美容医療の面でも新しい動きが予想される。

参考文献

再生医療連載vol.1 日本独自の再生医療のルールを解説、知っておきたいこと
https://biyouhifuko.com/news/column/958/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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