
米国で薬の値段を下げる政策が進む方向となった。(写真/Adobe Stock)
2025年5月12日、米国トランプ大統領が処方薬の価格引き下げを宣言した。
これは米国の医療市場は世界最大規模であり、この政策は国内のみならず、世界の医療経済にも影響を及ぼす可能性がある。
美容医療においては、これを後押しする動きとして作用する可能性が考えられる。
SNS投稿では最大90%減の可能性も示す

トランプ大統領は、自身が運営するSNS「TRUTH social」で継続的に政策について投稿している。(写真/Adobe Stock)
- 薬価引き下げの大統領令→ トランプ大統領が処方薬価格を大幅に引き下げる大統領令に署名。
- 美容医療への直接的影響→ 美容医療には直接関係しないが、医療機関全体への収益圧迫が間接的な影響をもたらす可能性がある。
- 美容医療の注目理由→ 美容医療は価格設定が自由で国の政策に左右されにくいため、医療機関にとって魅力的な収益源になり得る。
米国のトランプ大統領は、「世界を揺るがす重大発表」を行うと予告し、5月11日に処方薬の価格を3〜8割引き下げる大統領令に署名する意向を示した。
実際に12日に署名が行われ、今後、米国の処方薬価格は引き下げられる見通しとなった。
具体的な引き下げ幅については今後、調整が行われると見られている。
12日のトランプ大統領のSNS投稿では、薬の値段の引き下げの見通しが50~90%へとエスカレートしている。これとは別に、トランプ大統領は「59%」と引き下げの幅を投稿したりもしている。いずれにせよ、どうなってくるかは決まっていない。
今回の方針は病気の治療を目的とした医療制度に関わる政策だ。また、公的保険制度が主な対象という指摘があり、民間保険への影響については現時点では不透明である。
したがって、このトランプ政権の方針は美容医療には直接関係せず、現時点で大きな影響を与えるものではない。
とはいえ、ここで起こる変化は同じ医療現場での事なので、何らかの影響は出てくると考えている。
美容医療は、皮膚科や形成外科などの分野に関連している。このため皮膚科や形成外科といった分野で変化が起こると、美容医療にもその影響は及んでくる可能性がある。
ここで筆者が考えているのは、医療機関が美容診療に力を入れる可能性だ。
今回のトランプ大統領の政策は、医療機関の経営状態にはネガティブな影響が出てくると予想される。
実際、トランプ大統領は前回の任期中(2017~2021年)にも、同様の薬価引き下げ政策を打ち出していた。この政策は最終的に撤回されたが、医療機関の収入を減らす内容が含まれており、当時は医学会が批判声明を発表するに至った。
今回の政策でも詳細は不透明だが、医療機関の収入減につながる懸念がある。保険診療の収益が減少すれば、代替的な収入源を模索するのは自然な流れといえる。
そのような中で注目されるのが、国の方針に左右されず施術価格を自由に設定できる美容医療である。
また、薬価引き下げの動きは本来、治療用医薬品を対象としているが、仮に美容医療で使用される製剤にも波及すれば、施術がより身近になる可能性もある。
米国は世界最大の美容医療大国

今後、米国での医療の変化が世界に影響を及ぼす可能性。(写真/Adobe Stock)
- 米国の市場規模→ 米国は世界最大の美容医療市場で、脂肪吸引や腹部脂肪切除などの施術件数が前年比で大幅に増加している。
- 美容医療が変わる可能性→ 病気の診療が変化することで、美容医療への関心が高まり、市場拡大が加速する可能性。
- 世界への影響→ 米国の動向は世界にも波及し、製剤や医療機器の使用拡大により、研究開発や新技術の創出が進むなどの可能性。
米国は既に世界最大の美容医療市場であり、その市場は現在も拡大を続けている。
米国形成外科学会(ASPS)の統計によると、2022年には脂肪吸引が前年比23%増の約32万件、腹部脂肪切除(タミータック)は37%増の約16万件と、施術数はいずれも大幅に増加している。
美容医療市場は今後も拡大すると予測されていたが、今回の医療政策によって保険診療が変化すれば、美容医療への関心がさらに高まる可能性がある。それが追い風となり、市場の成長が一層加速することも予測する。
また、米国の美容医療の動向は、世界の美容医療にも一定の影響を及ぼす可能性がある。製剤や医療機器の使用が拡大すれば、研究開発も進展し、新たな美容医療技術の創出につながる可能性がある。
これらは現時点ではあくまで仮説にすぎないが、米国の医療制度が変化していくこと自体は確かであり、その動向は今後も注視されるだろう。
