キャンセル料に関する情報提供の不足が不満を招く、美容医療では特に課題に
ポイント
- 消費者庁においてキャンセル料のルールが検討されている
- 調査ではキャンセル料の情報提供が少ないと不満が高まると判明
- キャンセル料の条件を選べると、理解が深まり、不満は少なくなった
「キャンセル料」についての新しいルールの検討が続いている。美容医療でも、解約は一般的に行われており、そのルールがどうなるかは注目される。2024年1月15日、消費者庁が「第2回解約料の実態に関する研究会」を開催した。
キャンセル料に関する調査を詳しく分析
キャンセル料をめぐっては、航空機の予約が典型的だが、キャンセルができない代わりに運賃が安くなるなど、解約を前提とした価格設定が当たり前になっている。従来、キャンセル料は「平均的な損害」を基準にするルールだったが、これが単純に当てはまらなくなっている。
そうした中で、新しいルール作りが求められている。
第1回では、解約料に関連した消費生活相談の実態が報告された。毎年3万件を超える相談が寄せられており、このうち脱毛エステが第7位、美容医療を含む医療サービスが12位となっていた。
また、解約料についての不満の調査結果が報告され、過去1年間に解約経験を持つ20歳以上の2000人のうち、57.5%が何らかの不満を感じている現状が明らかにされた。キャンセル料が高額だったり、返金がなかったりする不満の理由が語られていた。
第2回の検討会では、第1回で紹介された調査の詳しい分析結果が説明された。
事前の情報提供少ないと不満感じやすい
結果として、次のようなキャンセル料に関連した不満の詳細が明らかになった。
- キャンセル料の情報がわかりにくいと不満 → もしキャンセル料の情報がよくわからなかったり、うまく伝えられないと、人はキャンセル料を払うときに不満を感じる。
- 分割払いや定額払いの場合、不満が増える → ものを買ったりサービスに申し込んだりするときに、一括払いではなく、分割払いや定期的にお金を払う方法(サブスクリプションとか)を選ぶと、キャンセル料の情報提供や支払いに不満を感じやすい。
- オンラインではキャンセルポリシーの表示があまり影響しない → インターネットで何かを買うときに、キャンセルするときのルール(キャンセルポリシー)が表示されていても、キャンセル料の情報提供の感じ方に影響しない。
- キャンセルの理由が「外的要因」の時、不満が出やすい → 自分や家族の都合でキャンセルするよりも、災害や商品・サービスの内容など外的な理由でキャンセルすることになった場合、キャンセル料を払うことに不満を感じる。
- 旅行や交通のキャンセル料に気を使うと不満が少なくなる → 旅行や交通手段を使うときに、普段からキャンセル料のことをよく考えている人は、実際にキャンセル料を払うときに不満を感じることが少なくなる。
商品やサービスの違いによる不満の違いについても説明されていたが、「エステティック・美容医療」では、キャンセル料の情報提供がないときに最も不満が出やすいサービスであることが示されていた。
「選択」により不満の感じ方は変わる
検討会では、キャンセル料の条件が異なる飛行機のチケットを例に、選択できることでキャンセル料のとらえ方がどう変わるかを調べた調査結果についても紹介された。
- 選択肢があるとキャンセル料をもっと気にする → 何かを買うときに、キャンセル料があるかないか選べると、人はキャンセル料のことをもっと真剣に考えるようになる。
- 比較しやすい方がキャンセル料をもっと気にする → 選択肢が同じでも、その選択肢が比較しやすいときの方が、人はキャンセル料をもっと気にする。
- 自分で選択するとキャンセルしたときの不満が減る → もし自分でキャンセル料の有無や多少を選べると、キャンセル料をもっと意識するようになり、もしキャンセルしなければならなくても、自分の選択だったから不満が少なくなる可能性がある。
- キャンセル料の理由が大切 → もしキャンセル料が損害を補うためやキャンセルを減らすため、あるいは価格を公平にするために設定されているなら、人々はそれを受け入れやすい。もしキャンセル料がただ利益を増やすためだけなら、受け入れられないことが多い。
今回の調査結果を受けて、今後、キャンセル料のルール作りがさらに進められることになる。事前の情報提供やキャンセル料の選択といったテーマが注目されそうだ。
参考文献
第2回解約料の実態に関する研究会(2024年1月15日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/meeting_materials/review_meeting_005/035904.html
解約料実態の検証が始まる、「キャンセル料に不満」が6割、美容医療関連も、消費者庁が研究会
https://biyouhifuko.com/news/japan/4715/
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