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美容医療の後遺症をオンライン診療で、大阪みなと中央病院が着手、遠方からも相談を可能に、中国からも患者、天木理恵氏が第152回日本美容外科学会(JSAPS)で講演

カレンダー2025.1.27 フォルダー 国内

 大阪みなと中央病院が2024年11月、美容医療の後遺症を専門的に診察するオンライン診療を開始した。

 同病院美容医療センターの天木理恵氏が2025年1月18日に、第152回日本美容外科学会(JSAPS)で講演した。

2024年11月からオンライン診療開始

第152回日本美容外科学会(JSAPS)で講演する天木理恵氏。(写真/編集部)

第152回日本美容外科学会(JSAPS)で講演する天木理恵氏。(写真/編集部)

  • 大阪みなと中央病院の取り組み→ 2020年から美容医療センターを開設し、後遺症の対面診察を実施。
  • オンライン診療の導入→ スケジュールや距離の問題を解消し、問診や相談をオンラインで対応。必要時には対面診療に進む体制を構築。
  • 使用ソフトウェア→ 一般的なオンライン会議システム(Webex)を利用。

 国民生活センターによると、美容医療のトラブルに関連した相談は2023年度に前年比1.57倍の5833件に上っている。美容医療に関連した後遺症も発生し、課題になっている。

 大阪みなと中央病院では、新築移転した2020年から美容医療センターを開設し、この中で美容医療の後遺症の対面診察を行っていた。

 天木氏によると、後遺症の診察では、さまざまな後遺症を抱えた人が訪れていた。次のようなケースが挙げられる。

  • 非吸収性フィラー(アクアミドやバイオアルカミド、アクアフィリング)やヒアルロン酸などの吸収性フィラー注入による硬結や感染、拘縮、変形など、
  • 豊胸術後合併症(感染、拘縮、嚢胞など)
  • 二重まぶた術後(左右差、不自然な二重幅など)
  • 下まぶた術後(外反、瘢痕など)
  • 隆鼻術後(プロテーゼ感染など)
  • その他美容外科手術後の醜形、瘢痕など

 一方で、スケジュール調整や距離の問題で受診できない場合もあり、精神的なストレスを抱えたままのケースも多いと考えられた。天木氏によると、後遺症の患者には精神的ケアが必要な場合や、診察に長時間を要する場合が少なくない。また、支払いトラブルなどの問題も起こり得るという。

 そこで、同病院では、オンライン診療を導入することで、問診や相談対応を拡充した上で、必要に応じて対面診療に進むという体制を整えることにした。こうすることで、最初の診察へのハードルを取り除き、しかも、実際に対面での治療が必要という人をあらかじめ見極めることができる。

 天木氏によると、開始して1カ月程度の期間に過ぎないにもかかわらず、中国からのオンライン診療を受けるなど、遠方からの利用も出てきている。1回30分ほどの診察ではあるものの、事前に情報提供を受けるため、効率的に診察できる点も良いという。

 オンライン診療に使われるソフトウェアは、一般的に普及しているオンライン会議システム(Webex)が使われる。

全国から簡単にアクセス可能に

大阪みなと中央病院が開設する「
美容後遺症相談外来」。(出典/大阪みなと中央病院)

大阪みなと中央病院が開設する「
美容後遺症相談外来」。(出典/大阪みなと中央病院)

  • 美容医療後遺症相談外来→ 同病院では「美容医療後遺症相談外来」を開設し、後遺症オンライン診療を自由診療で実施。保険は適用されない。
  • 支払い方法→ 診察費は事前振込で確認後に診療を実施するため、支払いトラブルが発生しない仕組み。
  • 遠方からのアクセス→ オンライン診療により、全国どこからでもアクセス可能な体制が注目される。

 同病院では「美容医療後遺症相談外来」を開設している。この中で、美容医療後遺症オンライン診療が自由診療で行われており、保険は適用されない。

 1回のオンライン診療で、後遺症問診担当医は、初回1万1000円(税込み、以下同じ)、2回目以降2万2000円、後遺症治療専門医は2万2000円と金額を設定している。また、対面診療の場合、60分で4万4000円となる。オンライン診察は事前の振込を確認してから行われるので、診察費の支払いトラブルとは無縁だ。

 美容医療の後遺症が全国的に問題になる中で、大阪の病院でありながら遠方からもアクセスが簡単なこのようなオンライン診療の取り組みは注目される。

参考文献

美容医療のトラブルに関連した相談が前年比1.57倍に、2023年の合計は5833件、国民生活センターまとめ
https://biyouhifuko.com/news/japan/7725/

美容医療の健康被害、情報が表に出ることなく繰り返されている、ミラドライによる死亡事故は1年以上知られていなかった、細川亙氏が第152回日本美容外科学会(JSAPS)で対策求める
https://biyouhifuko.com/news/japan/11015/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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