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今こそ知りたい、ビタミンAがどう働く?エンビロン開発者がスキンケアのポイント直伝

カレンダー2023.6.29 フォルダー 国内

ポイント

  • エンビロンは1990年代からスキンケアに高濃度ビタミンAを使うことに着目したが、当初は斬新だった
  • ビタミンAは主に4つの形態で存在し、肌を正常に保つためには、これらのバランスが大切になる
  • エンビロンのスキンケアへのアプローチは30年以上変わらない基本的な原則を重視すること

 クリニックや会員制ECサイトなど、限定的に販売されているスキンケアブランド「エンビロン」。その開発者で、形成外科医であるデス・フェルナンデス氏らが来日し、2023年6月27日にセミナーを開催。30年以上にわたり注力するビタミンAに着目したスキンケアの基本を自ら解説した。

高濃度ビタミンAは「目新しかった」

来日したデス・フェルナンデス氏(写真右)と、マティアス・オースト氏。(写真/編集部)

来日したデス・フェルナンデス氏(写真右)と、マティアス・オースト氏。(写真/編集部)

 エンビロンは1990年に開発を開始し、それ以来33年にわたり、ビタミンAを主な成分とするスキンケア製品を中心に製品ラインを広げてきた。フェルナンデス氏は、同じ形成外科医で、3月にエンビロンのメディカルコンサルタントとして加わったマティアス・オースト氏とともに、日本のクリニックでの講演などの目的で来日した。

 27日の講演でフェルナンデス氏は、1990年代に始めたビタミンAの研究をはじめ、エンビロンの研究の歴史を振り返った。特に重要視してきたビタミンAは、皮膚を保護する作用から重要な成分として着目したものだった。

 ビタミンAは抗酸化物質として、光老化によるダメージから肌を守ると考えたが、「ビタミンAを高濃度で使うのは当初は斬新なコンセプトだった」とフェルナンデス氏は言う。

 また、その後には周囲から意外な受け止め方をされながらも、日焼け止めに抗酸化物質を配合したことなどにも触れた。「紫外線により発生するフリーラジカルから肌を守るために必要だった」とフェルナンデス氏。

 フェルナンデス氏の形成外科医としての観点から、科学的に必要なスキンケアを追求してきた結果として、エンビロン製品のラインは拡大したと言えそうだ。

4つの形態を行き来するビタミンA

開発者自ら解説。(写真/編集部)

開発者自ら解説。(写真/編集部)

 今回、フェルナンデス氏が多くの時間を割いて説明したのも、最も重要視してきたビタミンAの細胞内と細胞外での形態の変化だった。

 ビタミンAは実は次のような4つの形があり、それぞれが互いの間を行き来している。数字はそれぞれのおおよその割合である。

パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、プロピオン酸レチノール 90%
レチノール 3%
レチナール 3%
レチノイン酸 3%

 これを見て分かるように、ビタミンAの大部分は、細胞膜の外、つまり細胞外にある、「パルミチン酸レチノール」など、酸と結合した「レチニルエステル」の形で存在している。

 これが細胞膜の内側、つまり細胞内において「レチノール」、さらには「レチナール」に変わる。これらは細胞内でも細胞質に存在するが、ここからさらに細胞の中でDNAを収めている核内で「レチノイン酸」となる。レチノイン酸は、DNAに作用して、皮膚を機能を正常化する。

 一般的にビタミンAと呼ばれるのは、「レチノール」になるが、これはアルコールの一種で、「レチノールは3%よりも多くなると刺激性がある。レチノールが多ければ良いわけではない」とフェルナンデス氏。

 「パルミチン酸レチノールを肌に塗ると、レチノールができて、そこからレチノイン酸ができる。細胞には酵素が多く、そのような変換が起こる。レチノールを塗っても、そのようにレチノール貯蔵量は増えない」とフェルナンデス氏。

 つまり、ビタミンAと一口に言っても、いわば貯蔵型であるレチニルエステルの形になったビタミンAを保つなど、バランスが大切になる。

 フェルナンデス氏は、「エンビロンの製品は、様々な形態のビタミンAを最適化し、自然な代謝プロセスを促している」と言う。

「本当のスキンケアに流行はない」

C-クエンスをはじめとした製品ライン。(写真/編集部)

C-クエンスをはじめとした製品ライン。(写真/編集部)

 エンビロンの最も人気のある製品ラインの一つは、ビタミンAを肌に浸透させる「C-クエンス」シリーズ。このシリーズは、ビタミンAのバランスを整えることを重視するフェルナンデス氏の考えに沿ったものと言えるだろう。

 このシリーズの特筆すべきところは、5つの段階を経て、ビタミンAの濃度を徐々に高めていく「ステップアップシステム」。最初は、低濃度の製品で肌を整え、徐々に高濃度の製品に移行していく。ビタミンAを最も効果的に利用する方法を研究し、開発に至っている。フェルナンデス氏はステップアップシステムの大切さを強調した。

 講演では、美容医療におけるスキンケアの話題も取り上げられた。エンビロンでは、コラーゲンやエラスチンの生成を促すペプチドを配合した製品を提供している。フェルナンデス氏は、「ペプチドを使った製品を使うことで、より良い結果が見込まれる」と述べ、美容医療の前に肌を整えることの重要性を指摘していた。

 フェルナンデス氏は、最後に「本当のスキンケアに流行はない」と締めくくった。

 ヒフコNEWSでも、ビタミンAを含めた肌の美容に関連した最新研究に注目していく。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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