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緑黄色野菜で若返りにつながる?腸内細菌と脳との関係が注目される

カレンダー2023.6.11 フォルダー 国内

ポイント

  • 体質と腸内細菌の関係や、食事と腸内環境の関係性が明らかになりつつある
  • 腸内細菌は、肥満、メンタルヘルス、パーキンソン病などの脳の健康と関係している
  • 漢方薬の“青黛(せいたい)”は、緑黄色野菜と成分が共通し、腸内環境を改善させると分かった
日本抗加齢医学会。写真/編集部

日本抗加齢医学会。写真/編集部

 緑黄色野菜の若返り効果につながるメカニズムが明らかになりつつある。第23回日本抗加齢医学会総会で、慶應義塾大学内視鏡センター講師の筋野智久氏が、食事と腸内細菌の関係について最新の研究に基づいて解説した。

古くから伝われる漢方薬に注目

日本抗加齢医学会。写真/編集部

日本抗加齢医学会。写真/編集部

 腸内細菌は健康や病気の予防にとって重要な役割を担う。例えば、肥満の人は「ファーミキューテス(Firmicutes)」と呼ばれるタイプの腸内細菌が腸に増えると研究から明らかになっている。また、腸内細菌がやる気やうつ病、パーキンソン病などと関係することも分かってきた。これは、腸と脳の密接な関係として注目されている。

 つまり健康な人は、腸の健康をサポートする細菌が多い。逆に言えば、腸内細菌のバランスを整えることは病気の症状を防ぐ可能性がある。そうした中で、筋野氏らは、「青黛(せいたい)」と呼ばれる漢方薬に注目し、腸内細菌のバランスを整える研究を進めている。

※青黛とは、藍染めの染料として使われてきた濃紺の漢方薬。青黛は、体に赤みや腫れ、痛みを引き起こす炎症を鎮める効果を持つと考えられてきた。

ブロッコリーなどと共通の成分で腸が若返り

第23回日本抗加齢医学会総会の会場となった東京国際フォーラム。写真/編集部

第23回日本抗加齢医学会総会の会場となった東京国際フォーラム。写真/編集部

 このような研究から分かったのは、青黛を摂取することによって、善玉の腸内細菌であるビフィズス菌が増え、逆に悪玉のバクテロイデス菌が減るということ。さらに、青黛が効果を発揮するメカニズムを調べたところ、緑黄色野菜に含まれる成分と共通していることが分かった。

※青黛に含まれている成分は、芳香族炭化水素受容体(Aryl hydrocarbon receptor、Ahr)に結合する物質(Ahrリガンド)。これはブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれることが知られている。

 筋野氏はさらなる研究を進めた結果として、青黛の成分によって、悪玉の菌を減らすほか、免疫の若返り、代謝のコントロールができると考えている。このような結果として、脳の若返りなどに良い影響が及ぶと見られる。

 今回の研究は青黛と呼ばれる生薬についての研究ではあるが、緑黄色野菜と共通の成分が効果を発揮するということで、脳の若返りを考えるときには参考になりそうだ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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