国などに寄せられる美容医療関連の相談が増加していることが問題になっているが、今年6月の時点でも、美容医療を含む「医療サービス」に関する相談が大幅に増加していることが明らかになった。相談件数が前年同月比57.9%増と急増している。
東京都消費生活総合センターは2024年6月の消費生活相談のデータを発表した。
特に、SNS広告をきっかけとした美容医療トラブルが目立つという。
医療サービスに関する相談が急増、美容医療トラブルが目立つ
東京都消費生活総合センターによると、6月の相談件数は全体では2317件で、前年同月比11.4%の増加となった。
相談内容を「商品・役務別」に見ると、「医療サービス」に関する相談は全体の第5位で60件。前年同月比では57.9%増と急増していた。特に美容医療に関するトラブルが目立ち、SNSを通じて宣伝されたクリニックでの施術に関連する相談が増えている。
同センターによると、代表的な事例として、ある消費者がSNSで見つけたクリニックで顔面の脂肪注入とクマ取りの施術を契約したものの、説明が不十分で施術後に不安を感じ、キャンセルを希望したというケースが報告された。
また、医療サービス以外にも、「健康食品」についての相談が増えている。6月のデータによれば、「健康食品」は39.2%増で第3位(103件)。ダイエットサプリの定期購入に関するトラブルが多く報告されている。ネット広告で「お試し価格500円」とされていた製品が、実際には定期購入契約になっており、消費者が知らぬ間に複数回の商品が届いてしまうケースが典型的だ。
広告で釣るが、事前の説明が不足
ヒフコNEWSが以前報じたように、美容医療関連の相談は23年度にも大幅に増加していた。東京都の報告によれば、23年度の美容医療に関する相談件数は1878件で、前年度比1.7倍となった。
特に若者の間で医療脱毛に関する相談が急増しており、全体の42.4%を29歳以下が占めるという傾向があった。医療脱毛に関しては、男性からの相談が目立ち、特に事業者の破産や突然の閉鎖に伴う解約や返金に関するトラブルが相次いでいた。例えば、23年には男性専門医療脱毛を手掛けていたウルフクリニックの突然の閉鎖により、返金をめぐる問題が報告されていた。
美容医療サービスは、SNSを通じて簡単にアクセスできる一方で、事前の説明不足や契約後の不安が大きな問題となっている。医療広告については現在、規制強化が進んでおり、安易な契約に導かれないように、一般の人たちを守るようなルールが整えられているところだ。今後は、トラブルが徐々に減っていくことが望まれる。
トラブルに巻き込まれないように、慎重に検討することが重要だ。