
フラクショナルレーザーの効果。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
光老化(フォトエイジング)によるシワや毛穴の目立ちに対して、フラクショナルレーザーの効果が報告された。
中国の研究グループが、2025年7月に美容皮膚科学専門誌「Journal of Cosmetic Dermatology」で発表した。
シワが減少し、毛穴改善

肌質の改善を求めて。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 研究目的→
光老化に対する2種類のフラクショナルNd:YAGレーザー(ピコ秒レーザー〈FxPico〉とQスイッチNd:YAGレーザー〈QSF-Nd:YAG〉)の効果を比較検討。- 試験の概要→
フィッツパトリックスキンタイプIII〜IVの30人(平均年齢46.8歳)を対象に、2週間おきに計5回治療を実施。顔を左右に分け、片側にピコ秒、もう片側にナノ秒を照射。- 結果→
両レーザーとも3カ月後にシワ、毛穴、肌の質感が有意に改善。コラーゲンの増加も確認され、両者間で有意な差は認められなかった。
研究グループが検討したのは、光老化に対する2種類のフラクショナルNd:YAGレーザーの効果。一方はピコ秒レーザー(FxPico)、もう一方はQスイッチNd:YAGレーザー(QSF-Nd:YAG)であり、それぞれの効果を比較することを目的とした。いずれも非アブレーティブのレーザーなので、皮膚に強い熱損傷を与えるものではない。
※ナノ秒レーザー、ピコ秒レーザーはそれぞれ1億~10億分の1秒、10億~100億分の1秒という単位の短いパルス幅でレーザーを照射する技術。なお、100万分の1秒はマイクロ秒単位のレーザー。Qスイッチルビーレーザーのパルス幅は20〜40ナノ秒、Nd:YAGは5〜10ナノ秒、アレキサンドライトは50〜100ナノ秒とされる。ピコ秒レーザーはさらに短い250~750ピコ秒のパルス幅でレーザーを出すことができる。これらの技術により、レーザーにより発生させる熱エネルギーをターゲットに集中させやすくなる。
試験の対象としたのは、フィッツパトリックスキンタイプIII〜IV(中等度の肌色と日焼け反応)に該当する30人(平均年齢46.8歳)。2週間おきに計5回の治療を実施。6mm×6mmの照射範囲に対し10×10または9×9の密度でレーザー照射した。顔を左右に分け、片側にピコ秒レーザー、もう片側にナノ秒レーザーを照射し、その効果は、肌解析機器「VISIA」による画像解析、顕微鏡による組織観察、および組織学的評価により検討された。
その結果、両レーザーとも3カ月後にはシワ、毛穴、肌の質感が有意に改善した。例えば、シワの平均数はピコ秒レーザー側で84.5本から52.1本、ナノ秒レーザー側で89.4本から50.2本に減少した。毛穴数や肌質スコアも同様に改善が見られた。真皮におけるコラーゲンの増加など、組織学的変化も確認された。効果の大きさに、両レーザー間で有意な差はみられなかった。
ナノ秒レーザーは経済的

光老化の問題は避けたい。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 副作用と安全性→
両レーザーとも副作用は一時的な赤み、点状出血、軽いかゆみにとどまり、重大な有害事象は確認されなかった。- 痛みの比較→
痛みの平均スコアはピコ秒レーザー群で2.84、ナノ秒レーザー群で1.48。ピコ秒レーザーの方が痛みはやや強かった。- コスト面での評価→
ナノ秒レーザーは機器・運用コストが比較的低く、経済的な選択肢としての有用性があるとされた。
副作用はいずれのレーザーでも一時的な赤み、点状出血、軽いかゆみにとどまった。重大な有害事象は確認されていない。痛みの平均スコアは、ピコ秒レーザー群で2.84、ナノ秒レーザー群で1.48と、ピコ秒レーザーの方が高かった。
ナノ秒レーザーは機器コストや運用コストが比較的低く、経済的な選択肢としての有用性が指摘されている。
身体への負担やダウンタイムが少ない光老化の治療において、フラクショナルNd:YAGレーザーの有効性と安全性を支持する結果となった。
光老化は、紫外線に長期間さらされて、皮膚の構造を保つ、体内で最も豊富なコラーゲンの一種であるI型コラーゲンが破壊され、シワやたるみを引き起こす現象。紫外線が強まる季節を迎え、皮膚の光老化リスクが高まっている。その改善の方法として、フラクショナルレーザーの効果が注目されつつある。
