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美容医療とエステ、「無料商法」トラブル目立つ、高額契約や解約問題、無料カウンセリングがきっかけに、東京都消費生活センターが統計を公表

カレンダー2025.2.20 フォルダー 国内
カウンセリングをきっかけに問題が起こる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

カウンセリングをきっかけに問題が起こる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 東京都の29歳以下の消費者トラブルの統計では、美容医療やエステに関連するトラブルが依然として高水準であることが分かった。「無料商法」による高額契約や解約トラブルが目立っている。

美容医療のエステの高額契約が問題に

トラブルが起きている。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

トラブルが起きている。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 美容医療・エステのトラブルの現状→ 2024年度上半期、29歳以下の消費トラブルは8037件。エステは370件、美容医療は331件で、前年より減少傾向にあるが、女性の美容医療トラブルは前年と同水準。
  • 無料カウンセリングを利用した強引な勧誘→ 「無料でカウンセリング」を掲げ、高額契約を迫る手法が問題に。
  • 悪質な勧誘手法への対策の必要性→ 値引き後でも契約金額と異なる請求が行われるケースが確認され、女性だけでなく男性も被害に。

 東京都の消費生活センターに寄せられた相談によると、2024年度上半期の29歳以下の消費トラブルは8037件に上った。ただし、前年と比べると1.5%減少している。

 エステ、美容医療に関するトラブルは、24年度上半期にそれぞれ370件、331件となっている。23年度と比べると、1年間でそれぞれ1404件、797件。単純に半年分に換算すると702件と398件となるため、件数は減少傾向にあると見られる。

 ただし、男女別で見ると、24年上半期の男性はエステ65件、美容医療82件、女性はエステ304件、美容医療248件であった。23年度は、1年間で男性は146件と298件、女性は1253件と494件。男性のトラブルはそれぞれ減少しているが、女性のエステのトラブルは減少し、美容医療のトラブルは前年と同程度であると考えられる。

 24年上半期、年代別で見ると、20歳未満で、美容医療のトラブルが56件で2位、エステが39件で5位。20~24歳では、それぞれ207件で2位、143件で6位、25~29歳では、それぞれ124件で5位、132件で4位。美容医療やエステの問題は大きい。

 美容医療とエステのトラブルのタイプで目立つと指摘されているのが「無料商法」。「無料でカウンセリング実施等の誘い文句で集客し、高額な契約をさせる」と説明されている。こうした無料カウンセリングを受けた後に、強引に高額な施術を勧められるケースが問題になっている。

 女性だけでなく、男性もトラブルに遭っている。例えば、ある20代男性は、美容クリニックの無料カウンセリングを受けた後、5時間以上も帰してもらえず、最終的に500万円もの契約を結ばされた。高額すぎると伝えると200万円に値引きされたが、一部の施術を受けた後、明細を見ると400万円の請求がされていたという。

 こうしたケースを見ると、美容医療やエステのトラブルは深刻なケースが発生していると考えられる。

エステ・美容医療のトラブル件数(全体)

年度 エステ 美容医療
2024年度上半期 370件 331件
2023年度(年間) 1,404件 797件
2023年度(半年換算) 702件 398件

エステ・美容医療のトラブル件数(男女別)

年度 性別 エステ 美容医療
2024年度上半期 男性 65件 82件
女性 304件 248件
2023年度(年間) 男性 146件 298件
女性 1,253件 494件

強引な勧誘につながる問題

厚生労働省が「美容医療の適切な実施に関する検討会」第4回を開催。(写真/編集部)

厚生労働省が「美容医療の適切な実施に関する検討会」第4回を開催。(写真/編集部)

  • 無資格カウンセラーによる施術方針の決定→ 本来医師が行うべき診療や施術方針の決定を、無資格のカウンセラーが担当するケースが問題視されている。
  • 強引な勧誘と高額契約のトラブル→ クリニックの収益を担うカウンセラーにはノルマが課される傾向があり、強引な勧誘や解約の難しい高額契約を迫るケースが後を絶たないとの指摘。
  • 業界ガイドラインと消費者保護→ 厚生労働省の検討会で即日契約の回避を推奨。5万円以上・1カ月超の契約にはクーリング・オフが適用されるため、慎重な判断が求められる。

 美容医療やエステにおけるカウンセリング手法の問題は以前から指摘されており、2024年に厚生労働省が設置した「美容医療の適切な実施に関する検討会」では、その問題点が大きく議論された。

 施術や診療は本来、医師が行うべきものであるにもかかわらず、実際には無資格のカウンセラーが施術方針を決定するケースも見られる。

 カウンセラーはクリニックの収益に直結する存在であり、ノルマを課される傾向がある。その結果、強引な勧誘や高額契約を迫るケースが後を絶たないことが指摘されている。さらに、一度契約すると解約が難しく、支払い義務が残るなどの深刻なトラブルに発展することも多い。

 こうした状況を踏まえ、厚生労働省の検討会では業界ガイドラインの策定が進められており、即日契約を避ける方針が示されている。また、エステや美容医療の契約が1カ月を超え、総額が5万円以上の場合、消費者契約法に基づき契約書面を受け取った日を含めて8日以内であれば無条件で解約できるクーリング・オフ制度が適用される。この制度について知っておくとよい。

 とりわけ、その場で支払えないような高額な施術費用をクレジット払いやローンで賄うケースは慎重に検討する必要があり、支払い能力を超える契約は避けることが望ましい。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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