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QスイッチNd:YAGフラクショナルレーザーによる唇の若返りは可能?イタリアの研究グループが研究報告

カレンダー2023.4.23 フォルダー最新研究

ポイント

  • 国内でも唇のレーザー治療が行われているが、多くはシミ消しを目的としている
  • 海外ではレーザーを使って唇のボリュームや弾力を取り戻す研究が行われている
  • QスイッチNd:YAGフラクショナルレーザーで、有効性、安全性で高い評価が得られた
唇。写真はイメージ。(写真/Adobe aStock)

唇。写真はイメージ。(写真/Adobe aStock)

 年を重ねると、唇のボリューム、弾力、ハリが失われ、シワや形が崩れることがある。そうした場合の美容医療としては、フィラー治療やレーザー照射などが行われることがある。レーザーを使った唇の若返りの有効性と安全性についての研究報告が海外からあった。

唇のボリュームをレーザー治療で引き出せる?

 唇のレーザー治療は日本でも一部の医療機関で実施されている。ただし、全体像は分からないものの、検索で見る限りは、日本で行われている唇のレーザー治療は、シミ消しを目的としているものが多いと見られる。それに対して、海外では唇のボリュームや弾力を取り戻す目的で行えないかという研究が進められている。顔のレーザー治療では、コラーゲンやエラスチンの生成を促す効果を狙って行われるが、同じように唇でも効果が現れるかを確かめようというものになる。

 2022年11月、イタリアの研究グループは、レーザーの一つである「QスイッチNd:YAGフラクショナルレーザー」による唇の輪郭、色、ボリューム改善効果を調査して、有効性と安全性について報告している。この研究結果は、美容医療分野のレーザー治療に関連した専門誌であるジャーナル・オブ・コスメティック・レーザー・セラピーに掲載されている。

 研究のアウトラインは次の通り。研究グループは、32人の女性が2~3週間ごとに合計3~5回の治療を受け、最終治療から1カ月後の受診時に医師の評価および本人の満足度を調べた。

※研究では、イスラエルAlma社製「1064nm QスイッチNd:YAG フラクショナルレーザー ハーモニーXLプロスペシャルエディション クリアクリフト(1064nm Q-switched Nd:YAG fractional laser Harmony XL Pro Special Edition ClearLift)」という機器を使用している

9割が満足したと回答

 結果として、医師の評価としては、唇の色94%、ボリューム72%、質感と全体的な見た目それぞれ91%が改善したと評価できた。満足度については、91%が結果に満足し、100%が全体的な体験に満足しているという結果だった。治療の副作用はなく、痛みはほとんどなかったという結果だった。

 研究グループは安全にくちびるの色やボリュームを増すことができたとまとめる。レーザーを使うことで、メスで体に傷を付ける必要がない点はメリットの一つになり得る。また、治療後1カ月までは結果が持続したと説明する。

 日本ではそれほど唇の若返りを目的としたレーザー治療は一般的ではないかもしれないが、今後海外の研究も踏まえ、そのような用途の開発が進む可能性はある。もっとも今回報告された研究では安全性の問題はなかったが、レーザー治療は好ましくない影響も問題になるので、さらに多くの人たちで有効性も安全性も詳しく調べていくのは重要だ。

参考文献

Ifrach H. Non-ablative laser treatment improves lip volume, texture, and color. J Cosmet Laser Ther. 2022 Nov 17;24(6-8):98-102. doi: 10.1080/14764172.2022.2120620. Epub 2022 Sep 19. PMID: 36121174.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14764172.2022.2120620

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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