厚生労働省は2024年3月22日に、医療広告ガイドラインの一部を改正したことを発表した。
改正点には、未承認の薬や医療機器を使った場合の被害が公的な救済対象とならないなどの明記が含まれた。
自由診療の広告で重要な「限定解除の条件」
今回の改訂内容は次のように記載された。
広告可能事項の限定解除の具体的な要件として、「医療広告ガイドラインに関する Q&A」で示している要件(未承認医薬品等であること、入手経路等、国内の承認医薬品等の有無、諸外国における安全性等に係る情報を明示する)を医療広告ガイドラインに明記し、医薬品副作用被害救済制度等の救済の対象にはならないことの明示も要件に追加する。
要点を書くと次の通りになるだろう。
- 広告可能事項の限定解除の具体的な要件→「医療広告ガイドラインに関する Q&A」で示されている要件を医療広告ガイドラインに明記
- 限定解除のために必要な情報→未承認医薬品などであること、入手経路など、国内承認医薬品などの有無、諸外国の安全性などの情報
- 追加要件→医薬品副作用被害救済制度の救済対象外であることの明示
ヒフコNEWSはこれまで「医療広告の禁止事項などを示した事例解説書(第2版)」や「医療広告の禁止事項などを示した事例解説書(第3版)」に基づき、医療広告で禁止されている事項について伝えている。その中で「広告可能事項の限定解除」というルールにも触れており、これは一定条件を満たせば、通常は広告禁止の事項も広告可能になるというものだった。
一般的な医療広告で求められる限定解除の条件は以下のような点があった。
- 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
- 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
自由診療においては特別な条件が求められ、「事例解説集」で示されていたものとして、未承認の医薬品や医療機器などを使ったときには、「未承認であること」「入手経路」「国内の承認医薬品の有無」「諸外国での安全性に関連した情報」などを示す必要があった。今回、これらの必要とされてきた条件が医療広告ガイドラインに正式に盛り込まれることになった。
「救済の対象外であること」も明記
さらに、医療広告ガイドラインの改正により、「未承認の医薬品や医療機器を使用して健康被害が生じた場合、公的な救済制度の対象外になること」も明記されることになった。
承認された医薬品や医療機器の使用により副作用が発生したとき、「医薬品副作用被害救済制度」「生物由来製品感染等被害救済制度」が存在し、国が被害を救済する。自由診療では未承認の医薬品や医療機器の使用、承認されていない目的での使用が行われているが、この場合に発生した被害については救済を受けられない。
医療広告ガイドラインでは、未承認の製品を広告に掲載する際、この情報を併記することが必須になった。トラブルが起きてから「国による救済が受けられないことを初めて知った」という事態にならないためには必要なルールとなるのだろう。
美容医療にとっては重要な医療広告ガイドラインの改正となっており、今後、医療機関の広告を見るときにはチェックポイントの一つとして知っておくとよいだろう。