美容医療やエステでのトラブルが注目される中、2024年3月28日、消費者庁からクリニックで発生した重大事故が新たに報告された。
皮下組織まで及ぶヤケド
消費者庁は、毎週、一般の人が遭遇したトラブルを重大なものと、それ以外のものに分類して事例を公表している。この中には、美容医療やエステに関連した事例も含まれ、3月にも下まぶたの脂肪除去による出血や、エステでのヤケドの報告があった。
この3月28日、消費者庁は重大事故としてクリニックの痩身施術により発生したヤケドの事例を公表した。
事故発生日 | 通知受理日 | 製品名等 | 被害状況等 | 事故内容 | 事故発生都道府県 |
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2024年2月1日 | 2024年3月18日 | 医療サービス(痩身) | 重傷1名 | クリニックで機器を用いた痩身の施術を受けたところ、腹部に熱傷Ⅲ度の負傷。 | 神奈川県 |
ヤケドは、肌の表面の表皮のヤケドにとどまるI度、より深い真皮に達するII度、さらに深い皮下組織に達するIII度まで分類される。今回報告されたのはIII度熱傷であり、熱傷の中でも特に重症といえる。
痩身関連の施術によるヤケドは、昨年12月にも、愛知県のエステで発生した痩身機械によるIII度熱傷が報告された。さらに、24年2月に兵庫県のエステで行われたHIFU(ハイフ、集束超音波治療)でも発生した。それぞれ消費者庁は重大事故として公表している。
これまでの報告とは異なり、今回の重大事故はクリニックで発生したもの。痩身の施術は、エステでもクリニックでも、ヤケドによるトラブルが発生する可能性があることを認識する必要がある。
大阪のエステでは意識消失による救急搬送も
トラブルは継続しており、3月22日に、消費者庁はエステの施術後に意識が消失して救急搬送される事例を公表している。これはエステの温熱装置の使用後に不調を訴え、その後、意識消失、嘔吐して救急搬送される事例が大阪府から報告された。消費者庁では、重大事故以外に分類しているものだが、予想外のトラブルで被害を受けた本人にとって心身のダメージは軽くはないだろう。
国民生活センターの報告によれば、「美容医療サービス」に関する相談は増加傾向にあり、2022年度は3000件を超え、過去5年間で最多になったことが、23年度も22年度を上回るペースで発生しているとされる。これは金銭的なトラブルも含むが、健康上のトラブルも発生しており、問題に遭遇した場合には早期に対応を検討する必要があるだろう。