日本形成外科学会は2025年1月15日、24年末に報道で注目された女性美容外科医らによる献体写真SNS投稿問題に関連して声明を発表した。
女性美容外科医は会員ではないものの、報道された講習会に会員医師が含まれているという情報を受けて徹底調査に乗り出す方針を示している。
日本形成外科学会の対応と「倫理綱領」を強調

「ご遺体を用いた医療技術講習会における不適切な行動の報道について」。(出典/日本形成外科学会)
ヒフコNEWSでも報じているが、24年12月、女性美容外科医師が、米国グアムで実施された献体を用いたトレーニング(CST、Cadaver Surgical Training)で、遺体の写り込んだ写真をSNS投稿。これが報道でも取り上げられて、医療者だけでなく、一般の人々からも強い非難を受けた。
その後、日本美容外科学会(JSAPS、JSAS)が12月に声明を発表し、医療従事者として倫理観を欠いたものであるなどと指摘し、教育体制や管理体制の強化を進めることを表明していた。
また、日本解剖学会でも同月、2013年に発表していた「人体および人体標本を用いた医学・歯学の教育と研究における倫理的問題に関する提言」を再掲載し、人体や人体標本を用いた際の画像をインターネット上に流すことの問題を強調した。
今回、日本形成外科学会も、「ご遺体に対しては、国⺠がこれまでに築き上げてきた思想・敬虔感情に基づき無限の尊厳をもって扱われるべきものであり、その提供者およびご遺族の意志に深い敬意を払わなければなりません」と指摘。献体写真SNS投稿問題について「容認することはできません」と説明した。
その上で、声明では、報道で名指しされた医師が同学会の会員ではないことを明らかにする一方で、関係者に会員が含まれているとの情報を受け、学会内で調査委員会を設置する方針を表明。徹底調査をすると伝えている。会員に対しては、従来から定めている「倫理綱領」に基づいた行動を取るように強調している。
声明全文
ご遺体を用いた医療技術講習会における不適切な行動の報道について
この度、一部の美容外科医師によるご遺体を用いた海外での医療技術講習会における不適切な行動に関する報道がなされました。ご遺体に対しては、国⺠がこれまでに築き上げてきた思想・敬虔感情に基づき無限の尊厳をもって扱われるべきものであり、その提供者およびご遺族の意志に深い敬意を払わなければなりません。
一般社団法人日本形成外科学会は、形成外科学の進歩普及を図り、もってわが国における学術の発展と国⺠の福祉に寄与することを目的としており、美容外科は形成外科学領域の一分野です。従ってわれわれは、今回の事案に対して学会としてもたいへん重く受け止めております。また、倫理綱領を定めその遵守を会員に求めてきた本学会といたしましては、このような行為を断じて容認することはできません。
当該美容外科医師は本学会員ではありませんが、今回の関係者の中に、本学会員が含まれているとの情報があり、今後は学会内においても本件に関する調査委員会を立ち上げ、徹底調査を行うことといたしました。また、本学会員には再度倫理綱領に基づいて適切に行動するように改めて周知を徹底いたしました。今後とも本学会の活動にご理解を賜るようお願い申し上げます。
2025 年1月15日
一般社団法人 日本形成外科学会 理事会