脱毛エステ業界では老舗チェーンの一つである「Be・Escort(ビー・エスコート)」を手がける運営会社のセピアプロミクスが、2024年11月25日に東京地方裁判所から破産手続き開始決定を受けた。
昨年12月に銀座カラー運営会社が倒産した際には、同社が救済企業の1社だったが、自らも倒産に至る結果になった。背景には、脱毛の競争激化や信用販売の規制強化などがあるようだ。
広告を投入し利用者を集めることに限界
- 直営店舗の閉店→裁判所の破産手続き開始に伴い、「ビー・エスコート」の全直営店舗が閉店し、施術提供も停止
- 利用者への影響→未消化の施術回数や既に支払った料金の返金は困難であり、一般の破産債権者への配当も見込みが低い
- 支払い停止の可能性→クレジットカードや信販会社を通じた支払い停止が可能な場合があり、個別に問い合わせが必要
同社倒産を受けて破産管財人が倒産の背景について説明をしている。
それによると、脱毛エステ業界は多額の広告費を投入し、利用者を集める競争激化により、持続可能な運営が難しくなっていた。セピアプロミクスもその例外ではなく、業界全体の価格競争の影響を大きく受けていた。さらに、他の大手脱毛サロン倒産を契機に、信販会社やクレジットカード会社が規制を強化し、資金繰りがさらに厳しくなったと説明している。
これまでに同社は赤字店舗の統廃合や経費削減に取り組んだものの、売上減少と固定費の維持が重なり、最終的に従業員給与や租税の支払い遅延により経営が行き詰まった。
裁判所による破産手続き開始に伴い、「ビー・エスコート」の全直営店舗は閉店し、顧客への施術提供も停止された。一方、フランチャイズ店舗は別会社による運営継続が予定されており、名称を変更して営業を続ける。しかし、セピアプロミクスでの契約に基づく引き継ぎや問い合わせには対応しないとしている。
破産手続きにより、同社に資産はほとんど残っていないとされ、一般の破産債権者への配当の見込みも極めて低い。このため、利用者が未消化の施術回数や既に支払った料金の返金を受けることは事実上困難だと説明されている。クレジットカードや信販会社を通じた支払い停止が可能な場合もあるが、各社への個別問い合わせが必要だ。
母娘三世代にわたる顧客支持を強調していたが
- 今回の救済策→セピアプロミクスの倒産に関する具体的な救済策は現時点で発表されていない
- 東京都での被害事例→2023年10月、被害を受けた女性22人がローン返済に苦しみ申し立てを行ったケースが発生
- ビー・エスコートの影響→被害者が多数に上る可能性がある
セピアプロミクスは2023年に23周年を迎え、「お客様第一主義」を掲げ、母娘三世代にわたる顧客支持を強調していた。しかし、厳しい市場環境の中で、この経営方針を維持することができなかった。
23年には脱毛サロン業界全体で倒産が相次ぎ、帝国データバンクの調査では過去最多の倒産件数が記録されている。
他の倒産事例では、同業他社が顧客救済策を提供するケースもあった。昨年12月の銀座カラー運営会社が倒産した際にはセピアプロミクスが救済に乗り出していた。今回の倒産に関する具体的な救済策は現時点で発表されていない。
今回の破産事案は、業界の構造的問題を再び浮き彫りにした。利用者が多数に上る脱毛エステが倒産した場合には、経済的な被害を受ける人数が多数に及ぶ。10月、東京都で被害を受けた女性22人がローン返済に苦しみ申し立てを行う事例もあった。どのように被害から消費者を守るかは重要な課題だ。
ビー・エスコートについても被害者が多数に上ることが予想される。ヒフコNEWSでは引き続き関連情報をお届けする。