日本の美容医療に関する最先端の知見が2024年10月に、都内で開催された第33回日本形成外科学会基礎学術集会と同時開催された「The 1st Aesthetic and Antiaging Tokyo (TAAT)」で共有された。
セッション「Japan-China-Korea Joint Session : Cutting Edge of Aesthetic Medicine」では、日本、中国、韓国の専門医が最新の美容トレンドについて語り、日本からは佐藤英明氏(CLINICA BellaForma院長)と今泉明子氏(今泉スキンクリニック院長)の講演が注目を集めた。両氏は、非外科的治療の発展と課題、急増する男性美容のニーズについて講演し、分野における最新の知見と技術を共有した。
非外科的治療の一方で、外科的手法との連携も
佐藤英明氏は、非外科的治療の増加に伴う変化や課題について分析した。
ヒアルロン酸などの注入療法は、切らずに自然な若返りができるため人気が高い。一方で技術不足や過剰な注入による顔のバランスの崩れがリスクとされる。佐藤氏は「施術者には高度な技術と慎重な判断が必要」と述べ、個々人に応じたきめ細かな治療が求められると指摘した。
さらに、非外科的手法には限界があり、特に加齢によるたるみなどではフェイスリフトや移植手術などの外科的アプローチが必要になることもあると説明。佐藤氏は、患者の希望に基づき、注入療法とスレッドリフトなどの非外科的手法を組み合わせて自然な仕上がりを目指すことで、高い満足度が得られると述べた。
男性美容の需要拡大と「ソフトマスキュリン」
今泉氏は、日本国内で急増する男性美容の需要について解説した。直近のデータによると、男性の施術希望者が急速に増えており、特にヒアルロン酸注射やボツリヌストキシン、レーザー治療といった即効性のある非外科的施術が人気になっている。ビジネスパーソンを中心とした20代から50代の幅広い男性層に治療が広がり、ダウンタイムの少ない治療が求められている。
また、今泉氏は「ソフトマスキュリン」と呼ばれる自然な男らしさを引き出す施術がトレンドとなっていると説明。あごの骨の輪郭を強調しつつ、硬すぎない自然な印象を生むことで、男性にも違和感のない美しさを提供するアプローチが好まれる。
また、スレッドリフトやバイオスティミュレーター(生体刺激剤)を併用した長期的な改善が可能な治療が増えていると指摘し、非外科的手法が加齢に伴う変化に対応できるよう進化していると述べた。
今回の講演を通じて、日本の美容医療業界が多様なニーズに応じて進化している現状が示された。今後も技術の向上が期待され、安全かつ効果的に自分の「美」を追求できる時代が到来すると見込まれる。