2025年3月20〜23日、韓国ソウルCOEXで医療機器の国際展示会「KIMES 2025」が開催。引き続き、韓国の美容医療機器の新しい動きに注目する。
目立った動きの一つとして、ショックウエーブ(衝撃波)を使った美容医療機器が新たに登場していることだった。
従来、痛みを軽くするためなどの医療に用いられてきたショックウエーブ技術が、美容医療に進出したものだ。
HIFUと組み合わせたハンドピース

K1MED GLOBALのショックウエーブを利用した美容医療機器。(写真/編集部)
- ショックウエーブの医療応用→ 疼痛緩和やED治療などで使用されていたが、美容医療に応用。
- HIFUやRFとの違い→ ショックウエーブはHIFUやRFよりもエネルギーが低く、熱を発生させずに深部への刺激が可能。皮膚へのダメージや痛みが少ない。
- SynerMax(K1MED GLOBAL社)→ ショックウエーブとHIFUを1つのハンドピースで同時搭載。セルライト除去、脂肪減少を狙い、3.0mm〜9.0mmの深さに対応。
ショックウエーブは、元来、身体の痛みを取ったり、男性のED(勃起障害)の治療、腎臓にできた結石を壊したりするために利用されてきたが、この医療技術が美容医療に応用する動きが韓国で見られる。
ショックウエーブは超音波の一種ではあるものの、身体の中に熱を発生させるHIFU(ハイフ:高密度焦点式超音波治療)よりも周波数がケタ違いに低いので、熱を発生させない。同じように高周波(ラジオ波、RF)よりもエネルギーは低い。
このようにショックウエーブは熱を発生させず、皮膚へのダメージや痛みを抑えながら深部までエネルギーを届けることが可能である点が特徴となる。
展示されていた機器の一つ、K1MED GLOBAL社の「SynerMax(シナーマックス)」は、ショックウエーブとHIFUを一つのハンドピースに搭載しているのが特徴。韓国で2025年に登場した機種だ。
脂肪細胞をターゲットにショックウエーブによるキャビテーション効果にHIFUの熱効果を組み合わせることで、セルライト除去と脂肪減少を同時に実現する。顔のリフティングにも対応し、深さ3.0mm、4.5mm、9.0mmの層に働きかけると説明している。ハンドピースを取り替えず、継続的に使用できるという特徴がある。
熱を発生させずに肌を刺激

左はショックウエーブの仕組みを図で示したもの。右はRFとHIFU。(出典/REMED)
- REMED社の「LIFTON」→ 「ショックウエーブ・キャビテーション」技術により、皮膚の深部までを熱を使わずに刺激し、肌再生を促進するリフティング施術。
- 期待される効果→ マイクロバブル崩壊による線維芽細胞などの活性化を通じて、コラーゲンやエラスチン生成を促進。首のシワ、顔のたるみ、皮膚密度改善に有効とされる。
- ダウンタイムの少なさ→ HIFUやRFと異なり、熱を用いないため、ヤケドのリスクや麻酔の必要がなく、低侵襲な美容施術として注目されている。
一方で、同様に2025年に登場予定のREMED社の「LIFTON(リフトン)」。これはショックウエーブ(衝撃波)とキャビテーション(空洞化)という2つの現象を組み合わせて、皮膚表面からSMAS層に至る5段階の深度を狙ったリフティングを行う。皮膚の深部を刺激し、肌の再生を促すとされる。
1回の衝撃波の照射により、14点を同時に刺激し、マイクロバブルの崩壊によって線維芽細胞やミトコンドリアを活性化させる。これによりコラーゲンやエラスチンの生成を促し、たるみやシワの改善効果が見込まれている。
同社によると、臨床研究では、首のシワの厚みの減少や顔のリフティング効果、皮膚密度の向上などの成果が報告されている。
HIFUやRFは熱によるヤケドが問題になっていたが、このような熱を発生させないショックウエーブは、ダウンタイムがなく、麻酔も不要で、美容施術のハードルを下げることにもつながる。今後、肌への負担を最小限に抑えて実施可能な照射系の美容施術として、今後注目される可能性がある。