日本再生医療学会は2024年12月27日、iPS細胞由来のエクソソームの治療に対して、注意喚起を行った。
声明は、同学会理事長である岡野栄之氏名義で発表された。
アンチエイジングなどで高額提供
同学会は、iPS細胞の培養上清を用いたエクソソームによる治療が、アンチエイジングなどを目的として自由診療で実施されている状況について説明。それらの治療が高額で提供される事例が多い。
一方で、これらの治療には、科学的根拠が不十分であり、治療法が科学的根拠に基づいているかを慎重に確認すべきだと求めた。
そのため治療を行う場合には、医師に対して、そのエクソソームを用いた治療のエビデンスや安全性、リスクに関する詳細を医師に確認するよう推奨している。
声明では、「本年に開催された第23回日本再生医療学会総会では、エクソソームが注目を集めるテーマとして扱われましたが、iPS細胞由来エクソソームの臨床応用に関する具体的な研究発表や臨床試験結果の共有はみられませんでした。このことは、これらの治療の科学的根拠がまだ不十分であることを示唆しています」と説明している。
最新の研究報告がなされる学会でも、有効性や安全性についての具体的な発表は不足している。
12月に再生医療で行政処分も
ヒフコNEWSでも同学会についてレポートしているが、エクソソームの応用は始まったばかりと考えられる。
2024年に日本再生医療学会は「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を発表しているが、25年には、エクソソームを含む細胞外小胞(EVs)のより詳細なガイドライン作成が進められる方向になっている。
再生医療をめぐっては、自由診療で実施される再生医療において事故も報告されている。この12月には、厚生労働省が、がん治療を目的として実施された再生医療について、行政処分を行った。
特に実施する施設が、杜撰な医療を行っている場合に、最悪の結果がもたらされる可能性がある。行政処分を受けたケースでは、施設での衛生面で問題を抱えていることが明らかにされている。治療を検討している人は注意が求められる。