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ヒアルロン酸の新たな機能に注目、細胞モデルで光老化を抑制、マクロファージ関連の免疫に影響も、ロート製薬と愛媛大学が国際誌に発表

カレンダー2025.7.19 フォルダー最新研究
紫外線による光老化。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

紫外線による光老化。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ヒアルロン酸に光老化を抑える効果がある可能性が示された。

 ロート製薬と愛媛大学の研究グループが、2025年6月にその成果を報告した。

 この研究成果は、2025年5月に開催された米国皮膚科学会で発表され、国際誌「Frontiers in Immunology」にも掲載された。

紫外線による炎症とコラーゲン劣化を抑制

連鎖的な反応により光老化が発生する。(出典/ロート製薬)

連鎖的な反応により光老化が発生する。(出典/ロート製薬)

  • HA4の光老化抑制効果→ヒアルロン酸の一種「オリゴヒアルロン酸4糖(HA4)」が、紫外線による光老化を抑制する効果を示した。
  • M1マクロファージの抑制→HA4は炎症性マクロファージ(M1)の働きを抑え、炎症性サイトカインの産生やコラーゲン分解酵素(MMP-1)の増加を防いだ。
  • コラーゲン維持への寄与→HA4が免疫応答に作用し、炎症やコラーゲン分解を抑えることで、皮膚のコラーゲン線維形成を改善した点が注目される。

 ヒアルロン酸は、美容医療では皮下に注射してボリュームを増す目的で使用されることが知られている。一方で、スキンケアとして肌に塗布する利用方法も広く浸透している。

 そうした中で、研究では、ヒアルロン酸の小さな単位である「オリゴヒアルロン酸4糖(HA4)」に注目した。これが紫外線による光老化を抑制する効果を示すことが明らかになった。

 光老化とは、皮膚が紫外線に長期間さらされることで、皮膚のI型コラーゲンが破壊され、シワやたるみが生じる現象のこと。ヒアルロン酸の影響で、肌の炎症やコラーゲンの劣化を抑えるという。

 ヒアルロン酸の塗布による主な効果としては、保湿が広く知られている。それに対して、オリゴヒアルロン酸4糖という成分は、皮膚への浸透性と生理活性に優れ、光老化に関与する炎症性マクロファージ(M1)の働きを抑えることが確認された。

※M1マクロファージは、紫外線刺激によって増えて、IL-6などの炎症性サイトカインを産生する。HA4を加えることでその発現量が有意に減った。さらに、M1マクロファージから分泌される因子が皮膚の線維芽細胞に与える影響を調べた結果、通常は炎症の影響でコラーゲン分解酵素(MMP-1)の増加とコラーゲン量の減少が見られるが、HA4があるとこの傾向が抑制され、コラーゲン線維の形成も改善された。

 ヒアルロン酸の小さな単位であるHA4が、免疫応答に影響を与え、炎症やコラーゲン分解を抑制したことが、コラーゲンの維持に寄与した点が注目される。

 もっとも今回の研究は細胞を使った研究成果が中心となり、実際に塗布した際の効果などはさらに検証が必要と見られる。

注目される光老化の対策

光老化を防ぐ対応に注目。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

光老化を防ぐ対応に注目。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 紫外線強化による光老化リスク→今後、紫外線が強まることで顔や手の肌老化リスクが高まると指摘されている。
  • 多面的な予防・改善策→ヒアルロン酸のほか、ビタミンCやフラクショナルレーザーなどの光老化対策が注目されている。
  • 美容皮膚科での対応強化→今後、光老化予防・改善に向けた美容皮膚科でのアプローチがますます重要視される。

 今後、紫外線が強くなる傾向も指摘されており、顔や手などの肌の老化が問題になりやすい。こうした光老化に対しては、今回のヒアルロン酸の効果に加えて、ビタミンCの有用性についても報告されている。

 また、光老化に対して、フラクショナルレーザーによる施術で、改善させようとする研究も報告されている。

 今後、光老化の予防や改善に向けた美容皮膚科での対応は、一層注目を集めるだろう。

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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