ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

韓国の美容医療、医師3人が進めるバランス重視、地元での口コミから世界へ、「目鼻立ち」と「全体の調和」を両立、Balance Lab美容外科共同代表のイ・ジャンウォン氏に聞く

カレンダー2025.4.15 フォルダーインタビュー

 韓国の美容医療が世界から人を引きつけるのはなぜか。ソウルの江南区には数え切れないほどのクリニックが密集し、各医院が特色を打ち出して競争している。美容外科や美容皮膚科などの看板が掲げられている医院を多く見ることができる。そうした中で形成外科と内科を組み合わせて診療を提供しているBalance Lab美容外科を訪問した。この医院では、形成外科医2人と内科医1人の合計3人が共同代表を務める。身体の外側および内側の両面からアプローチするクリニックだ。今回は同院でボディラインの形成を担当する形成外科専門医、イ・ジャンウォン院長にクリニックの考え方や強みを聞いた。(聞き手/ヒフコNEWS編集長 星良孝)

韓国Balance Lab美容外科のイ・ジャンウォン院長。(写真/編集部)

韓国Balance Lab美容外科のイ・ジャンウォン院長。(写真/編集部)

  • 総合的な美容医療→ 形成外科医2人と内科医1人による連携体制で、外見と内面の両方から美しさを引き出すクリニックを運営。
  • 「Balance Lab」の理念→ 「美しさはバランスから」を信条とし、継続的な研究を表す「Lab(ラボ)」を名称に取り入れている。
  • 独自のボディコントゥアリング施術→ 傷跡を残さない腹部糸リフトや、極細のカニューレとキャビテーションを併用した脂肪吸引を実施。技術革新により安全性と審美性を両立。

──外科と内科が連携している。

イ氏: 私ともう一人の形成外科医、そして内科医の計3人が共同代表としてクリニックを運営しています。私がメーンで担当しているのはボディコントゥアリング、すなわち身体のラインを整える施術です。脂肪吸引や腹部形成術を手掛けています。一方、もう一人の形成外科医はフェイスリフトなどのアンチエイジング手術を専門としています。内科医は点滴や代謝改善を担当します。

──3人が協力する目的は。

イ氏: 韓国の美容クリニックは外見に重きを置くところが多いですが、私たちは体の中から美しさを引き出す「内面の美」にも着目しています。外見を整えるだけでなく、内科医が点滴などで健康面を支えます。この点が当院の大きな特徴です。

──「Balance Lab(バランスラボ)」というクリニック名とも関係する。

イ氏: クリニック名に「Balance(バランス)」を入れたのは、美しさはバランスで決まると考えるからです。眉・目・鼻を完璧に揃えるより、全体の調和が大切だと考えています。「Lab(ラボ)」と付けたのは、常に研究し続ける姿勢を示すためです。

 外科と内科を組み合わせた総合的なアプローチを行い、「Find Your Balance(バランスを見つける)」という使命の下で、「Fit Your Balance(あなたに合ったバランスを整える)」という価値を提供することを目指しています。

──その中で、ボディコントゥアリングを担当している。

イ氏: 私は脂肪吸引や腹部の糸リフトを行っています。

 この糸リフトはへその近くを小さく切開するため、外に傷が残りません。韓国でもまだ実施施設が少ない新しい技術で、専用の器具と高度な技術が必要です。糸は友人が関わるベンチャー企業製です。

 脂肪吸引では、従来と比べて極細の針とカニューレを用い、術前に超音波によるキャビテーションも併せて行うことで脂肪を柔らかくしてから吸引します。これにより傷跡をほとんど残さずに済むのが特徴です。従来は太いカニューレが用いられていましたが、細くて強いカニューレの登場により可能になりました。技術の進歩により、ようやく実用化が現実のものとなってきたのです。

──美容外科といえば、顔が重要視されるが、ボディに着目した理由は?

イ氏: 韓国では目や鼻、輪郭など顔の整形がとても人気なのですが、ダイエットの文化が広がり、身体のラインを整えたいという需要は今後さらに高まると見ています。ベトナムやタイ、日本のように痩せ型が多い国でも「良いシェイプ」を望む方が多く、実際に、そうした国からの来院も増えています。日本の方は、「もともと太っているわけではないが、よりスリムでメリハリのある体にしたい」という希望を持っているようです。日本人の方も増えています。当院には日本語の通訳者が常駐しており、カウンセリングから術後のフォローまで一貫してサポートしています。

 当院の強みは、ボディラインの形成に加えて、内科医による体重管理も組み合わせられる点です。脂肪吸引だけではリバウンドの恐れがあります。しかし、内科医によるカウンセリングや点滴、代謝管理などを組み合わせることで、外側だけでなく内側からも整えるアプローチが可能になります。細胞の老化指標となるテロメア長を測定する検査も導入しています。

韓国Balance Lab美容外科のイ・ジャンウォン院長。(写真/編集部)

韓国Balance Lab美容外科のイ・ジャンウォン院長。(写真/編集部)

  • 形成外科の専門性の活用→ 解剖学的知識に基づいた適応判断と施術技術により、合併症リスクを最小限に抑える脂肪吸引などを実施。
  • 韓国美容医療の強み→ 医師の技術力、医師による施術限定の法制度、症例数の多さ、SNSを活用した透明性の高い情報発信が競争力の源泉。
  • ファシリテーターに頼らない集患→ 口コミとSNSマーケティングによって信頼性の高い集患体制を構築。ローカルからインバウンドへと広がる。

──施術において形成外科の専門性をどのように生かす?

イ氏: 形成外科医として、解剖学的な知識を生かし、脂肪吸引の適応を適切に判断します。経験を積むことで合併症を減らせます。また、超音波キャビテーションを用いて脂肪を柔らかくしてから吸引することで、術後のリスクやダウンタイムを最小限に抑えています。

──韓国の美容医療が海外から高く評価される理由とは?

イ氏: 第一に、医師の技術と競争環境が挙げられます。韓国の医師は互いに競い合いながら新しいトレンドや機器をいち早く取り入れるため、スキルが磨かれます。

 第二に、施術を行うのが必ず医師だという法制度が安全性を高めています。例えば、HIFU(高強度焦点式超音波治療、ハイフ)などの機器も医師しか実際の治療に使用できません。私たちは皮膚の厚さに合わせてカートリッジを使い分けるなど、解剖学的知識を基に出力や深度を調整するため、ヤケドなどのリスクを抑えられます。

 第三に、症例数と経験値です。韓国は施術件数が多く、医師が治療経験を積みやすい環境が整っています。

 最後に、情報発信力です。クリニックはSNSやYouTubeを活用し、結果を公開する文化があります。マーケティングが活発なぶん、良い結果を出せなければ淘汰されます。そうしたサイクルが韓国の美容医療全体の水準を押し上げています。

──韓国政府の医療観光支援やファシリテーターのサポートも活発だ。

イ氏: 医療観光のためのファシリテーターを使うクリニックもありますが、私たちは利用していません。口コミで来院する方が多く、そのように人づてに人が集まるほうが、双方にとって信頼感を得やすいと考えています。まずは地元の人々に認知され、そこから徐々に海外へと広がっていく流れがあります。InstagramなどのSNSを活用したマーケティングや、インフルエンサーの影響力も非常に大きな要素となっています。

 また、韓国では大手クリニックほど人材や設備が充実しており、マーケティングにも積極的です。競争が新しい技術やサービスを生む要因にもなっていると考えています。

 私たちもデザイン専門の企業と提携して、クリニックのコンセプトとデザインを連動させる取り組みをしています。そうしたマーケティングに力を入れることは大切だと考えています。

──日本人がクリニック選びで気を付けるべき点は?

イ氏: 専門医資格の有無を確認することは重要です。韓国では、形成外科、皮膚科、内科などの専門医制度が厳密に分かれ、医師はそれぞれの専門分野に特化して施術を行う傾向があります。次に重要なのは、医師の経験と症例数です。例えば、脂肪吸引では、どの部位にどの程度の施術を行うかを適切に判断することで、合併症のリスクを避けることができます。

 私たちは外科と内科が連携し、身体の内外からバランスの取れた美を目指します。バランスを重視するクリニックとして、今後も進化を続けていきます。

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。