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SUPERBやニードルRFなど最新機器も、機器を使ったたるみの治療、進化と使い分け、10代、20代前半のHIFU希望は困りの種、第112回日本美容外科学会(JSAS)で講演

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第112回日本美容外科学会(JSAS)が都内で開催。(写真/編集部)

第112回日本美容外科学会(JSAS)が都内で開催。(写真/編集部)

 機器を使ったたるみ治療は種類が増えているが、適切な施術を選ぶことが欠かせない。

 2024年5月30日、第112回日本美容外科学会(JSAS)シンポジウムでは「機器を使ったたるみ治療」をテーマに4人の医師が最新情報を講演した。

 SNS流行でたるみがない10代や20代前半の若者でもHIFU治療を求めてくるケースが増えており、対応に困ることもあるようだ。

機器によるたるみ治療が適するケースとは

第112回日本美容外科学会(JSAS)の講演会場。(写真/編集部)

第112回日本美容外科学会(JSAS)の講演会場。(写真/編集部)

  • 適切な施術→ 来院者の要望に応じるだけでなく、適切な状態を判断して施術を提供すること。
  • 効果のあるレイヤー→ 皮膚のどの層に効果を出す必要があるか、施術ごとに異なる。
  • たるみの種類→ たるみの原因が加齢による変化なのか、どの部位のたるみなのかを確認すること。
  • 加齢性変化→ 皮膚のたるみだけでなく、骨や皮下脂肪が縮んで顔の形が変わることも考慮する必要がある。

 最初に登壇したのは、みやた形成外科・皮ふクリニック(東京都港区)院長の宮田成章氏。

 宮田氏が強調したのは、来院した人の言われるままに施術するのではなく、きちんと状態を判断して適切な施術を提供すること。

 宮田氏が挙げたポイントは、皮膚のどのレイヤーに効果を出す必要があるか、たるみはどのような加齢性変化か、たるみの部位はどこか。

 例えば、「SUPERB(同期平行超音波ビーム、機器名Sofwave)」であれば真皮、「高周波」であれば真皮から下の深層から皮下組織、「HIFU(高密度焦点式超音波療法)」であれば皮下から筋膜SMAS、レーザーであれば表層など、機器によって効果が現れる層が異なる。これを考慮して機器を使い分ける必要がある。

 加齢性変化については、皮膚がたるんでいる場合だけではなく、骨や皮下脂肪が縮んで顔の形が変わっている場合もある。骨や皮下脂肪が縮んでいる場合にはフィラーを組み合わせることが重要だ。顔の部位については、表情筋が豊富でよく動く部位は、機器を使っても引き上げ効果はあまり見込めない。そのためフィラーや糸リフトを考慮する必要があるかもしれない。

 そもそも機器によるたるみ治療が適さない場合もある。宮田氏は、SNS流行で、10代や20代前半でたるみ治療したいと希望する人が多いことに問題意識を持つ。そうした若者は本当にたるみがあるのかを考えて、たるみがなければ施術を行うべきではない。

  • HIFUの仕組み→ 皮膚に熱を与えて組織のリモデリング(再構築)を促す。
  • 施術直後の効果→ 直後の引き上げ効果は一時的な腫れによるもので、2カ月後の状態で判断する必要がある。
  • リニア照射→ ドットの単照射からリニアの線状照射が可能に。リニア照射は広範囲に施術可能で、脂肪減少目的に使用。

 続いて講演したのは、あらおクリニック青葉台皮膚科・形成外科(横浜市青葉区)院長の荒尾直樹氏で、主にHIFU(高密度焦点式超音波療法、ハイフ)について解説した。

 荒尾氏はHIFUが皮膚に熱を与えて、組織のリモデリング(再構築)を促す仕組みを説明した。その上で、施術の直後にたるみが引き上がったように見えるのは、一時的な腫れが出ているだけである場合があると述べ、効果を正しく確認するためには施術から2カ月後の状態で判断する必要があると説明した。

 2カ月後に効果が見られるようにするには、HIFUの出力は強くすべきだというのが荒尾氏の考えだ。そのため解剖学が分かっている責任のある人が照射する必要があると説明。そうすることで神経損傷を防ぐことにもつながるという。

 荒尾氏はHIFU機器であるウルセラシリーズの複数の機器の導入を進めてきたが、HIFUは進化し照射速度が速くなり、安く受けられるようになった。荒尾氏は、これによりHIFUが一般化したと考えている。ドットの単照射での照射からリニアの線状照射ができるようになっている。リニアの場合には照射の出力はやや弱いものの、広い範囲に照射できるようになった。荒尾氏は、リニア照射は脂肪減少目的で使用していると解説した。

新しいRF機器が検証中

  • 高周波のニーズ→ HIFUが中心だが、モノポーラー高周波の需要が高まっている。
  • 新しい高周波機器→ 「オリジオX(OligioX)」と「デンシティ(Density)」の有効性や安全性を検証中。
  • 新しいニードルRF→ 「モフィウス8」は1mmから4mmに調整できるニードルを皮膚に挿入し、通電する仕組み。
  • クマ治療→ 外科手術を必要としない治療として利用される可能性。
  • 施術の選択→ 施術を希望する側も自分に合った機器と施術場所を慎重に検討する必要がある。

 湘南美容クリニック新宿本院(東京都新宿区)院長の西川礼華氏は、高周波(RF、ラジオ波)について講演した。たるみを治療する機器の中心はHIFUである一方、モノポーラー高周波のニーズが高まっていると紹介した。ニードルRFが話題となり、高周波の注目度が高まっていると分析している。機器の中心は「サーマクール(ThermaCool)」で実績が豊富だった。一方、サーマクールの特許が切れた頃から、複数の新しい機器が登場してきたという。現在、「オリジオX(OligioX)」「デンシティ(Density)」という2つの機器について有効性や安全性を検証中だという。オリジオXでは、冷却のパターンが2種類。デンシティは、モノポーラーとバイポーラーの両方の特徴を備えている特徴があるという。使い分けの選択肢として注目されるかもしれない。

 THE CLINIC大阪院福岡院(大阪市北区・福岡市中央区)院長の安倍光洋氏も新しい機器「モフィウス8(Morpheus8)」について説明した。これは、1mmから4mmに調整できるニードルを皮膚に挿入し、ニードル先端とニードル根元の間で通電させる仕組み。安倍氏は、目の下のたるみやクマの改善に検証している。すると脱脂を同時に行った場合には1回の治療、モフィウス8単独の場合では複数回の治療でそれぞれ効果と満足度を得られたという。外科手術を必要としないクマ治療として利用されるようになる可能性もあるという。

 解剖学的な特徴を理解しながら、進んだ医師が新しい治療を試している一方で、たるみ治療は合併症の問題が問題視されている。安全性と有効性を兼ね備えた治療が求められている。

 施術を希望する側も、機器による施術が自分に合っているか、また、施術を受けるとしてらどこの施設で受けるのか、慎重に検討することが大切だろう。

参考文献

脂肪吸引の進化、筋肉際立たせる新施術、安全性向上にAIも使う、南米と米国の美容外科医が最新情報、第112回日本美容外科学会(JSAS)開催
https://biyouhifuko.com/news/japan/7604/

【速報】HIFUによる事故の国調査の中間報告、神経障害が3割近く、想定を超える割合、東海大学形成外科の河野太郎教授が学会で発表
https://biyouhifuko.com/news/japan/6695/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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