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ミラジェット、レーザーで針なし注入、若返りや傷跡などに有効、バイオスティミュレーターなどとの組み合わせで滑らかな肌に、AMWC JAPAN 2024で韓国チャングオン・オー氏が講演

カレンダー2024.11.12 フォルダー 国内
AMWC JAPAN 2024講演風景。一番左がオー氏。(写真/編集部)

AMWC JAPAN 2024講演風景。一番左がオー氏。(写真/編集部)

 レーザーを用いて、針なしで薬剤を皮膚内に注入する技術「ミラジェット」が、若返りや傷跡治療など幅広い用途に応用され始めている。痛みが少なく、均一な深さで注入できる点が大きな利点だ。

 韓国の皮膚科医で、OZ Dermatology院長のチャングン・オー(Chang-Keun OH)氏は、2024年11月に東京都内で開催された「AMWC JAPAN 2024」にて、ミラジェットの特徴とその多様な応用について講演を行った。

レーザーにより無針での注入

AMWC JAPAN 2024には世界から医師らが集まった。(写真/編集部)

AMWC JAPAN 2024には世界から医師らが集まった。(写真/編集部)

 AMWC JAPAN 2024は24年11月10日から2日間にわたり開催され、国内外の医師らが参加し、美容や抗加齢に関する最新技術や治療法が紹介された。「匠の技術 海外の最新治療法」と題したセッションで、オー氏はミラジェットの技術の仕組みや施術方法を解説した。

 ミラジェットは、従来の針を用いた注入や、スプリングやエア圧を利用した針なしジェットインジェクターとは異なり、レーザーを使用して薬剤を皮膚内に注入する技術だ。この技術では、レーザーを水に照射して蒸発させる際の体積変化によって衝撃波を発生させ、これがピストンを押すことで薬剤が噴射され、皮膚に注入される。この仕組みにより、痛みを最小限に抑えつつ、均一な深さでの薬剤注入が可能になる。

ストレッチマークや傷跡にも高い効果

AMWCは世界各地で開催される。日本は2024で3回目となった。(写真/編集部)

AMWCは世界各地で開催される。日本は2024で3回目となった。(写真/編集部)

 オー氏は、リジュビネーション(若返り)、妊娠線や肉割れといったストレッチマーク、傷跡、酒さ、色素沈着などの治療にミラジェットが効果を発揮することを症例を用いて解説した。例えば、傷跡に対するバイオスティミュレーターであるPDLLAを用いた治療では、施術後に滑らかな肌の状態が確認され、施術前後の比較からその効果が明らかであることが示された。

 ミラジェットは、対象部位に応じた注入方法の選択ができる。特定部位を重点的に施術する「スタッキングモード」、広範囲にわたって注入する「接触移動モード」、非接触で広範囲に注入する「非接触移動モード」といった異なるモードを備え、治療部位の広さや症状に合わせて使い分けることができる。講演で示された動画からは、範囲の広いストレッチマークの治療にはこの技術が効果を発揮することがうかがわれた。

 ミラジェットは2020年代から利用が開始された新しい技術で、日本国内でも徐々に広がりつつある。身体への傷を最小限にとどめる非外科的治療が広がる中で、ミラジェットは今後さらに多くの用途への応用が考えられ、長期的な効果や安全性の情報が今後注目される。

参考文献

デコルテや首などへのポリ乳酸のコラーゲン生成促進、引き締めやシワ改善、9カ月間の臨床結果を報告、欧州の医師らが美容皮膚科の医学誌で報告
https://biyouhifuko.com/news/japan/8975/

PN製剤が毛穴治療で効果、韓国の医師8割が支持、皮脂分泌、弾力低下、ニキビによる顔の毛穴拡大、皮膚科学専門誌で報告
https://biyouhifuko.com/news/research/8988/

ヒアルロン酸フィラー逆風、バイオスティミュレーター移行、TikTok顔が人気、世界的拡大は続く、経営コンサルのマッキンゼーが見る美容医療トレンド
https://biyouhifuko.com/news/world/8343/

非吸収性フィラーの長期リスク、炎症・感染・しこりに、吸収性のヒアルロン酸やバイオスティミュレーターの合併症も拡大中、オランダの研究グループが報告
https://biyouhifuko.com/news/research/9214/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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