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消費者庁がステマに措置命令、ロート製薬の広告を問題視、景品表示法に基づき違法の判定、インスタグラム投稿が広告と分からない状態を指摘

カレンダー2025.3.26 フォルダー 国内
消費者庁がロート製薬の広告をステマと判断。(出典/消費者庁)

消費者庁がロート製薬の広告をステマと判断。(出典/消費者庁)

 消費者庁は2025年3月25日、ロート製薬に対し、サプリメントの広告で製品を提供した上でインスタグラム(Instagram)に投稿してもらったにもかかわらず、一部の広告においてPR表記がない状態となった表示があり、これはステルスマーケティング(以下、ステマ)に該当するとして、景品表示法に基づく措置命令を出したことを発表した。

 2023年の景品表示法の改正に伴い、ステマが違法となっており、広告やインフルエンサーマーケティングは、美容医療を含む幅広い分野に関係している。

 インフルエンサーによる情報発信でも、金銭などを受け取っている場合には、必ずPRと分かるようにしなければならない。今回の件は、知らなかったでは済まされないことを、あらためて認識させる事例だ。

宣伝は宣伝だと分からないといけない

消費者庁が問題視した広告でのインスタグラムの引用。(出典/消費者庁)

消費者庁が問題視した広告でのインスタグラムの引用。(出典/消費者庁)

 今回のロート製薬のケースでは、「ロートV5アクトビジョン」というサプリメントの宣伝に関して問題が発生した。

 インフルエンサーやモニターと見られる人物がロート製薬から製品の無償提供を受けて、PR投稿した。この投稿には、「PR」と明記するなど、広告であることが分かるようにする必要がある。一方で、同社では、別の広告にインスタグラムの投稿を引用していた。同社によると、クリックによって本文が表示され、広告であると分かる仕組みを意図していたが、一部の広告では、投稿のリンクが無効となっており、その結果、投稿による推しの声が宣伝であると分からない状態になっていた。

 消費者庁は、このように、宣伝であるにもかかわらず、それが分からない状態にあったことを、ステマに該当すると判断。消費者の判断が妨げられると問題視した。こうして同庁は、景品表示法に基づいてロート製薬に対して措置命令を出した。

 2023年10月施行の改正景品表示法により、ステマは違法となった。美容医療とも深く関係するが、ステマの情報が宣伝と分からないまま発信されると、利用者は個人的な推し情報だと誤解するリスクがある。

 ロート製薬は、インフルエンサーなど個人に依頼して投稿を使ったマーケティングを行うならば、徹底的にそれが広告であることを適切に示していかなければならないということに尽きる。

 「PR」の表記を必ず分かるように示さなければならないということは広く知られるべきだろう。広告であるのに、それが表記されていなければ、誤解を生む情報発信として違法になる可能性がある。

 ロート製薬によれば、次のように今回の問題について説明している。

 一件の広告において、令和5年9月30日~令和6年7月29日の期間、広告内に掲載しているInstagram画像をクリックしても投稿本文が非表示となる設定にしていたことから、「#PR」「#ロート製薬」といった関係性の明示表現の記載を広告閲覧者が確認できない状態になっており、景品表示法に違反しておりました。

 今回のステマ状態は、「一件の広告」と示しており、その他は問題なかったというふうに読める。たとえ1件にとどまったにせよ、今回の消費者庁の対応からすると、知らなかったでは済まされないという厳しい対応が取られると分かる。チェックを怠らないことが強く求められる。

宣伝かもしれないと疑うことも大切

ステルスマーケティング。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ステルスマーケティング。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 美容医療の領域では、宣伝の情報もあふれているが、宣伝であるならば、「PR」と表示されていなければ、違法となる。いわゆる「案件」「スポンサー契約による広告投稿」「タイアップ企画」として金銭などを受けてクリニックの広告をするインフルエンサーの投稿は、必ず「PR」の表示は不可欠。逆に、宣伝であることを示さずに情報を発信していたとすれば、その情報を出したクリニックなどの姿勢には疑いが生じる可能性がある。

 宣伝によって誤解が生じ、その結果として美容医療を受けることになれば、不十分な情報に基づいて施術を選択したことになり、それは大きなリスクとなる。

 そうはいっても、中にはステマが紛れている恐れもある。それは違法状態だが、過度に好意的な評価があふれている場合には、それが広告ではないかと疑う姿勢も重要である。

 今回のロート製薬への消費者庁の措置命令は、SNS時代にステマが違法であることを再認識させるものだ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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