美容医療クリニックのコミュニティを作り、施術のレベルを高める試みが開始される。
ポーラ・オルビスグループで美容医療関連の事業を進めるポーラメディカルが、皮膚科および美容皮膚科向けの会員制サービス「Club P-MedX」を2024年10月1日より開始すると発表した。
会員のクリニック向けの6つの支援サービス
同社は美容医療体験「POLA Medical Experiences」(P-MedX)をうたい、会員のクリニックに対して6つのサービスを提供して、美容医療の体験や質の向上を目指すという。
具体的には、美容医療を提供するクリニックに対して、「オンライン臨床コミュニティ」「e-ラーニング」「エビデンス勉強会」「連携クリニックの見学体験会」「新メディカルコスメの先行案内・先行販売」「年次総会やP-MedX認定証の発行」というサービスを提供する。まずはオンラインの臨床コミュニティとe-ラーニングから開始する。
「オンラインの臨床コミュニティ」は、皮膚科学やクリニック経営に関する最新情報を、キーオピニオンリーダー(Key Opinion Leader、KOL)である医師らが提供し、会員間での情報交換の場として機能させる。
「e-ラーニング」では、ポーラ・オルビスグループが販売カウンセラー向けに提供してきた教育コンテンツ、独自成分に関する解説やKOL医師による疾患別の講義動画などを提供。化粧品の扱いについても体系的に学べるようにする。
美容医療の体験を改善
先に書いた通り、美容医療を受ける体験を向上させることが大きな目的となる。同社では「P-MedX」という名称を使用しているが、施術を受けた本人が、施術を継続して希望するような体験を作り出すことを重要視する。同社は、会員クリニックと一緒に次の5つの要素について取り組みを強化する。同社が掲げているその要素は、「知見提供/共同研究」「肌診断メソッド」「コメディカル」「施術技術」「メディカルコスメ」。これを具体化したのが、今回の6つのサービスということになるのだろう。
ポーラ・オルビスグループは、23年に美容医療市場への新規参入を表明。同社は知見提供や共同研究、メディカルコスメの開発を通じて、医療機関と連携しながら、美容医療の分野における新しいサービスや商品を提供することを目指すと説明していた。
今回の対応を進めることで、施術を受ける本人の美容に貢献するとともに、クリニックにも、ポーラ・メディカルにも長期利用による利益につながり、三方良しを目指す考え方だろう。
メーカーがクリニックに製品だけではなく、情報やコミュニティを提供することで、施術のレベルを高めることが、情報技術(IT)の活用により容易になっていると考えられる。他の分野でも、同じように施術のレベル向上につながる教育の仕組みができれば、美容医療の知識や技術の底上げにつながるため、好ましいといえる。
クリニックなどでも、ドクターズコスメはただ並べられているだけということもあるが、コミュニティサービスが進化すれば、医師に加えて、クリニックスタッフが役立つ情報を提供してくれるなど、利用しやすさが向上する可能性もある。
ドクターズコスメ市場が拡大する中で、このようなコミュニティの形成が美容医療の中での化粧品の存在感を高める可能性がある。