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高周波治療の合併症を理解する、知っておくべき安全情報、しこりやヤケドのリスク、米国研究が示す注意点

カレンダー2024.10.29 フォルダー最新研究
高周波治療を受ける場合、合併症を理解しておくことが重要。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

高周波治療を受ける場合、合併症を理解しておくことが重要。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 高周波(RF、ラジオ波)を利用した美容治療は、肌の引き締めや脂肪減少を目指す治療法として注目を集めている。しかし、手術を伴わないとはいえリスクもある。研究では、治療の効果とともに合併症のリスクについても注意を促している。

しこりや感覚異常などの報告も

高周波治療は顔や首、体感などの部位に対して行われる。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

高周波治療は顔や首、体感などの部位に対して行われる。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 米国の研究グループが2022年に発表した調査によれば、高周波治療には一定の合併症リスクがあることが示された。

 この研究では、皮膚や脂肪の層に熱を与えてコラーゲン生成や脂肪分解を促進するサブサーフェス高周波治療(皮下にプローブを挿入する方法)について調査している。09年から21年までの30の論文を分析し、顔、首、体幹などの治療対象を調査した。

 この治療には、インモード(InMode)やサーミ(Thermi)、ボディタイト(BodyTite)、アキュタイト(AccuTite)などのデバイスが用いられ、局所麻酔や全身麻酔が多くのケースで併用された。主な合併症には、皮下のしこり、感覚異常、漿液腫、神経損傷、ヤケドが含まれる。これらのリスクは治療部位や使用するデバイス、設定するパラメータによって大きく左右される。

※漿液種は、さらさらした体液が皮下などにたまった状態。

リスク要因 詳細
しこり(硬結) 皮下組織が硬化し、数カ月間残る場合がある。首の治療では、約9%の患者が経験。
感覚異常 治療部位の感覚異常やしびれがあり、約5%の患者は治療後に完全には回復しなかった。
漿液腫 特に腹部の治療で多発し、ドレーンを使用するケースもある。
神経損傷 顔や首の治療でマージナル下顎神経が影響を受け、一部の患者は長期の回復期間が必要。
ヤケド 皮膚の温度管理が重要で、適切な管理がなければヤケドのリスクが高まる。

機器によって現れる合併

高周波治療は、RF治療やラジオ波治療とも呼ばれる。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

高周波治療は、RF治療やラジオ波治療とも呼ばれる。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 別の2024年の研究でも、高周波を含むエネルギーベースの治療におけるリスクが詳細に分析された。フラクショナル高周波治療では、16%が一時的な色素沈着を経験した。また、治療中や治療後の痛みも頻繁に報告され、54%が治療中に痛みを訴えたという。

 さらに、むくみや知覚異常といった一時的な症状も多く見られる。ある研究では、治療後2〜14日間の浮腫が20%に確認され、別の調査ではその割合が35%に上った。また、治療部位の赤みは一般的で、通常は軽度で数日から最大90日以内に消退することが報告されている。

リスク要因 発生頻度
色素沈着 16%が一時的な色素沈着を経験
痛み 54%が治療中に痛みを訴えた
浮腫 20%が治療後2〜14日間の浮腫
別の調査では35%が報告
赤み 一般的で、数日から最大90日以内に解消

 高周波治療は、熱を使って皮膚の状態を変えるものなのであり、ここで示したように合併症に注意する必要がある。治療後に、違和感がある場合などは、速やかに対処する必要があるだろう。

参考文献

Swanson E. A Systematic Review of Subsurface Radiofrequency Treatments in Plastic Surgery. Ann Plast Surg. 2022 Sep 1;89(3):274-285. doi: 10.1097/SAP.0000000000003093. Epub 2022 Jan 26. PMID: 35081544; PMCID: PMC9415206.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35081544/

Sanyal RD, Fabi SG. Energy-Based Devices for the Treatment of Facial Skin Conditions in Skin of Color. J Clin Aesthet Dermatol. 2024 Jun;17(6):22-32. PMID: 38912197; PMCID: PMC11189641.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38912197/

高周波により顔のヤケド、美容機器のリスク認識を、消費者庁が事故を公表
https://biyouhifuko.com/news/japan/5798/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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