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厚生労働省、エクソソームの販売監視を全国で強化、クリニックにとどまらず都道府県にも呼びかけ、効果や安全性が認められていない点を強調

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厚生労働省が全国にエクソソームの監視強化求める。(写真/Adobe Stock)

厚生労働省が全国にエクソソームの監視強化求める。(写真/Adobe Stock)

 厚生労働省は7月31日にクリニックに対してエクソソームなどの安全性に関する注意喚起をしたが、そればかりでなく、同日、都道府県に対しても対策強化を求めた。エクソソームが勝手に広がらないよう国が動いている。

「エクソソーム試薬」は薬ではないと強調

エクソソームは点滴などの形で提供されている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

エクソソームは点滴などの形で提供されている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 エクソソームは、細胞から分泌される粒子で、これがクリニックの自由診療で若返りなどの効果がうたわれ提供されている。エクソソームは、幹細胞を培養した液にも含まれているとされ、幹細胞培養上清として提供されることも多い。

 ヒフコNEWSが伝えたように、厚労省は7月31日、クリニックに対してエクソソームなどの安全性に関する通知を出しているが、同日、都道府県にも対策強化を求めている。

 厚労省は都道府県に出した「事務連絡」の書面の中で、エクソソームなどは薬機法で効果や安全性が認められたものではないと強調。現状では、「エクソソーム試薬」として販売されていると説明した。試薬とは、実験に使われる薬剤という意味だ。

※自由診療とは、医療を受ける人が自己負担で受ける医療のこと。また、国が公式に医薬品の製造や販売を認めることを承認または薬事承認といい、承認を受けていないことを未承認という。薬機法=医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 厚労省は都道府県に販売企業などへの監視を強化するよう求めた。

 具体的には次のような場合は問題となる。

  • 治療目的で販売されている場合
  • 外国で薬であることが示されている場合
  • 承認された薬と比べている場合
  • 治療研究が盛んであると説明されている場合
  • 品質が医薬品と同等であると示している場合
  • 試薬の使用目的が明確にされていない場合

 厚労省は問題がある場合には指導を徹底するよう要請している。

エクソソームがやみくもに広がらない対策

細胞から発生するエクソソーム。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

細胞から発生するエクソソーム。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 では、販売会社に対して指導をする理由は何であろうか。

 まず前提として法律に基づいて承認されていない薬を製造販売することができないため、会社を監視するのは自然なことといえる。一方で、クリニックについては、医師の責任の下で、エクソソームを自由診療で使うことが可能であるため、こちらは指導の対象になりづらい。

 その上で、販売会社への指導は、販売会社を核にしてエクソソームがやみくもに広がることを避けられる効果が見込まれる。

 ヒフコNEWSの取材によると、エクソソームは再生医療関連の製品を扱う企業で大きな儲けの源泉になっている。販売会社が国より認められていない効果があるようにうたってエクソソームの販売を強化することを厚労省が警戒しているのだろう。

 エクソソームを販売する企業は見えづらいが、クリニックでの需要に応えて販売が伸びているとされる。ある企業の担当者は「エクソソームの売上は多い。エクソソームが売れていることを表に出すと、金儲け主義と言われるのであまり公には言っていないが、かなり販売量は多い」と説明する。エクソソームは点滴などの形で数万円から数百万で提供されており、クリニックからすれば利益になる。利益があることから、新規導入するクリニックが増えてくる可能性はある。これまでにエクソソームでは健康被害が報告されており、導入クリニックが増えると、一部には健康被害が出る恐れもある。

 ヒフコNEWSで伝えているように、エクソソームは海外では薬として開発が始まっている。日本でも、厚労省の再生医療等評価部会でエクソソームについての議論が始まっている。今後、日本でもエクソソームの規制が強化される可能性がある。例えば、再生医療の一部として扱われ、審査を経たものだけが使われるようになるといった形が想定される。エクソソームは世界的に広がりを見せると考えられるが、日本でも規制が強化されてくると、美容クリニックなどで自由診療として提供することは徐々に難しくなってくると予想される。

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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