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【KIMES 2025レポート】PN・PDRN製剤に注目集まる、リジュランが関心を高める中で競争活発、バイオスティミュレーターの有効性や安全性の裏付けも重要に

 KIMES 2025では、ヒアルロン酸やボトックス、バイオスティミュレーターなど、さまざまな注入製剤の展示も多く行われていた。

 そうした中で、PN(ポリヌクレオチド)製剤やPDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)製剤も注目を集めていた。

リジュラン競合が大きく展示

HP ビタランを開発したBR PHARMAの展示。(写真/編集部)

HP ビタランを開発したBR PHARMAの展示。(写真/編集部)

  • PharmaResearchの動向→ リジュランの開発元である同社は、2024年に売上・利益ともに好調。独自展示会を開催していることから、KIMES 2025には出展していなかった可能性が高い。
  • HPビタランスキンブースター(HP VITARAN)→ BR PHARMAが開発したリジュランの競合製品。製薬グレードの施設で製造され、PDRN製剤として高純度のDNAを使用。用途に応じて粘度が3段階に分かれている。
  • 効果と用途→ 傷の治癒促進、炎症抑制、美肌・育毛効果があるとされ、シワ、くすみ、毛穴、ストレッチマーク、手の甲のエイジングケアに使用。

 PN製剤やPDRN製剤といえば、リジュランシリーズがよく知られている。

 細胞の設計図ともいえる成分が核酸であり、構成単位はヌクレオチドとなる。ヌクレオチドが複数連なっているものがポリヌクレオチド。その中でも特に、DNAが連なったものがポリデオキシリボヌクレオチドと呼ばれている。リジュランは、サケの精子から抽出したDNAを原料としており、PDRNと位置づけられる。

 PharmaResearchは2024年12月期の売上高が前年比34%増加し、3501億ウォン(日本円で約350億円)、純利益も前年比20.2%増の920億ウォン(同約92億円)となり好調を維持している。同社は、KIMES 2025では展示企業の中に確認されなかった。

 KIMESでは、リジュランシリーズの競合製品に当たるHPビタランスキンブースター(HP VITARAN Skin booster)が大きく展示されていた。開発したのはBR PHARMA(BRファーマ)。リジュランと同様のPDRN製剤。同社によると、製薬グレードの施設で製造し、韓国食品医薬品安全処の認可を受けた原材料を使用している。製造工程において各種の汚染を最小限に抑え、国際認証も取得している。同社の担当者は、PDRN製剤はリジュランとビタランの2つのみが存在すると強く認識している様子だった。

 また、メーカーによると、傷の治りを促進したり、炎症を鎮めたり、美肌効果や育毛効果があるとされている。主な施術の対象は、シワ、くすみ、毛穴、肌のたるみ、ストレッチマークの改善、手の甲のエイジングケアとなる。

 また、独自の特許技術により、高純度にサケ由来のDNAを抽出している。抗生物質を使わず、清潔な海水で養殖されたマスを原料としている。粘度は3段階に分かれており、高粘度は瘢痕部位、標準タイプは顔全体、低粘度タイプは目元や首など皮膚の薄い部位に適している。

補足成分を加えたPN、PDRN製剤も

メトロコリアの補足成分を加えたというPN・PDRN製剤。(写真/編集部)

メトロコリアの補足成分を加えたというPN・PDRN製剤。(写真/編集部)

  • PN-pro(メトロコリア)→ サーモン由来のPN・PDRNに加え、ペプチド、トラネキサム酸、グルタチオン、ヒアルロン酸などを混合した多成分製剤。
  • 目的と効果→ 肌の再生、美白、保湿、傷跡修復を目的として顔に使用される。PNは保水性と持続性、PDRNは即効性や抗炎症、コラーゲン生成促進に効果があると分けて説明。
  • バイオスティミュレーター市場の動向→ 美容医療分野で関心が高まっており、日本でも複数の製剤が導入されている。今後は製剤の使い分けやエビデンスの蓄積が求められる。

 このほかにもメトロコリア(METRO KOREA)という会社が、サーモン由来のPNおよびPDRN製剤であるPN-proという製品を展示していた。この製剤は、補足成分として、ペプチドのほか、トラネキサム酸、グルタチオン、ヒアルロン酸などを混合している。PNやPDRNのみからなる製剤ではない。

 この会社の製品は、肌の再生、美白、保湿、傷跡の修復を目的に顔に使用される製剤だと説明されている。高分子のPNは保水性に優れ、長時間にわたり肌にハリと弾力を与え、低分子のPDRNは即効性があり、傷の治癒や抗炎症作用、コラーゲンやエラスチン生成の促進に効果があると分けて説明している。

 バイオスティミュレーターの関心が高まる中で、多様な企業が開発を進めていることが分かる。

 日本でも、さまざまなバイオスティミュレーターが使われ始めているが、その使い分け、有効性や安全性についてのデータがますます求められるだろう。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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