美容医療の関連クリニックでは、幹細胞療法やPRP(多血小板血漿)などの再生医療が行われているが、適切に審査プロセスなどの情報公開がされていないという問題があるようだ。
厚生労働省は2024年11月15日に事務連絡として全国に注意喚起した。
再生医療を行う施設は情報公開が義務付けられる
- 安確法による再生医療の実施→2014年施行の「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、認定再生医療等委員会の審査を経て国に届け出を行えば自由診療目的での実施が可能
- 安全性と透明性の確保→実施施設には審査プロセスの記録や認定状況の公表が義務付けられている
- 厚労省の注意喚起→公開事項の適切な公表が行われていない事例を確認し、認定再生医療等委員会に対して注意喚起を実施
そもそも再生医療とは、細胞や組織の再生能力を利用して、ケガを治したり、組織を回復させたりする方法となる。美容医療では、幹細胞療法やPRP(多血小板血漿)を活用した治療が注目されている。また、関連した施術として、幹細胞培養上清、エクソソームも実施が広がっている。これらの施術は、シワやたるみ改善、肌の若返り、育毛などを目的に、多くのクリニックで実施されている。
日本では2014年に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(安確法)」に基づき、再生医療の実施が認められている。この制度では、認定再生医療等委員会の審査を経て国に届け出を行えば、研究目的や自由診療目的で再生医療が実施可能となる。
しかし、治療の安全性と透明性を確保するため、実施施設には審査プロセスの記録や認定状況を公表することが義務付けられている。
そうした中で、厚労省は今回、「公開事項の公表が適切になされていない事例」を確認したとして、認定再生医療等委員会に対し注意喚起の通知を出した。この通知では、審査過程や認定状況などの記録を適切に公表することが義務付けられていると説明。厚労省が設置したウェブサイト「e-再生医療」に情報を掲載して公表するように求めている。
e-再生医療に情報公開を一本化
- 厚労省の方針→再生医療に関する情報をすべてe-再生医療に集約し、情報公開を一本化する方針を示している
- 安全性確認の重要性→再生医療に関連した事故が報告されており、事前の情報収集と安全性確認が欠かせない
今回の通知で明らかになったのは、美容医療分野で再生医療が広く行われる中、情報公開が不十分な施設が存在することだ。
そこで、再生医療を受ける際には、次のポイントを確認することが重要だろう。
それは、e-再生医療のウェブサイトを確認すること。信頼できる施設かどうかを考える上で一つの判断材料になる。医療機関が認定委員会の審査を受け、情報を公開しているか確認し、そもそも審査の情報が掲載されていなければ、施設の信頼性に疑問を持つことができる。審査の結論や議論の詳細が記載されている場合、それを参考にすることができる。副作用や合併症のリスクが十分に説明されているかも確認できれば望ましい。
厚労省は今後、再生医療に関連する情報をすべてe-再生医療に集約し、情報公開の一本化を進める方針を示している。このウェブサイトは、再生医療を検討する際の信頼できる情報源として、今後さらに重要な役割を果たすと考えられる。
再生医療に関連して事故が起きていることが報告されている。再生医療を検討するときには安全性の確認が欠かせなくなっている。事前の情報収集は重要になる。