日本再生医療学会が2025年3月19日、「YOKOHAMA宣言2025」を発表した。
この中で、承認を受けていない再生医療を「検証型診療」と「無検証診療」に分類して、無検証診療については抑制していく方針を示した。
国際幹細胞学会が厚労大臣に書簡
日本では2014年に再生医療等の安全確保法が施行され、研究目的や自由診療による再生医療について民間の審査を経ることで、承認前にも実施できる仕組みができている。
この体制の中で再生医療が自由診療で実施されるケースが増加していた。美容医療関連でもアンチエイジング目的で間葉系幹細胞を使った治療や血液を使ったPRP(多血小板血漿)による治療が一般的に行われている。細胞が含まれていないため再生医療として分類されていないが、幹細胞培養上清やエクソソームといった治療も現実的には再生医療の一環のような形で提供されている。
こうした中で、特に自由診療の再生医療では、承認を受けておらず、安全性や有効性については証明されていない中で、健康被害などを引き起こす事例が報告されていた。
この3月には福岡のクリニックが無届けで再生医療を提供していたとして、厚生労働省が法令違反で処分している。また、2024年12月には、東京都内の医療機関で、再生医療に関連したがん治療で感染症が発生し、厚労省が医療機関を行政処分している。
このような状況の下、この2月、国際幹細胞学会(ISSCR)が厚労大臣宛てに、再生医療の審査体制を改善することを求める書簡を公開していた。
承認を受けていない再生医療を2つに分類

日本再生医療学会は「検証型診療」と「無検証診療」に分類。(出典/日本再生医療学会)
日本再生医療学会は、承認を受けていない再生医療を大きく2つに分類することを宣言している。
一つは「検証型診療(Explorative Therapies)」で、実施に当たって検証を行って、安全性や有効性を評価するものとした。もう一つは「無検証診療(Uninvestigated Therapies)」で、実施に当たって、検証や評価のプロセスを伴わないものとした。
学会は今後、無検証診療の抑制方針を明確に打ち出すことを目指すと説明している。
今後、自由診療での再生医療に影響を与える可能性がある。