
天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長 竹井賢二郎氏(写真/編集部)
竹井賢二郎(たけい・けんじろう)氏
天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長
- 美容皮膚科はアンチエイジングが中心→竹井氏のクリニックでは、20代前半の来院は少なく、30代以降のアンチエイジング目的が多い。
- 若年層は美容外科志向→若い層は「理想の美」や変化を求め、美容外科的な施術を選びやすい傾向にある。
- 美容医療への向き合い方にも地域差→東京では目的が明確で計画的、福岡では美容医療への関心が芽生えたばかりの層が多い印象。
──アンチエイジング目的で美容皮膚科を利用する人は多い。
竹井氏: 私たちのクリニックは特にそうですが、20代前半や学生さんといった、いわゆる若い層の方はあまり多くありません。福岡市において地下鉄沿線という交通の便も良く、アンチエイジングを中心とした診療がメーンになっています。
若い方たちは、美容医療に対して「より美しくなりたい」「理想の形に近づきたい」といった、「ビューティフィケーション(beautification、美化)」の感覚を持つ方が多いと思います。その場合には、美容皮膚科というよりも、むしろ美容外科的な施術を希望する傾向が強まると考えています。
──確かに美容皮膚科と美容外科にはきっかけに差がある。
竹井氏: 美容皮膚科の治療は、試しに受けやすいという面があります。仮にうまくいかなかったとしても、「ちょっと赤くなった」「あまり効果が感じられなかった」というくらいにとどまることが多いです。それは美容外科とは大きく異なると思います。例えば、手術のように一度で結果が決まる治療であれば、「とりあえずやってみよう」という発想は通用しにくい世界になると考えられます。
そういう違いがありますから、美容皮膚科については、福岡市の方が気軽に地元の美容皮膚科を利用するということも多いと思います。それと比べると、美容外科の場合ですと、信頼できる医師を選ぼうとして、東京などに出向いていく方も多くなるのではないかと感じます。
私自身、東京でも診療していますが、クリニックの性質に差もあるように考えられます。単純な比較は難しいのですが、東京の方は既に仕上がっている印象を受ける方が多いです。肌の状態が良く、「あともう少し整えたい」といった微調整を希望されるような方が多いですから。一方で、福岡では「美容医療は初めて」とおっしゃる方にお会いする機会が多いです。美容に詳しく自身でいろいろと試されてきた「玄人」もいらっしゃいますが、全体的には美容医療的なことを経験してこなかった方が多い印象です。
福岡市と東京では、人々の美容医療に対する向き合い方にも違いがあると感じます。

天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長 竹井賢二郎氏(写真/編集部)
- 知識不足の情報発信が問題→発信力だけが先行し、医学的知識の乏しい人物が注目を集める現状がある。
- 美容医療は今が成長期→クリニックの数が増えているが、誠実に取り組む医師がもっと増えてほしいと期待。
- 自由診療としての魅力→美容医療は医師の個性を発揮できる柔軟な分野であり、創意工夫と学びが求められるやりがいのある領域。
──医師などの情報発信の功罪が指摘されることもある。
竹井氏: 美容医療の情報発信の場で知識の乏しい方々が目立ち続けるのは望ましいとは言えません。現実的に、知識が不十分なままに表に出ている方を目にするケースもあります。発信力のある方が注目されますが、それが常に良い方向に作用しているかというと、必ずしもそうとは言い切れません。立場上、広告塔のような役割を担わざるを得ないといったケースも見受けられます。
しかし、逆にきちんとした知識と姿勢を持った人が増えれば、知識の乏しい方々の居場所は自然と減っていくはずです。
学会の講演に参加していると、発表している方々の中には優秀な方も多くいます。大学の先生などの中には、アカデミックな立場から美容に関心を持ち、誠実に取り組んでいる方もいます。発表すること自体が目的とするのではなく、美容皮膚科の研究を前に進めていくことが重要でしょう。
──福岡市から美容皮膚科の知識を積極的に発信している。
竹井氏: 私自身は、ただ当たり前のことをやってきただけだと考えています。興味に従って美容に取り組み、それをSNSなどで発信してきました。きっと、それが良かったのだと振り返って考えています。
結果的に、私が示してきた姿勢をご覧になった方々が、遠方からも足を運んでくださるようになりました。美容医療に関心を持ち、それを追求し、誠実に向き合ってきました。私のようなスタンスのドクターは医療界にも少なくありませんが、絶対数としては限られていたのだと感じています。
私の感覚としては、美容皮膚科の分野にとって今はまさに良い時代が来ているといえます。
クリニックが増えすぎている、そんな増えて大丈夫かなどという声もありますが、全然大丈夫だと考えています。本当にきちんとしたドクターほど美容医療に取り組むことに慎重になっている印象もありますが、だからこそ、真剣に取り組むと明確に言える医師がもっと増えてほしいと考えています。
美容医療に真剣に取り組んでいるクリニックは多く存在しています。
一方で、「お金が余ったから投資してみた」など、利益を目的として軽い動機で美容医療に乗り出すところも見受けられます。そうしたケースでは、同じ施術をただ繰り返しているだけという状態になっているように見えます。そのスタイルで1年も経つと、どこかに歪みや問題が出てくることもあると考えています。それは社会問題になっているトラブルのような美容医療のデメリットの話ですね。
──美容医療という場は、医師にとってどういう意味を持つ?
竹井氏: 自由診療の中では、多様な情報を集めつつ、またメカニズムを考えながら、柔軟に実践できることが魅力の一つです。すべてが順調に進むとは限りませんが、医師としての個性を発揮できる場であり、やりがいのある分野だと考えています。そうした環境の中から、新たな発見が生まれてくると考えています。(終わり)

天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長 竹井賢二郎氏(写真/編集部)
プロフィール
竹井賢二郎(たけい・けんじろう)氏
天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長
2007年、九州大学医学部卒業後、九州大学病院にて初期研修。2009年、九州大学皮膚科学講座に入局し、立正佼成会附属佼成病院(東京都)勤務を経て、2010年に長崎県中対馬病院、2011年に九州大学病院に勤務。2012年より九州大学大学院にて皮膚科学を専攻し博士課程に進む。2014年には飯塚市立病院皮膚科医長を務め、2017年に九州大学皮膚科を退局後、宮崎県の医療法人中野会中野医院で美容皮膚科に従事。2018年からは福岡市のクリニックで院長を務め、2019年に天神竹井皮膚科 美容皮膚科を開設。
