
美容医療に関連した新しい技術が続々と登場している。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
世界の美容医療についてクリニック、製剤の状況を見てきた。今回はデバイス(機器)の世界に目を向ける。
メスを使わないエネルギーベースの美容医療機器(レーザーや高周波、超音波、冷却痩身、画像解析など)は、この10〜20年で飛躍的に発展した。
地域ごとの主要企業とブランド、注目技術を見ていく。
米国に拠点を置く大手や老舗

レーザー施術の機器で実績のある米国の企業。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
美容医療機器市場で大きなシェアを持つ企業として、まず米国に拠点を置く大手がある。
製薬大手アッヴィ(AbbVie)傘下のアラガン・エステティックス(Allergan Aesthetics)は、ボトックスやジュビダームといった注入剤で知られる一方、脂肪冷却痩身機器「クールスカルプティング(CoolSculpting)」の機器を提供している。非侵襲のボディコントゥアリングの分野で存在感を示している。クールスカルプティングは皮下脂肪を冷却して減少させる技術として広がりを見せる。
また、2020年代には磁気エネルギーによる筋肉刺激デバイス「クールトーン(CoolTone)」も広げている。
レーザー分野では、老舗のキャンデラ(Candela)が世界的に知られる。1970年創業で、米マサチューセッツ州に本社を置く。キャンデラはイスラエルのシネロン(Syneron)との統合を経て、2019年に新生Candelaとなった経緯がある。
代表的なデバイスは、脱毛レーザー「ジェントルマックスPro(Gentle Max Pro)」。アレキサンドライト+Nd:YAGのデュアル波長による業界標準的な脱毛機として知られる。日本国内でも医療脱毛の機器として広く利用されている。このほか血管治療用レーザー「Vビーム(Vbeam)」、ピコ秒レーザー「ピコウェイ(Picoway)」などを展開する。
サイノシュア(Cynosure)も米国を代表する美容機器メーカーの一つ。2024年に韓国のルートロニック(Lutronic)と合併し、サイノシュア・ルートロニックとなった。
ピコ秒レーザーの「ピコシュア(PicoSure)」や高周波機器の「ザーフ(XERF)」などで知られる。
さらに、ソルタ・メディカル(Solta Medical)は、現在、本社をカナダに置くバウシュ・ヘルス(Bausch Health)グループで、日本で「サーマクール」で知られる、高周波タイトニング装置「サーマージ(Thermage)」を展開している。高周波美容機器の先駆的な企業といえある。
このほかサイトン(Sciton)やキュテラ(Cutera)などが知られる。キュテラは2025年に日本の民事再生法に当たるチャプター11の適用を受けて、経営再建されることになった。
医薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は美容デバイス専業ではないが、豊胸インプラント(Mentor部門)を提供している。
欧州にはレーザー老舗

HIFU(高密度焦点式超音波治療、ハイフ)の機器としてドイツ企業メルツのウルセラが有名。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
欧州にも特色ある美容医療機器メーカーが点在する。
照射系技術に強みを持った会社がドイツやイタリアに加え、東欧に存在している。
ドイツではメルツ(Merz Pharma)が医薬品部門と並行してエネルギーデバイス開発も行っている。HIFU(高強度焦点式超音波治療、ハイフ)によるたるみ治療器「ウルセラ(Ultherapy)」を展開している。
ドイツのアスクレピオン(Asclepion Laser Technologies)は1977年から続く老舗で、レーザー機器で国際市場をリードしてきた。
イタリアのDEKA(デカ)は親会社のEl.Enグループの中で、レーザーを開発している。DEKAはマイクロ波を使った「クールウェーブス(Coolwaves)」技術による痩身機器「オンダ(Onda)」を提供している。オンダは皮下脂肪細胞を選択的に加熱・破壊するとともに、セルライト改善や皮膚の引き締め効果があるとされる。
イタリアにもクアンタ・システム(Quanta System)もレーザー企業として知られる。
スロベニアのフォトナ(Fotona)も欧州を代表するレーザーメーカー。1960年代創業の老舗で、エルビウムヤグやNd:YAGレーザーを用いた「Fotona 4D」シリーズを展開する。
チェコのBTLが超音波と電磁波を組み合わせたエムスカルプト(EMSCULPT)などを展開している。
オーストリアのクリニシス(CYNOSIS)はPRP遠心分離等の関連機器で知られている。
韓国が世界に展開

レーザー圧力式の無針注入機器、Mirajet(ミラジェット)。低出力のCleoも発表。(写真/編集部)
注入製剤と同じく、アジアでは韓国企業が美容医療デバイス分野でも頭角を現している。
前述のように韓国のルートロニックは米国サイノシュアと合併したが、このほかにもクラシス(Classys)、ジェイシス(Jeisys medical)といったメーカーが拠点を置き、レーザーやHIFU機器を開発、輸出している。
クラシスは2007年設立ながら、HIFUによるリフトアップ装置ウルトラフォーマーIII(Ultraformer III)や高周波のボルニューマー(Volnewmer)などで強みを持つ。
ジェイシスは、レーザー機器「Tri-Beam」やHIFU機器「Ultracel」のほか、高周波の「デンシティ(Density)」やマイクロニードルRFのポテンツァ(Potenza)などを展開する。
このほかビオラ(Viol)はマイクロニードルRFのシルファーム(Sylfarm)を展開する。
最近では、針なし注入機器を提供する新興企業が複数登場し注目される。JSKバイオメッド(JSKBiomed)のミラジェット(Mirajet)、バズバイオメディック(BAZ BIOMEDIC)のキュアジェット(Curejet)、コンタック(Contac)のベラジェット(Bellajet)だ。
メタヘルスケア(Meta Healthcare Group)が2025年6月、カナダのヴィーナスコンセプト(Venus Concept)から、植毛ロボットの「アルタス・システム(Artas system)」を買収している。
このほかにも独自の技術を強みとする機器メーカーが存在している。
中国も自国メーカーも台頭しつつある。例えば、上海復星(Fosun)グループはイスラエルのAlma Lasersを傘下に収めている。
中南米やイスラエル発の技術も続々

Sofwaveの施術風景。(写真/Sofwave medicalのYoutubeチャンネル)
中南米では、ブラジルのヴィデンス・メディカル(VYDENCE Medical)が、レーザー機器などを国内外に提供している。美容医療大国のブラジルで実績を積んだ自国デバイスが世界に影響を与えている。
中米コスタリカのモティバ(Motiva)は、豊胸のためのインプラントのメーカーとして世界で認識されている。
中東のイスラエルも、美容医療の機器メーカーが複数存在している。
ルミネス(Lumenis)は世界初の医療用IPLを開発した企業として知られる。このほかシネロン(Syneron, 現Candelaと統合)やアルマ・レーザーズ(Alma Lasers、中国グループ)も知名度が高い。
さらに、インモード(InMode)は、高周波の機器「モフィウス8(Morpheus8)」で知られる。2019年の米国NASDAQ上場後に急成長している。
ソフウェブ(Sofwave)が皮膚引締め用超音波照射器ソフウェブを提供し、これは日本でも承認を受けたことで注目された。SUPERB(同期平行超音波ビーム)と呼ばれる、従来のHIFUのように焦点を一点に集めるのではなく、皮膚全体に均一に照射される設計となる。
画像診断の機器も欧米で発展

顔の2D&3D画像を同時に撮影できるAURA。(写真/編集部)
画像診断のための機器は欧米を中心に新しい技術が次々と登場している。
米国キャンフィールド・サイエンティフィック(Canfield Scientific)が、顔の形やボリュームを解析する「VECTRA」、シミや赤みなどを解析する「VISIA」を提供する。
欧州では3次元撮影に対応した機器が複数存在する。例えば、スイスのクリサリックス(Crisalix)が3Dイメージングの機器を提供しているほか、フランスのクオンティフィケア(QuantifiCare)もライフビズ(LifeViz)という製品を提供している。
このほかスウェーデンのヘキサゴン(Hexagon)グループが2Dと3Dを同時に撮影するオーラ・リアリティ(AURA reality)、オランダのシルトン(Sylton)が、マルチライトでの撮影などを特徴するオブザーブ(Observ)を展開している。また、ドイツのフォトファインダー(Fotofinder)が撮影ツールを展開している。
世界で新しい美容機器が登場するが、日本では承認を受けたものが少ない。また、日本の美容医療機器で世界に通用する製品も皆無。
美容医療に対する規制が強化される方向にあるが、そうはいっても美容医療のニーズは伸びており、安全で有効な形で発展が予想される。そうした中で、日本はさらなる規制の形をどうしていくのか、また、国内の会社から独自の技術が登場することがあるのか注目されるところでもある。
参考文献
【KIMES 2025レポート】針なしのジェット式注入機器が次々と登場、バイオスティミュレーターなどを目的の深さに均一に、MirajetやCUREjetなどが注目される
https://biyouhifuko.com/news/column/12003/
F1技術が美容医療の画像診断に、顔を2D&3D同時撮影、シミ、シワ、きめ、赤み、毛穴をまとめて数値化、スウェーデンHEXAGONグループ製の「AURA」都内で発表会
https://biyouhifuko.com/news/japan/14378/
美容整形の期待と現実を一致させる!CrisalixやVECTRAなど最新の画像技術
https://biyouhifuko.com/news/world/3324/
韓国メタヘルスケアが植毛ロボット「ARTAS」など買収、毛髪再生リードへ、AI×ロボティクスで毛髪技術の発展を加速、約30億円でカナダ・ヴィーナスコンセプトから事業取得
https://biyouhifuko.com/news/world/13094/
