美容医療サービスの広告を原因として、消費者トラブルが起こることがある。日ごろ目にしているウェブサイトやSNS、動画などの情報の中で、悪質およびガイドライン違反に当たるものはあるのだろうか。
今年3月に厚生労働省が新たに改訂した「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」(第4版)を公表しており、そのポイントを3回の連載で解説する。
今回は、ウェブサイトで禁止される広告の例として新たに追加された項目と更新された項目を紹介する。美容医療の広告を見たときに、当てはまる部分があれば、その広告を出しているクリニックの姿勢が疑われる。
「処方箋医薬品等を必ず受け取れる」は禁止
ヒフコNEWSで既に伝えているように、医療広告ガイドラインで禁止されている広告の事例集が公開されており、今回これが改められた。新たに誇大広告に当てはまり広告が禁止される事例として、①医療内容、②処方箋医薬品に関する事例が加わった。
誇大広告とは、「商品やサービスの内容や価格が実際よりも優れている、あるいは有利であると誤解させる広告」である。
①医療内容
提供する医療の内容等について誤認させる広告とは、必ずしも虚偽ではないが、提供する医療の内容等について、広告内容から認識する印象や期待感と実際の内容に相違があるもの。これは、誇大広告に当たるという。
例えば次のような事例が当てはまる。
<例:「3年間○○し放題」>
治療の効果を発揮するために、次の治療との間に一定の期間が必要な場合、3年間で実質的に受けられる治療の回数は限られるだろう。それにもかかわらず、「○○し放題」という表現を行うと、あたかも回数制限なく治療を受けられると誤認されてしまう。よって、このような表現は誇大広告とされる。
他にも、例えば「痩せホルモンとして最近話題の○○製剤が、肥満症に対して保険適用になりました」という記載があった場合、「痩せホルモン」という表現は不当に誇張した表現であり、誇大広告とされる。また、以前から一定の条件下で保険適用であった薬が、あたかも初めて保険適用になったかのような表現した場合も、誇大広告となる。
②処方箋医薬品
医師の診察や処方箋の交付を経て処方される処方箋医薬品等について、必ず受け取れるとする表現。「すぐに医薬品のお受け取りが可能」といった表現にも、注意が必要なようだ。本来、医師の診察や処方箋の交付を経て処方される処方箋医薬品等について、必ず受け取れるとする表現は、誇大広告に当たるとされる。これらについては「誇大広告」に当たり、禁止される。
ビフォーアフター写真には詳細説明が必要
更新された事例としては、「ビフォーアフター写真」に関する内容があり、画像等をクリックしなければ詳細な説明が表示されないものはガイドライン違反とされる。
ビフォーアフター写真については、個別の写真のすぐ側に、消費者の分かりやすい形で「治療の内容・費用・リスク・副作用」等が明記されていることが必要、と知っておくと良いだろう。