
天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長 竹井賢二郎氏(写真/編集部)
竹井賢二郎(たけい・けんじろう)氏 天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長
- 美容と保険診療の両立→保険診療と美容皮膚科を並行して実施。美容医療機器は20種類を導入し、施術内容に応じて使い分けている。
- 高周波治療で肌質改善に注目→XERFやOligioXなどの高周波機器を、たるみだけでなく肌質改善目的でも使用。冷却を弱めて表層へのリジュビネーション効果を狙う。
- アンチエイジング層の支持→30代後半~40代の患者が多く、赤みや色ムラなどの悩みから施術を開始し、徐々にたるみ・肌質改善に関心が移る。
──美容診療と保険診療を並行して行っている。
竹井氏: 一般の皮膚科として保険診療も行いながら、美容皮膚科の診療も並行して行っています。何でも対応できる体制にしておきたいと考え、注入系の施術、照射といった、手術以外の処置を一通り対応できるように整えています。
美容皮膚科については、診療枠のバランスという意味である程度制限を設けてはいますが、数字的には美容と保険診療がだいたい半々くらいの比率です。実際に時間をかけている内容で見ると、美容のほうに比重が大きくなっているのが現状です。
今では、院内に導入している美容医療機器は20種類ほどになりました。最初はここまで増えるとは思っていませんでした。治療の幅を広げていくうちに自然と揃っていったという感じです。それぞれの機器と比較しながら、それぞれの特性をきちんと理解し、うまく使い分けることが大切だと感じています。
──肌質の改善という面から、高周波(RF、ラジオ波)の機器に注目している。
竹井氏: 簡単に言えば、肌質の改善は種をまくような治療だと思っています。畑を耕して、花を育てる。
高周波が肌質の改善に利用可能と気付いてきたのはここ1年くらいのことです。
熱による皮膚の引き締め効果を狙ったたるみ治療の効果から、XERF(ザーフ)、OligioX(オリジオX)、Density(デンシティ)、Volnewmer(ボルニューマ)といった高周波の機器を使い分けています。
そうした中で、高周波の機器について「これは肌質の改善にも効くな」と実感される医師が増えています。「表面のたるみや引き締めに使っていて結果が良かった」。よく観察すると、肌の表層に対するリジュビネーション(若返り)の効果が認められたというわけです。
私も最近では、高周波治療の冷却をあえて弱めにして、スライド式で照射し、たるみへの効果をあえて狙わず、むしろ肌質改善のために使うことも増えています。
──たるみの施術を求める方には一石二鳥。
竹井氏: 当院では、比較的アンチエイジング寄りの治療を求める方が多く来院しています。30代後半から40代が多いでしょうか。30歳を過ぎた頃から、少しずつシミやくすみといった変化が現れてきます。そのあたりが気になって、徐々に来院される方が増えてきます。
最初は「赤みを治したい」や「肌の色ムラが気になる」といった、目に見えて分かりやすいお悩みからスタートされる方が多いのですが、治療を進めていく中で、「たるみも少し気になってきた」ということで施術をします。そうして高周波の施術をすると、一緒に「肌全体のくすみが取れてきた」といった変化を実感する方が出てきているのです。その様子を見ていると、「ああ、これはそういうことなんだな」と、私自身も納得することがよくあります。
肌質の改善というのは、結果論というところはありますが、コラーゲンが増える、炎症が落ち着くといった変化により、早めに真皮の改善が起こっているという印象を持っています。高周波による熱がコラーゲン生成につながることは考えられますが、肌の色調の改善という点についてはこれからの研究に注目しています。肌育系の注入系の施術と共通した効果が期待できるところがあります。

天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長 竹井賢二郎氏(写真/編集部)
- 高周波機器ごとの特性→OligioXは深部のたるみに有効、XERFは肌質改善に優れる。Densityはバランス型、Volnewmerはマイルドな効果が特徴。
- 高周波とハイフの違い→ハイフは脂肪の収縮と溶解による立体的な引き締めに適し、高周波は靱帯収縮や肌質改善といった平面的なアプローチに有効。
- 診断を基に最適な施術を選択→たるみや皮膚の厚みを診断し、高周波・ハイフ・バイオスティミュレーターなど最適な治療法を判断する。
──同じ高周波でも違いがある。
竹井氏: 皮下組織のボリュームが多い部位のたるみには、OligioXの方がXERFやDensityよりも効果が高い傾向を感じています。一方で、表面を引き締めたり、肌質改善の効果についてはXERFは優等生と考えています。Densityはバランスの良さ、Volnewmerは水冷却なのでマイルドな効果と、それぞれに特性を認識しています。
メーカーの説明から「深部に届く」とされる機器であっても、実際に使いながら、特徴を把握していくのです。そうした使い分けをすることにより、施術の満足度を高めていくことができると考えています。
──高周波とハイフも異なる。
竹井氏: HIFU(高強度焦点式超音波治療、ハイフ)と高周波の使い分けについて、ハイフは、脂肪層を破壊して萎縮させますから、ボリュームの多い脂肪には有効だと考えます。脂肪を溶かします。脂肪と皮膚を物理的にしっかり収縮させるのはハイフ特有のものです。私はハイフを1.5mmや2mmの層に対して、そのボリュームを小さくする目的専用に使っています。
一方で、高周波は、肌質改善のほか、靱帯の収縮を促し、皮膚と骨を密着させる、引き締めの効果を意識しています。それに、肌質改善を目的に使うこともできるようになっています。
いわば、ハイフは立体的、高周波は平面的な効果を狙っているわけです。
安全性については、ハイフは50~60度といった温度で熱変性を起こしますが、高周波は50度程度にとどまります。熱がこもらなければより過度なリスクがなく安全に使えると考えています。
最終的には、その方にとって本当に「適応」があるかどうかをしっかり見極めることが、やはり最も重要になります。
──最適な施術を選ぶうえで、皮膚の診断が重要。
竹井氏: たるみのあるなし、皮膚の厚みなどを見ながら、高周波を使うのか、ハイフを使うのか、バイオスティミュレーターを使うかなど選択します。
まず重要なのは、最初に皮膚の状態を正確に捉えること。その上で、どの機器を使うべきか、どんな治療法が適しているのかを検討していきます。(続く)

天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長 竹井賢二郎氏(写真/編集部)
プロフィール
竹井賢二郎(たけい・けんじろう)氏
天神竹井皮膚科 美容皮膚科 院長
2007年、九州大学医学部卒業後、九州大学病院にて初期研修。2009年、九州大学皮膚科学講座に入局し、立正佼成会附属佼成病院(東京都)勤務を経て、2010年に長崎県中対馬病院、2011年に九州大学病院に勤務。2012年より九州大学大学院にて皮膚科学を専攻し博士課程に進む。2014年には飯塚市立病院皮膚科医長を務め、2017年に九州大学皮膚科を退局後、宮崎県の医療法人中野会中野医院で美容皮膚科に従事。2018年からは福岡市のクリニックで院長を務め、2019年に天神竹井皮膚科 美容皮膚科を開設。
