美容クリニックで再生医療を求め、世界中から日本にインバウンドが押し寄せているという。誇大広告や虚偽の宣伝をする仲介業者も横行しており、ルール作りも求められている。
2024年4月13日、第1回再生医療抗加齢学会で、東京Rebornクリニック理事で国際事業部責任者の胡燕氏が発表した。
中国人は世界中からやって来る
日本から韓国に美容医療を受けるメディカルツーリズムは話題に上ることも多いが、日本にも世界から美容医療を受けるために訪日する人は増えている。
「2016年から幹細胞治療のインバウンドブームがあったが、19年末からコロナ禍により休止していた。22年に再開し、今では世界中の人々がやってきている」と胡氏。胡氏がインバウンドの外国人を集めている東京Rebornクリニックには、年間1000人ほどがやってきているという。
8割は中国人。日本に中国人がやってくるインバウンドはよく知られているが、胡氏によると、再生医療を求めて来日する中国人は米国、カナダ、ドイツなどさまざまな国からやってきている。「米国も美容医療は盛んだが、日本の美的センスは合っていると思われている。日本人の匠精神が他の国よりも好まれ、追究心があり、事故もないというイメージが持たれている」(胡氏)。美容目的や予防医療目的で再生医療を受けるケースが多い。
「中国のほかは、ベトナム、韓国、台湾、モンゴルからもインバウンドの人たちは来ている。日本人は1人当たり200万円ほどを支出するのに対して、インバウンドでは5倍から10倍を使う」と胡氏。200万円の治療を5~10回コースで利用するというイメージだ。
誇大、嘘の広告が中国で横行
インバウンドの盛り上がりで、異業種からの参入が増えており、中にはモラルの低い仲介業者も存在する。「肝臓若返りといった誇大宣伝や、東京大学がバックアップしているといった嘘の宣伝などが、海外で勝手に行われている。他社の技術を勝手に自分の技術として紹介したり、中国人を大勢連れてくると吹聴する、くるくる詐欺というのもある」と胡氏。
胡氏は業界全体の倫理観の欠如が見られ、規制強化も必要ではないかと提案している。認証プログラムのような仕組みも求められるという。胡氏は「日本の美容医療がうさんくさくなる」と心配する。
日本にインバウンドを呼び込む仲介業者に問題がある場合、対策も必要だろう。安全で安心して受けられるように改善していくことが大切だ。