ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

慶応義塾大学病院が美容医療に特化した外来、同大学史上初の開設、5月7日から痩身など受付、外科と非外科的治療の両方の拡充を計画

カレンダー2024.5.10 フォルダー 国内

 2024年5月7日、慶応義塾大学病院が美容医療外来を開設した。同病院では「初めて、美容形成外科に特化した診療を行う外来」(同病院)になるという。

 従来、美容と名の付く外来を開いている大学病院はほかにもあるが、大学によってどの程度力を入れているかに温度差がある。慶応義塾大学病院では、月曜日から金曜日に受付をしており、積極的に美容医療に取り組む体制を整えていくとしている。

痩身などから施術内容を充実させていく

「同大学史上初の美容形成外科特化の外来」。(出典/慶応義塾大学美容医療外来ウェブサイト)

「同大学史上初の美容形成外科特化の外来」。(出典/慶応義塾大学美容医療外来ウェブサイト)

 慶応義塾大学病院が5月7日に、同日から美容医療外来を含めた自由診療の外来を開始することを発表した。同病院の形成外科教授で、日本形成外科学会理事長も務めている貴志和生氏が外来を主導し、同病院の形成外科所属の医師が施術を担当する。

 特徴として次の3点を掲げている。

  • エビデンスに基づいた美容医療を実践し、探求を通じさらなる学術的進歩に貢献します。
  • 診療は全て、当院形成外科所属の医師が一貫して担当いたします。
  • 病院全体と同水準の、厳重な医療安全管理を行います。

 提供する施術内容は、当初は「痩身」「きずあとの治療」「ほくろ」から始める。このうち痩身では、脂肪冷却による痩身治療「クールスカルプティング」を行う。厚生労働省から承認を受けた国内唯一の機器を使って治療を行うと説明している。また脂肪吸引手術による痩身治療も行う。

 このほか傷跡に対するフラクショナルレーザーによる治療やほくろのレーザー治療などを提供する。外科および非外科医的治療の両方を手掛ける方針で、今後、さらに施術内容を充実させていくという。

大学病院ごとに美容の取り組みには温度差

神戸大学医学部附属病院。(写真/編集部)

神戸大学医学部附属病院。(写真/編集部)

 ヒフコNEWSの調査によると、慶応義塾大学病院が美容医療外来を設置したことで、国内の美容と名の付く外来を置く大学病院は少なくとも27カ所になった。

 同じように美容と名の付く外来を置いていたとしても、大学ごとにその取り組みに温度差がある。例えば、ヒフコNEWSで神戸大学の事例を紹介したことがあるが、同大学では以前、単独の外来として美容外科を展開していたが、2023年にいったん形成外科に統合することになった。これは同じ大学でも、元々積極的に取り組む体制から、力の入れ方を緩めた体制に変わったことを示している。美容医療への力の入れ方が変わるのは、大学病院では、未承認の医薬品や医療機器を使用することが簡単ではないなど課題が存在する中で、どう取り組むかについて大学ごとの判断が大きく影響するからだ。

 冒頭で紹介したように、慶応義塾大学病院は、月曜日から金曜日まで受付する体制を整えており、他大学と比べると、積極的に美容医療に取り組むことになる。

 同大学によると、積極的に美容医療の施術内容を広げる計画であり、今後、一般の人たちが美容医療を受ける時の選択肢として関心を集めそうだ。また、大学が美容医療に取り組むということは、若い医師の研修の場としても重要になるほか、日本の私立の医科大学の中でもトップクラスと位置づけられる慶応義塾大学は研究に力を入れることも考えられる。美容医療の教育や研究は、従来課題になっており、慶応義塾大学の取り組みはそのような課題をどのように解決していくかという意味でも注目されることになりそうだ。

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。