女性のデリケートゾーンの形や大きさを整える婦人科形成。その代表的な手術である小陰唇縮小術では、見た目や日常生活の不快感を改善できる可能性がある一方、組織を切除し過ぎると、元の状態に戻すことが難しくなる。必要のない大陰唇縮小術や陰核包皮の手術を追加で勧められるケースもあるという。スワンクリニック銀座(東京都中央区)院長の福澤見菜子氏に、手術を検討する女性が何に注意し、どのように医療機関を選べばよいのかを聞いた。(聞き手/ヒフコNEWS編集長 星良孝)

スワンクリニック銀座院長の福澤見菜子氏。婦人科形成を専門とし、小陰唇縮小術などを手掛ける。(写真:編集部)
福澤見菜子(ふくざわ・みなこ)氏
スワンクリニック銀座院長
- 小陰唇縮小術のリスク→術中や術後の出血に加え、組織を切除し過ぎると修正が難しくなる場合も。
- 手術技術の重要性→電気メスの過度な使用による組織の壊死や、左右差、傷跡などの問題にも注意が必要。
- 切り過ぎを防ぐには→外陰部の組織の特徴を理解し、切除範囲の判断や止血、縫合を適切に行う経験が重要。
──小陰唇縮小術は合併症や仕上がりの問題も。
福澤氏:お話ししたように手術中や術後の大きな心配は出血です。出血が多くなって、救急搬送になるケースもあります。
ただ、出血については適切に止血することで対処できることが多いと思います。
一方で、長期的な問題として特に注意したいのは、切り過ぎです。小陰唇を切除し過ぎてしまうと、後から修正することが非常に難しくなる場合があります。
──切り過ぎると元に戻すことが難しくなる。
福澤氏:そうですね。切り過ぎによって症状が出た場合の再建方法も研究されています。最近は形成外科の文献でも、具体的な手術方法についての報告があります。
再建できる場合もありますが、切り取られた組織が残っていないと難しいこともあります。
当院にも修正の相談が来ますが、切除された範囲が大きく、もう手の打ちようがないという例もあります。
だから、何より切り過ぎないことが重要だと思います。
──小陰唇はもともと形や大きさに個人差がある。
福澤氏:そう思います。婦人科形成は特殊な部位の手術ですから、一般的な皮膚とは異なる、粘膜に近い組織を扱う経験が必要です。
切除する範囲を考えることも大切ですし、止血や縫合といった基本的な形成外科の技術も必要になります。
見た目を整える手術ですが、単に小さくすればよいというものではありません。
──切除する範囲を考えるばかりではない。
福澤氏:例えば、経験の浅い医師が出血を恐れて、電気メスで組織を焼き過ぎてしまうことがあります。
電気メスは止血に使いますが、過度に使用すると組織にダメージを与えてしまいます。
手術直後はきれいに縫ってあっても、その後に血流が途絶えて、組織が壊死し、脱落してしまうことがあります。
実際に、そういう症例を見たことがあります。
──手術直後の見た目がきれいでも、その後に問題が起こることがある。
福澤氏:そうなんです。
ですから、基本的な形成外科の手技を持っていることが大切だと思います。適切に止血し、組織へのダメージを抑えながら縫合する技術が必要です。
さらに婦人科形成では、外陰部の組織の特徴を理解して、きれいに仕上げる経験も求められます。
婦人科形成は左右差や部分的な膨らみなども問題になります。特に小陰唇は、もともと左右の形が完全に同じとは限りません。どのように切除して、どのように縫合するかが重要です。
また、傷跡の残り方にも注意が必要です。こうした問題をできるだけ減らすためには、手術の経験を積むことが大切だと思います。
- 不必要な追加手術→大陰唇縮小術や陰核包皮の手術を必要以上に勧められるケースも。
- 過剰な切除の影響→大陰唇の皮膚を切り過ぎると、周囲の組織が引っ張られ、腟の乾燥や不快感につながる場合も。
- 医療機関の選び方→症例数や医師の経歴、形成外科の専門性、口コミなどを確認。追加手術の必要性や費用についても十分な説明を受けることが重要。
──合併症だけでなく、そもそも必要のない手術を受けてしまう問題もある?
福澤氏:一部の美容外科では、収益を考えて追加の手術を勧めることがあります。
以前、大陰唇縮小術を必要以上に勧めるクリニックが目立った時期がありました。
大陰唇縮小術そのものは、適応のある方にはよい手術だと思います。例えば、大陰唇の皮膚にたるみがあり、その改善を希望する方などです。
ところが、20代で全くたるみがないような方にも、手術を勧めるところがありました。
──必要のない皮膚を切除すると、どのような問題が起こる?
福澤氏:大陰唇の皮膚は比較的厚い組織です。皮膚に余裕がないのに切除してしまうと、脚を開いたときに周囲の組織が引っ張られ、腟の入り口が開いたような状態になってしまうことがあります。
そうすると、腟が乾燥して、若い方でもイガイガするような不快感が出ることがあります。実際に、そうした合併症について相談を受けた時期がありました。
最近は以前より少なくなった印象ですが、必要性を十分に考えずに施術を勧めるところは、まだあると思います。
このほか、陰核(クリトリス)の包皮の手術も不必要に行われることがあります。小陰唇縮小術を希望して来院した方に、陰核包皮の手術が必要なケースもありますが、必要のない方にも「陰核包皮も一緒に手術した方がよい」と勧めることがあるのです。
婦人科形成の場合、本人には「普通の形」がよく分からないことが多いですよね。
顔の美容医療であれば、目や鼻の形について、ある程度は自分で完成形をイメージできます。でも、外陰部については、ほかの人と比較する機会がほとんどありません。
そのため、医師から「ここも手術した方がよい」と言われると、そうなのかなと思ってしまうことがあります。
──自分で必要性を判断しにくいことが、過剰な施術につながる可能性がある。
福澤氏:そういう面はあると思います。
医師に勧められて、おかしいと思えば断れるかもしれませんが、「やってみようかな」と受けてしまう方もいます。
本人が完成形を具体的にイメージしにくいので、医師の言いなりになって、必要のない手術まで受けてしまうことがあるんです。
──男性の包茎手術では、安い料金を表示して集客し、来院後に追加の施術を勧めて費用が高額になる問題が指摘されてきた。
福澤氏:男性ほどではないかもしれませんが、女性の婦人科形成でもあります。
安い料金で集客して、実際に来院すると陰核包皮など別の施術を次々に勧められる。その結果、当初の表示よりも費用が高くなることがあります。
そういう問題はありますね。
──小陰唇だけでなく、周囲の組織も一緒に整えた方がよい場合もある?
福澤氏:そうですね。
例えば、小陰唇の上にある「副皮」と呼ばれる部分も、小陰唇と一緒に伸びている場合があります。
そのような場合、小陰唇だけを小さくすると、副皮の部分だけがはみ出して見えることがあります。ですから、必要に応じて副皮も同時に手術することがあります。
大切なのは、なぜその手術が必要なのかということです。
──実際に医療機関を選ぶときには、どのような点を見ればよいのだろうか。
福澤氏:まず、症例数が非常に重要だと思います。
ある程度の症例を手掛けて、婦人科形成に積極的に取り組んでいる施設であれば、ホームページにも件数を掲載していることが多いと思います。
症例数を公開していることは、実績や自信の一つの目安になります。
──症例数が多ければ、必ず安全というわけではないが、経験の目安にはなる。
福澤氏:症例数は判断材料の一つになると思います。
そのほか、医師の経歴も見た方がよいと思います。
修正の相談を受けたときに、なぜこうなってしまったのだろうと思う症例があります。経験や基本的な技術が足りないように見えることもあります。
私は、形成外科専門医の資格を持つ医師がよいのではないかと考えています。
自分のクリニックへの誘導と受け取られるかもしれませんが、症例を多く手掛けている医師ほど、どうすれば失敗しないかを日々研究しています。
そうした経験の積み重ねは大切だと思います。
──口コミなども参考になるのだろうか。
福澤氏:口コミも一つの目安になると思います。
もちろん、すべてを信じればよいというわけではありません。ただ、実際の体験に基づいた口コミもあります。
特に悪い口コミが少ないかどうかは、判断材料になると思います。
よい口コミは作ることができるかもしれませんが、悪い口コミが少ないということには意味があると思っています。
──婦人科形成は、手術を受けたことを周囲に相談しにくい分野。
福澤氏:十分な経験を持つ医師が、適切な手術を行うことが大切だと思います。
特に切り過ぎてしまった場合には、修正が難しくなることがあります。
手術を受ける前に、どのような医師が担当するのか、どのくらい経験があるのかを確認していただきたいと思います。(続く)

スワンクリニック銀座院長の福澤見菜子氏。婦人科形成を専門とし、小陰唇縮小術などを手掛ける。(写真:編集部)
プロフィール
福澤見菜子(ふくざわ・みなこ)氏
スワンクリニック銀座院長。形成外科専門医、医学博士。2006年に慶應義塾大学医学部卒業。2008年に東京大学形成外科に入局し、関連病院で形成外科診療に従事。2012年に大塚美容形成外科千葉院院長、2017年に湘南美容クリニック松戸院院長、2019年に同赤坂見附院院長を歴任。2020年に医学博士を取得。婦人科形成手術、顔のアンチエイジング治療を専門とし、小陰唇縮小術や糸リフトなどを手掛ける。日本美容外科学会(JSAPS)および日本美容外科学会(JSAS)の正会員。日本形成外科学会、日本美容外科学会、日本抗加齢医学会などで婦人科形成や美容医療に関する研究発表・講演を行い、医師向けの技術指導にも携わる。2018年には米国形成外科学会(ASPS)の年次総会でOutstanding Presentation、Best Abstractを受賞。婦人科形成や美容医療に関する医学雑誌への寄稿も行っている。スワンクリニック銀座(https://fujinka.jp/)。
