2025年3月20〜23日、韓国ソウルCOEXで医療機器の国際展示会「KIMES 2025」が開催された。韓国は美容医療機器の世界的な開発拠点として知られており、毎年、最先端の機器が世界市場に向けて紹介される。
さまざまな種類の機器が展示されていたが、今年の展示会では、針を使わずに高圧の空気によって皮下に薬剤や空気を注入する「ジェット式」機器が注目を集めた。
針なしで薬剤や空気を皮下へ均一に注入

レーザー圧力式の無針注入機器、Mirajet(ミラジェット)。低出力のCleoも発表。(写真/編集部)
ジェット式は、針を使わずに薬剤を皮下の目的の深さに均一に注入できるのが特徴だ。また、薬剤を使わずに、真皮などの中に空間を形成し、コラーゲン生成を促すといった使い方も実践されている。肌の若返り、ニキビ痕や妊娠線といった瘢痕の改善に用いられる。各種のバイオスティミュレーターやヒアルロン酸などの注入に対応可能だ。針を使うよりも痛みや出血を軽減し、ダウンタイムを最小限に抑えられるのがメリットとされる。
KIMESの会場では、韓国の複数社が開発および提供する機器が展示されていた。
Mirajet(ミラジェット)は、JSKBiomedが開発したレーザー圧力式の無針注入機器。レーザーを水に照射して急激に蒸発させ、その体積膨張による衝撃波でピストンを駆動し、空気や薬剤を皮下に勢いよく噴出して注入する仕組みを採用している。痛みを最小限に抑えながら、均一な深さで薬剤を導入できる点が大きな特徴だ。2019年に開発され、2020年に韓国で発売されており、KIMESでは低出力の新モデルが発表されていた。
一方、CUREjet(キュアジェット)も同様にジェット式で薬剤を注入する装置だ。こちらは韓国のBAZ BIOMEDICが航空宇宙工学を応用して電気式の針なし注入技術を開発したものである。
また、CONTAC社が出展したBellajet(ベラジェット)もジェット方式のインジェクターとして展示された。こうした無針注入技術は今後さらに普及が進む可能性がある。
気圧制御で精密注入を実現するマイクロニードル

韓国のre:H社が開発したCURIOSIS。(写真/編集部)
マイクロニードルに独自の気圧制御技術を組み合わせ、これにより、薬剤を均一かつ正確に目的の層に導入できる。
韓国のre:H社が開発したCURIOSIS(キュリオシス)は、「SSCM(Selective Smart Control Microneedle)」という技術を使い、陽圧と陰圧を切り替えて深度をコントロールする。これにより薬剤を均一かつ正確に目的の層へ導入できるようにしている。

冷却技術を用いる注入技術のTargetCool。(写真/編集部)
このほか冷却技術によって注入の痛みを軽くする技術も展示されていた。韓国Recens Medicalが開発提供するTargetCoolは薬剤を注入する際に、温度を低く保つ。このことで痛みを軽くしたり、炎症が起きるのを抑えたりすることを可能とする。
今後、必要な部位に的確に薬剤を注入する手法への関心がさらに高まるとみられる。