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美容医療の危害関連の相談が増加、年間848件、女性が8割、「ヒアルロン酸注射で目の周りが腫れた」…など、国民生活センターが2023年度の危害関連の相談件数を公表

カレンダー2024.9.12 フォルダー 国内
美容医療に関連した危害情報が多数寄せられている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

美容医療に関連した危害情報が多数寄せられている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 2023年度に全国の消費生活センターに寄せられた医療関連の「危害・危険情報」が、国民生活センターから公表された。美容医療で受けた危害についての相談が増加し、特に女性の被害が目立った。

 同センターが2024年9月11日に公表した。

*「危害・危険情報」とは、商品やサービス、設備に関連して体にけがや病気(危害)を引き起こした「危害情報」と、実際に危害は発生していないものの、そのリスクがある「危険情報」をまとめたもの。今回公表されたデータは2024年5月末までに「PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)」に登録されたものが対象。なお、消費生活センターなどを経由して寄せられた相談は含まれていない。

ひとくくりにしづらい多様な被害

女性からの相談が多い。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

女性からの相談が多い。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 今回の発表によると、全国の消費生活センターなどに寄せられた「危害情報」は1万2472件。上位に「化粧品」「健康食品」「医療サービス」が挙がった。

 美容医療に関連するトラブルが関心を集めているが、美容医療に関連した危害情報の相談も大幅に増加していることがあらためて確認された。

 23年度の報告では、医療サービス全体で1160件、そのうち美容医療が848件を占め、このうち女性の被害が80.1%に達した。医療サービスの数字は前年の957件から大きく上昇しており、美容施術に関連するトラブルが多発していることを示している。

 年代別では、40代が223件(19.2%)と最も多い。次いで30代208件(17.9%)、50代207件(17.8%)と続いている。

 主な被害内容は、「その他の傷病及び諸症状」が677件(58.4%)と半数以上を占め、次いで「皮膚障害」185件(15.9%)、「熱傷」97件(8.4%)が報告されている。ひとくくりにしづらい多様な被害が発生していることが分かる。

 相談の例として次のような内容が紹介されている。

  • 美容医療で、おでこにヒアルロン酸注射をしたら目の周りが腫れ、炎症と感染症を起こし、眼科を受診した。(40歳代・女性)
  • 包茎手術の後、出血が止まらず通院していたが、痛みに耐えられず救急車で運ばれた。(30歳代・男性)
  • 美容クリニックで脂肪燃焼の施術を受けたら背中をやけどした。(50歳代・女性)
  • 肩こりの改善のため、美容クリニックで、ボツリヌス毒素製剤の注射を受けたところ、腕が上がらないなどの後遺症が出た。(30歳代・女性)

化粧品や健康食品の危害情報も多発

化粧品や健康食品の危害の相談が上位。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

化粧品や健康食品の危害の相談が上位。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 集まった危害情報全体の中で最も多かったのは「化粧品」関連で3309件だった。これは前年より1009件減少したものの、皮膚トラブルが引き続き多く見られている。シャンプーやファンデーション、クレンジング用品などが原因となるケースが多かった。

 また、続いて危害情報が多かった健康食品は1490件と前年から増加している。サプリメントや酵素食品などが胃腸や皮膚のトラブルを引き起こしていた。特に50代以降の被害が多い。

 化粧品と健康食品も、美容と関連が深いカテゴリーになる。美容目的で製品やサービスを使うときには危害のリスクがあることを理解して、何か問題があれば早めに対処することが重要だろう。

 また、危険情報の上位は四輪自動車、健康食品、調理食品が入り、以下、上位20位の中に医療関連の相談は含まれていなかった。健康食品は前年まで上位10位に入っていなかったが、2位へと上昇したのは、サプリメントの健康被害が問題となる中で注意が必要だろう。

 国民生活センターによれば、2023年度の医療関連の消費相談件数は1万86件で、前年の7721件から3割増加していた。こうした相談の中で実際に危害が発生したものが1割程度で認められた。美容医療を受けようかと考えている人は、あらかじめリスクがあることを理解して慎重に検討することが重要だ。

 美容医療に関連したトラブルが多発していることから、厚生労働省が検討会を開いて課題や対策を話し合っている。今後の対策によって相談が減っていくことが望まれる。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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