
江南区の一帯には美容医院が密集する。(写真/編集部)
本当に信頼できる韓国美容クリニックはどう選ぶべきか。その点は今回、ソウルを訪ねた理由の一つだった。
韓国の公的な医療観光の仲介者に取材し、どう選べば良いかのヒントを得たので、いったん韓国美容クリニックの選び方について書いていこう。
なお、さらに韓国美容医師のインタビューも届ける予定なので、それを踏まえて、医院選びについては改めて書こうと考えている。
情報は多いが、判断基準は?

美容医療のクリニックが多く入居する江南区のビル。(写真/編集部)
- 情報の多さ→ 韓国の美容クリニックに関する情報はウェブ、アプリ、SNSなどにあふれ、ランキング記事や紹介投稿も多数存在する。
- 公的認証の限界→ 韓国政府やKHIDIによる認定クリニックもあるが、SNSなどの評価と一致しないケースも多く、評価の指標として万能ではない。
- 多角的な検討の重要性→ 複数の情報ソースを比較し、整合性を確認することが、本当に良いクリニック選びにつながるが、その作業は容易ではない。
韓国の美容クリニックに関する情報はあふれている。
ウェブサイトで検索すると、韓国のお勧めクリニックについての情報はいくらでもヒットする。「おすすめ10選」のようなランキングめいた記事は無数に現れ、ページデザインも工夫されており、掲載クリニックは優良に映る。
一方で、美容医療関連のアプリを見ると、ソウル江南区一帯のクリニックは際限なくリストアップされる。同一施術でも料金の幅は大きい。
さらに、インスタグラムを見れば、「韓国 美容クリニック」の検索で出てくる情報はやはり切りがない。医師が情報を出しているほか、インフルエンサーが日々、推しのクリニックを紹介しており、情報は雪だるま式に増えているように見える。
頼りになりそうなのは、広告目的ではなく施術クオリティの実態をフラットな視点で語るインフルエンサーだろうか。あるいは医療の良い面だけではなく、リスクも明らかにする医師だろうか。
一方、韓国政府が認定する美容クリニックも存在する。韓国の法務省入国管理局が優良医療観光医療機関を指定しているほか、KHIDI(韓国保健産業振興院)が認証している医療機関がある。
以前に書いたように、難しいのは、こうした公的な医療機関リストが、SNSなどでの特別に評価されていないケースも珍しくない。
こうした状況を見ると、複数の情報ソースを突き合わせて、筋が通っているかどうかを確かめていけば、本当に良い医院にたどり着く可能性がある。
ただし、それが容易ではないという点については、以前にも書いている。
鍵は「誰が施術するか」

韓国の江南区はビルが林立。こうしたビルの中に美容クリニックが多数入居する(写真/編集部)
- 医師の力量が最重要→ クリニックの看板よりも、施術の結果を左右するのは医師個人の力量。実績、資格、評判、人柄などを総合的に評価する必要がある。
- 医師の評価は変動する→ 評価は固定的ではなく、時間と共に変化するため、最新情報の把握が重要。継続的なリサーチが求められる。
- 価格だけで選ばない→ 韓国の美容医療はコストパフォーマンスが高いとされるが、価格の安さが品質の良さを保証するものではない。価格に惑わされず、多角的な視点で判断すべき。
取材をした医療観光の仲介者であるソウルガイドメディカルは、最終的な仕上がり、満足度を左右するのは、クリニックの看板というよりも、医師個人の力量であるという点を強調していた。
医師の力量といっても、一つの指標で決まるわけではない。施術の実績はもちろん、専門資格、専門家同士のネットワーク、人柄、口コミなど、それらを総合した上での医師の力量こそが鍵になるという。しかも、医師の評価は常に一定ではなく、時間とともに変化するという話もあった。最新情報を得ることも欠かせない。
施術を行う医師を選ぶことが重要であるというのは一見当然のように思えるが、意外と見落とされがちな視点かもしれない。韓国の美容クリニックを比べていると、どこのクリニックが良いかという話になりがちと考えられるためだ。
では、日本国内にいながら、韓国のクリニックにいる医師の情報まで得ることはできるのだろうか。
日本から医師の情報を深掘りするのは容易ではないと考えられるが、最低限のリスクヘッジとして「価格だけで選ばない」というのは鉄則だろう。
いろいろと情報を集めていると、韓国の美容医療の魅力は、医師の実績の豊富さやコストパフォーマンスの良さといった点にあるとされる。これを踏まえれば、価格は重要な要素であるのは間違いないが、安価であることが必ずしも高品質を意味するわけではない点は理解しておく必要がある。
韓国政府の認証があるから仕上がりが良いとも限らず、医師の専門医資格があるから仕上がりが良いわけではない。いずれの要素も単独では十分な判断基準とはならない。複数の視点を組み合わせて初めて本当の価値が見えてくる。アプリなどで提示されるクリニックの価格に目を奪われたときこそ、医師の実績、発信内容、口コミ、SNSでの評価など、情報をできる限り多角的に収集することが望ましいのではないか。
当たり前に思えても、価格の誘惑で失敗する可能性はある。情報の海を乗り切るには、もちろん他の一つのポイントにのみこだわっても、失敗する可能性があるが、まずは目を奪われがちな価格の呪縛にとらわれないことが重要だろう。その上で、自分に施術を行う医師が誰なのかを考えることを忘れてはならない。韓国の医療観光の仲介者からの言葉を踏まえると、選ぶべきはクリニックではなく、突き詰めれば、医師だろう。この原則を胸に刻んだ上で、では、どのように医師を選ぶべきかという次の課題に向き合っていく必要がある。さらに、韓国でのクリニック選びや医師選びについては考えていく。