高周波(RF、ラジオ波)を利用した美容治療は、肌の引き締めや脂肪減少を目指す治療法として注目を集めている。しかし、手術を伴わないとはいえリスクもある。研究では、治療の効果とともに合併症のリスクについても注意を促している。
しこりや感覚異常などの報告も
米国の研究グループが2022年に発表した調査によれば、高周波治療には一定の合併症リスクがあることが示された。
この研究では、皮膚や脂肪の層に熱を与えてコラーゲン生成や脂肪分解を促進するサブサーフェス高周波治療(皮下にプローブを挿入する方法)について調査している。09年から21年までの30の論文を分析し、顔、首、体幹などの治療対象を調査した。
この治療には、インモード(InMode)やサーミ(Thermi)、ボディタイト(BodyTite)、アキュタイト(AccuTite)などのデバイスが用いられ、局所麻酔や全身麻酔が多くのケースで併用された。主な合併症には、皮下のしこり、感覚異常、漿液腫、神経損傷、ヤケドが含まれる。これらのリスクは治療部位や使用するデバイス、設定するパラメータによって大きく左右される。
※漿液種は、さらさらした体液が皮下などにたまった状態。
リスク要因 | 詳細 |
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しこり(硬結) | 皮下組織が硬化し、数カ月間残る場合がある。首の治療では、約9%の患者が経験。 |
感覚異常 | 治療部位の感覚異常やしびれがあり、約5%の患者は治療後に完全には回復しなかった。 |
漿液腫 | 特に腹部の治療で多発し、ドレーンを使用するケースもある。 |
神経損傷 | 顔や首の治療でマージナル下顎神経が影響を受け、一部の患者は長期の回復期間が必要。 |
ヤケド | 皮膚の温度管理が重要で、適切な管理がなければヤケドのリスクが高まる。 |
機器によって現れる合併
別の2024年の研究でも、高周波を含むエネルギーベースの治療におけるリスクが詳細に分析された。フラクショナル高周波治療では、16%が一時的な色素沈着を経験した。また、治療中や治療後の痛みも頻繁に報告され、54%が治療中に痛みを訴えたという。
さらに、むくみや知覚異常といった一時的な症状も多く見られる。ある研究では、治療後2〜14日間の浮腫が20%に確認され、別の調査ではその割合が35%に上った。また、治療部位の赤みは一般的で、通常は軽度で数日から最大90日以内に消退することが報告されている。
リスク要因 | 発生頻度 |
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色素沈着 | 16%が一時的な色素沈着を経験 |
痛み | 54%が治療中に痛みを訴えた |
浮腫 |
20%が治療後2〜14日間の浮腫 別の調査では35%が報告 |
赤み | 一般的で、数日から最大90日以内に解消 |
高周波治療は、熱を使って皮膚の状態を変えるものなのであり、ここで示したように合併症に注意する必要がある。治療後に、違和感がある場合などは、速やかに対処する必要があるだろう。