美容医療の現場に立つ男性看護師に集まってもらい、座談会を開催。女性看護師とは違った視点もあり、美容医療を検討するときのヒントにもなるかもしれない。第5回は、日本と韓国の美容医療の違いについて。
──美容大国韓国で流行っていて、国内ではそうではない施術はあるか?
こば: 日本は、色々な抱き合わせ治療をしますよね。韓国では、そういうやり方はあまり好まれず、ダーマペンやニードル治療は流行らないんですよ。
韓国で何が流行っているかというと、毛穴や肌質改善には、肌に栄養を入れる水光注射です。
日本では一時的に流行ったことはあったものの、すぐに廃れてしまった。ここ数カ月、肌育製剤の流行と並行して水光注射が見直されてはいるが。
──確かに、国内では長らく聞かなかった。
こば: でも、韓国では水光注水光注射は継続的に出ています。
国内で水光注射と同等なのはボライト(表皮の下にヒアルロン酸を打つ)があり、私は美肌効果を実感できて好きです。お勧めすることもあるんですけど、世界的に見ても国内では不人気だった。
──水光注射が韓国で揺らがずに人気なのはなぜなのか。
こば: 韓国の方が、肌の仕組みやベースを理解している人が多く、日本は流行りを重視している人が多いからではないでしょうか。
髙橋: 「新しいのが良い」という風潮がありますよね。昔からの治療でも、すごく良いものもあるのに。肌のシステムって変わらないのに、昔からある治療がどんどん排除されていく。
こうじ: SNSでも水光注射について見ない時期があり、その時は、高周波、ポテンツァ、シルファームなどを多く見掛けましたね。
こば: 最近、国内でよく見るポテンツァって逆に韓国だと流行っていないですよね。
こうじ: うちのクリニックにも来月ポテンツァが入る予定です。それで予約が埋まるんだろうなと思うんですけど、そのポテンツァも正直「いつまで流行っているのかな?」と思います。
──流行りを追いかけすぎでは……?
こうじ: そうなんですよ。日本も美容の基礎をみんなが理解し、流行りで施術を決めるのではなく、本当に綺麗になるための施術を選択していってほしい。
こば: 人間の皮膚はそんなに変わらないですからね。
髙橋: そうなんですよね。
こうじ: 美肌の鉄板は、ピーリングをしてトーニングをしてエレクトロポレーションをすること。それさえ続けていれば、陶器みたいな肌になっていくので、それを伝えます。でも、お客さんたちは「この治療がいいって聞いたからやりたい」と言います……。新しいものへの需要はあるんでしょうけど、それで必ずしも良くなるかどうか?と聞かれると、未知なものもあり、「心からお勧めはできないな」と思うこともありますね。
──日本人は冒険心がある。
こば: 日本人冒険者ですよ。
こうじ: みなさん、きちんと調べてきてはくれるんですけど、知識が付いていない状態での調べ方になっているのでね。
髙橋: 僕らは、こういう仕事をしていて実態を把握しているし知識があるから、新しい施術を精査することができますが、お客さまは「クリニックにあるものは全部いい、全部安全」という考えなのかなと思います。だから、僕らは、いかにお客さまたちに実情を伝えられるか、ということが大切なんじゃないですかね。
──新しく入ってきたものを疑う視点も持ち、美容業界の方に尋ねる姿勢も必要かもしれない。
他に新しい機器について何かご存知なものは。
こば: 先日、韓国の機械を見に行ったんですけど、これが流行るかは分かりませんが、「面白いな」と思ったのは機械で薬剤を導入するものです。
──え、どういうことですか?
こば: ダーマペンは針で薬剤を入れますが、エアジェットで薬剤を入れていくんですよ。
こうじ: 「プシュ」と空気圧で入れるんですか?
こば: そうです。
──それは真皮にまで届く?
こば: どこまで開いているかの画像も確認しましたが、真皮にまで入っていくようでした。
こうじ: 気持ち良さそうですし、いいですね!
髙橋: メドジェットのような感じでしょうか。出血などはしないですか?
こば: しないです。
──似たものが国内に既にある?
髙橋: はい。メドジェットは、頭皮にも顔にも使えるものです。
こば: そうですね、韓国で見た機器も頭皮にも顔にも使えるものでした。
髙橋: メドジェットは、7〜8年か、もっと前から主にAGA治療に使われている機器です。
こば: その最新、改良版で進化したものを今韓国では勧めています。2、3年後最新版が日本にくるかもしれない。
──皮膚がより活性化される? メリットは?
こば: 中に薬液を入れるため、基本的に薬剤の効果が肌の中に入っていく水光注射と同様なんですけど、針じゃないので痛くないんですよ。
髙橋: メドジェットは、炭酸ガスの圧力を利用して毛穴に薬剤を入れていくもので、痛みはあまりないものの、機械の不具合が多く「なんで安定しないの?」と思いながらやっていました。設置や準備をする人、施術を担当する人によって効果の出方が変わったり、すごく取り扱いが難しかったですね。
こうじ: すごい繊細な機器ですね。
──より安定し、進化しているのでしょうね。
髙橋: そうかもしれないですね。楽しみですね。
こうじ: 自分も数カ月に一回、有給を使い韓国へ行き、美容施術を受けさせてもらっています。クリニックのスタッフと行くこともあります。全体で10数人しかいないこともあり、家族のように仲がいいんです。先日は、一人で行かせてもらい、受けようと思っていた最新施術があったんですが、受ける直前に体調不良になってしまって……。
──受けようと思われていた施術は?
こうじ: チューンフェイスです。これは未知の機器で、新しさが際立っているからやってみようと思っていたんです。皮膚を吸引するんですよ。吸引しながらRFを入れます。吸いながら入れるって、「すごく最先端!効きそうだな」と思い。また、数カ月後に行くので受けてきます!
──これも日本にいずれ来るのか。
こうじ: まだ、日本に来るなどの話はないですね。韓国で導入し始めたばかりなので。韓国で流行ったら、その可能性もあると思います。日本で今、RFも流行っていて、今後RFが進化していく時代なのかなと思っています。
──韓国の機械を導入していく会社が国内に新しくできたそうなので、今よりももっと早く韓国の最新機器が国内にも早く入ってくるようになりそう。
こうじ: 韓国で使われている機器は、韓国の国の承認を得ているものなので、安心感もありますよね。
──さまざまな最新機器が導入されることが楽しみな一方で、美容の基礎知識が国内でも浸透していくと、より美容を安全に賢く取り入れていけるのでは。